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フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 舞@妖精
妖精編

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10/10

恩返し

恩返し〜楽しんでください


舞@妖精

妖精編〜恩返し〜

 二人は五日間眠り続けている。

 その間に遺伝子検査、精密検査、ありとあらゆる医学的、科学的アプローチが試みられた。

 

 科学技術局のマユリも不眠不休で二人を元に戻す方法を模索していた。ときおり背中のキズが痛む。その度に痛みを堪えるように歯を食いしばる。

 

 ゆかとエミリーも時間の許す限り二人を見守りに来ていた。


 憔悴した様子のマユリを見て、ゆかが声をかける。

「背中のキズ……痛むのでしょ?」

「かすり傷なのだよ。それより……私を傷つけたと知ったらこの二人は……」

 ゆかとエミリーに向き直りいつになく真剣な顔で

「ゆか、エミリー、二人が目覚めても何も言わないでおくれよ?」

「優しいのねマユリは――」

 ゆかの言葉に照れ隠しをするように二人のベッドに視線を投げた。

「そんなこと言わないでくれたまえよ」

 と眠っている二人には聞こえないように小さなそして優しい会話だった。

 

 そして医療班の検査結果は衝撃的だった。

 二人の体内で暴走していたエネルギーは潜在能力の覚醒によるもので、結はヴァンパイアの遺伝子因子を持つ吸血鬼の眷属、舞は鬼の遺伝子因子を持つ鬼の眷属だということが診断された。

 

 アンドロギュノス医療班が誇る最新医療を駆使しても二人の異形化は戻らなかった。病室で横たわる二人の肉体は、牙や角を宿したまま、深い眠りの底に沈んでいた。 

 しかし二人は意識の奥底……密度の濃い暗い深海の底から微かに見える光に必死で手を伸ばしていた。

 

 


 カツカツとリズムよく靴音を響かせながら一人の女性がノックと共に病室に入ってきた。

 マユリが驚いたようにその名を呼ぶ。

「ティア……」

「様子は?」

「まだここに運ばれたままの状態なのだよ」

「どうしてここに?」

「二人が心配だから――と言うのは、理由にならないかしら?」

 

 マユリがティアの目を睨む。

「あらあら、怖い顔……」

「二人を……どうするつもりなのかな?」

「どうもしないわ……今はこの異形化を元に戻したいのでしょ?そのために来たのよ」

 ティアは二人の頭に手を当て何かを探るように目を閉じる。

「やはり二人の異形化の原因は、元々二人が持つ遺伝子因子にオーバーロードしたエナジーが注ぎ込まれてその遺伝情報が爆発的進化を促したようだわ」

「色々詳しそうなのね……元に戻るの?」

 

「これはエナジーがまだ二人の中で遺伝因子を活性化させているからよ。それさえ正常化出来れば元に戻ることは可能だと私は思うわ。だって二人は人間だものきっと負けないわ。心当たりがあるからここは信用してくれるかしら?」

 

 ティアは部屋を出て、電話でどこかへ連絡して誰かを呼んだようだった。

 電話口で神妙そうに話しているがその口元は人とは思えないほど口角がつりあがっていた。

 

 マユリが眠っている二人を見ながら

「私が好きにはさせないのだよ……COCOONの整備……急がないといけないね」

 と呟いた。

 

 しばらくすると医療センターに三人の少女たちが駆けつけてきた。かつてゼノバイオ製薬の中央研究棟の地下で捉えられ結とゆかに助けられた、サナ、リナ、ミナだった。

 彼女たちは変わり果てた二人を見て絶句した。

「そんな……結さんがこんなことに」

 マユリが三人を見て

「もう一人はあの時捕らえられてた、舞という女性なのだよ、君達がティアに呼ばれた希望なのかい?」

 サナが涙を流し

「本当に助けてもらった恩返しがしたいの」

「私たちはあれからアンドロギュノスで色々とお手伝いさせてもらってます」

「戦うことは出来ないけど私達は治癒魔法が使えます」

「ティアさんは私達の治癒魔法ならこのお二人の乱れたエナジーを整えることが出来るかもしれない。そう言っていました。」

「ぜひ私達にお二人を見させてください」

 と懇願した。


 マユリは三人の手を取り

「是非お願いしたいのだよ!この二人は私達ふたなりの希望なのだから!」

 マユリは三人の集中を促すために部屋を出た。

「頼んだのだよ」

 LABOに向かって歩いていった。

 

 三人は両手を結と舞の胸元に当て、深呼吸を始めた。

「すごい底知れないエナジー」

 三人の額から汗が滴る。

「リナ、ミナ、必ずやり遂げよう!」

 温かい光が掌から二人の体内へ流れ込み、暴走していたエナジーを吸い取り安定化させてまたそれを戻していく。治療が始まった。

 

 三日三晩不眠不休でこの作業を続けた。

 そしてその時が訪れた。

 

 静かに、祈りが通じたように、結の尖った牙は元に戻り、舞の角は徐々に引っ込む

二人の体温が常温に戻り、ついに完全な人間の姿へと回復した。

 

「ああ……良かった……後は目を覚ますのを待つだけ」

 結と舞の指先が、ピクっと動いた。

 

 気持ちが切れたのか三人の少女が糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる。

 気力と体力の限界で崩れ落ち床に倒れると思った瞬間その身体は優しく抱きとめられた。

 

 意識を取り戻した舞と結だった。優しく三人を抱きとめ自分達が寝ていたベッドに静かに寝かせた。

 

 舞と結は言葉を交わすことなくお互いを見て頷く。

 お互いのエナジーを通じて全て記憶に刻まれていた。

 ベッドでぐったりとしている三人の少女に優しい視線を送り。

「ありがとう」

「もうあなた達に涙を流させたりはしない!」

 と眠る少女たちに固く誓った。

 

 舞は結を見つめて

「結、私達はきっと少し人とは違う力を持ってるみたいだね」

「まるであの身体の中から自分を食い破って何かが這い出してくるようなあの感覚」

 結は思い出しそうになり震えた。

 

 舞はサナ、リナ、ミナ、に目をやり

「本当にこの子達には助けられたね、でもあの力は暴走さえしなければこれからの私たちの役に立つと思う……きっと制御する方法はあると思う」

「うん。二人で乗り越えていこうね」

 

マユリが部屋に飛び込んできた。

 はぁはぁと息が荒い

「舞……結……」

 その後の言葉が出てこなかった。

「マユリ――ありがとう。ずっとそばに居てくれたね?」

「君達がいないと本当に退屈なのだよ!」

 言葉に涙が混じる。

 

「おかえり!舞。結」

 

 

読んでいただいてありがとうございます。


次から「訓練編」です


次回更新は明日19時です(o^^o)



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