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「なるほどなぁ。それが、税ってわけか」

「甘いなぁ」

 蕪雑と玄晶の声が重なる。蕪雑が驚き、玄晶を見る。玄晶は含みのある笑みを返した。

「仲良しごっこで、いつまでもやっていけるわけではないよ。正しいことを、そのまま正しくおこなえると思っているのなら、大間違いだ。明江は急速に育った。いまは誰もが未来という希望を持って、未完成の部分に挑むという目的があるが、その次にやってくるのは、維持と成長という、相反する側面を持つ経営だ」

「経営?」

 袁燕が首をかしげる。

「経営ってのは、店をやってくってことだろう」

「そう。国というものは、巨大な複合店だと覚えておくといい。小さな店が、たくさん集まった市の総元締めが、国。こう言えば、わかるかな」

「つまり豪族は、場所代とかを集める親分ってことか」

「そう。そしてその場所代を、この世を()べておられる申皇へ差し出すのが、領主だ」

「なるほどなぁ。それが、税ってわけか」

「その税をいくらにするのかは、土地の統治者である豪族が決められる。領主は豪族から申皇に送るための税を、きちんと集めて送る役人、というところかな」

「それと、申皇のお決めになられた規則から、逸脱していないかを監視する役目でもあります」

 剛袁が補足すると、袁燕は2度うなずいた。

「それで、玄晶は甘いって言ったんだな。親分がいっぱいいりゃあ、混乱するもの」

「混乱しねぇように、よくよく話し合えばいいだろう」

「その案も、一理あるとは思ってはいるのだけれどね。そうなると、責任は誰がとるのか、という問題が生じたときに、困ることになる」

「分担仕事して、それぞれに責任を持ちゃあいいだろう」

 蕪雑の案に、烏有が首を振った。

「代表者はひとり。そこに意見をする、という形のほうがスッキリとするよ。あまりに他所(よそ)と違った形にしてしまうと、ほころびや齟齬(そご)が生じるからね」

「だから、表向きはそうすりゃあ、いいじゃねぇか」

「いまはよくても、後々のことを思えば、確定をしていたほうがいい」

 烏有の言葉に、蕪雑が眉間にシワを寄せる。

「それでいいのかよ。玄晶が領主で、俺が豪族で……。ああ、烏有が豪族になりゃあ、いいじゃねぇか」

「蕪雑が豪族だからこそ、ここまでこられたんだ。僕が豪族になれば、蕪雑を信じ、慕っている人々を裏切ることになる」

「豪族ってなぁ、ひとりっきりじゃねぇだろう。豪族の中にも、いっとう偉ぇのと、その次のとって、あるじゃねぇか。烏有はいっとう偉ぇのになりゃあいい」

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