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思いつくままに ー短編集ー  作者: siro
野次馬の正しいマナー

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10/30

【野次馬の正しいマナー】05

あれから数日平和な日々が続いてる、ヤバい奴にもからまれなくなったし。ミーナちゃんの方に若干騒がしくなってきた。そろそろ本格的に動き出すだろうから、ちょっとうろちょろしないとな。


「友達ってなんだろう?」


誰もいないと思って呟いた言葉は隣から返事が返ってきて思わず立ち上がってしまった。

「どうしたんだい?急に。あと驚きすぎ」

横にいたのは黒めがねさん。あれ?町の図書館にいるけどさ、今日は自習室に居るから出くわさないと思ってたのに、なんで横に居るんですかね?

「君が見当たらないから、時期(試験前)的にここかなって思っただけだよ。で、どうしたんだい?」

ガラス張りの区切られた部屋の中には、どうやら私と黒めがねさんしかいないようだ。座り直してしまえば、机の上にある仕切り板が二人を隠す。てか、なんでうちの学校の試験期間知ってるの?そうだよ、2週間後に定期試験が始まるのよね。この大事な見せ物が始まりそうな時期なのに!!

って、思考がずれた。なんだっけ、そうださっきの話よね〜。

「自業自得なんだけど、簡単に裂けるのに友達って言って来る子はなんなんだろうって思っただけ」

先日のやり取りを思い出してルーナは溜め息をついた。

「簡単だよ。自己顕示欲の友達と言うなのグループを作りたいだけかな。又の名をただの顔味見知り」

おちゃらけたように言いながらも辛辣なお言葉でっと思っていたら、頭を優しくポンポンされて、彼なりの慰めだろうかと思い至った。


ウェンディの仲間もなかなかに黒い、レイバンと付き合うと堂々と誓言した次の日からエリーはウェンディの悪口を言いまくってるのだ、ミカエラはレイバンにアタックしまくっているし、あれは破滅させてウェンディは自分のものよ系と思われる。ウェンディはヤンデレホイホイ?

エリーはよく読めないから私の中で危険度アップ中。


「はぁ、友達ってそう言うのじゃないよなって思うだよねー。私は喧嘩して仲直りも出来る友達の方が良いな。親しき中にも礼儀あり。嫌な所も許容出来て、お互いの考えを尊重し会える関係?」


「なんて言うか、それって夫婦じゃないかい?」


「・・・ぇー。そうなの?」


「君は友達に対して高望みしすぎてるんだよ」


「高望みか、なるほど。」

おっと手が止まってたと思いだし、ペンを動かし出す。明日の朝にはミーナちゃんに返さないといけないのだよ。ミーナちゃんの見やすく分かりやすいノートを見ながら自分のノートに写して行く。

私の手が動き始めたのを見て黒めがねさんはノートを覗き込んだ。

「誰のノートだい?」


「頭の良い人のノート。借りてるの、分かりやすいでしょ」


「・・・そうだね。提出ように写してるわけじゃないのか?」

「まさか、そんな事したら減点だし、速攻でバレるわ。教えてる先生が違うのよ、だから書いてる内容が若干違うの。」


「なるほど。」


「てことで、私今日は忙しいの」

顔を上げずに言えば、小さいため息が聞こえた。

「その様だね」

立ち上がる音を聞いてから、ノートに集中した。集中してしまうと周りの音が全く聞こえなくなる。一気に写しあげていけば、気がついたら夕方だった。

窓から差し込みオレンジ色の光が全てをノスタルジックに塗りつぶして行く。


「帰らなきゃ」


筆記用具を仕舞い、忘れ物が無いか確認し終えると自習室を出た。

化粧室で変装を解いて出口に進んでいくと出くわしたのが貴族の男性だった、何時もならこの時間は殆ど人が居ないのに珍しい事だと思って通り過ぎようとしたら声をかけられた。


「お嬢さん、こんな時間まで勉強熱心なのは関心するけど、帰り道が危ないよ。辻馬車の所まで送って行くよ」

顔を見上げれば、金髪の青い目とか絵本の王子かよっと思いつつあまりの美形に口を開けて見てしまった。

「あれ?驚かせちゃったかな?」

失礼な顔をしてるのに王子(仮名)は優しい声音で話しかけてくる。

「いえ、すみません。あまりの美しい造形に驚いただけです」

慌てていった自分の言葉に、可愛げがない!!っとselfツッコミしつつ、こういう時普通の女子はどうすんだっけー?!っと脳内会議ですよ。


「クスクス、面白いね君は。」

笑われてしまった。笑った姿も絵になりますね!!!心のシャッター連写ですよ!!てかさ声がいい感じに低くて子宮に響くってこういう声なんだね!!驚きだよお兄さん!!

そう思ってたら閉館を知らせる声が響いた。

「おや、とりあえず出ようか?」

そう言って、エスコートされた。余りにも普通に貴族として叩き込まれたマナーがするりと出てしまって、入り口に出た時に気付いた。一般人は絶対、身分高い人の腕取らないじゃんって。やっちまった、まだ黒めがねさんが何処かに居るかもしれんのに。あ、でも変装解いてるからバレないか?


「君も貴族の端くれだろ?こんな場所で必死に勉強するより、茶会とかに出たらどうだい?」

歩きながら問いかけられて、わおめっちゃ良い所の貴族様ですね、その考えって。でもって、バレてる〜と思いながら下手に興味を持たれない為に素直に答えた。

「私、頭が良くないですよ」

「?」


「だから人の倍勉強して今の成績保っているです。それに家に居ると勉強サボって、甥っ子達と遊んじゃいますし。」

「なるほど、だが貴族女性に必要なのは勉強だけじゃないだろ?顔の広さも必要だよ。女官になるわけでもあ」

「女官になりたいです」

被せるように言えば、なるほどと唸づかれた。

彼も貴族の一員なら分かったのだろう。跡継ぎができて人脈作りに必要なくなったら、子供スペアは邪魔になるだけだ、お金がかかるだけで早く出て行けってことだ。

「それなら、学業が終わったら我が家敷きで働かないかい?もちろん一定以上の成績を納めてることが条件だけど。」

ウィンク付きで言われルーナは思わず笑ってしまった。まるで人気役者のようだと思いながら、条件が厳しくなかったら候補に入れておこうと思いながら聞いた。

「それは嬉しいですね。因みにどのくらいの成績ですか?」


「卒業時の総合成績順位が30以上」


「分かったわ。頑張る」

王宮の女官推薦基準と同じだわ、と思いながら笑顔で答えた。やっぱりもうちょっと順位上げたいなー、いつもギリギリ30位、これ以上成績は落とせない。

持参金も爵位も持てない自分には貴族の結婚はもう無理なのだ、女で1人で生きて行くには屋敷勤めしか残っていない。姉には家庭教師が居たが私には居ないのだ。

女官を目指してる子は何人かいるし、私よりも成績がいいから本当にやばい。友達になりたかったけど、もろライバル視されてだめだった。ライバルは少しでも減らしたいって感じでした。はい。確実に職をつけるためにも推薦状は欲しい。


「ははは、頑張る人は好きだよ。」


わぉ!素敵なお声頂きました!!!

もう顔が熱いです!!熱すぎます!!社交辞令なのは分かってるけどね!ごちそうさまです!

っとちょっと涎が垂れかけた時に強く抱きしめられました。


「危ない!!」


胸板素敵!っじゃない!今耳元でブンって風が切れる音がした!何?何?危ないってなに?めっちゃ抱きしめられてて振り返られないんだけど。なんか周りでばたばた人が動いてるし。

めっちゃ剣の打ち合いが後ろで聞こえる。


「大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だ。」


ちらりと横目で見ると憲兵の服を来た人達が、自分たちの周りを固めて護っている。んー・・・何かに巻き込まれた系かな?もしかしてーもしかしてー。

振り返ろうとしたら頭をがっちり抑えられてしまいました。


「面倒ごとに巻き込まれたくなかったら見ない方が良いよ?」


耳元で優しく囁かれて、背中に虫が走って行ったようなむず痒さが駆け巡って膝が抜けた。


「おっと、お嬢さんにはちょっと刺激が強かったかな?」


「で・・・若い女の子に何やってるんです。馬車を用意させてるので送って行って下さい」


「怖いねー。ごめんね、辻馬車まで送って行くのはちょっと危険になったから、うちの馬車で送らせてもらうよ。」

そう言って黒塗りの馬車がある所まで、その状態で運ばれ。最近は物騒でいやになるよねーとか明日は雨らしいよ?とかどうでもいい事ばっかり話しかけてくるけど私の家について何もきいてないくせに、馬車は勝手にすすんでる。それに窓はカーテンがかけられて外が見えない。開ければってはなしだけど。実はまだがっつり抱きしめられてるんですよね!!怖くてたまらないですけど!あと時々耳元で息吹きかけないで!!まだ知っちゃ行けない世界に連れてかれそうだから!!!


「あぁ、残念。ついちゃったね」


そう言って、やっとホールドから解放されて馬車から降ろされたら、何故か私の家の手前まできていた。もう変な汗がダラダラですよ。だって、私住所も名前もなのってにゃい・・・ないよ!!馬車をおりて唖然としてる私に後ろから王子が耳元でささやいた。


「好奇心は猫も殺すって言葉知ってる?今度は踏み込みすぎないように気をつけたまえ」


「ひぃ!」


「君が狙われないようココで見守ってあげるから、早くお家におかえり」

そう言って私の背中を優しく押され、怖くて歩き出した。何かいわなきゃと思いつつも怖くて振り返れないし、先ほどの出来事は私が原因らしいし。どうゆうこと?!フラフラ歩きながらも視線が怖くて、途中から早足で屋敷の門を開けて家の中に飛び込んだ。


「なんだ、なんだ。なんだ?!もうどれが原因だろう。」

はしたないが扉を背にずるずる座り込んでしまった。どうしよう、最近危険思考な人間とつきあってしまったから、誰関連か絞れない。困った。困りすぎる。

私が直接攻撃されるってことは、ウェンディかな?いや、それにしちゃ行動が早いし。しかも踏み込みすぎるって?踏み込みすぎた物なんてあったっけー。天井を見上げても何も変わらない。

ちょっと扉を開けて外を覗き込むと馬車はもう居なくなってた。でも、庭にいる家畜の様子が変なので多分まだ見張りがいるんだろう。

私の行動って目立ってたかな?んーと悩みつつも部屋に戻り、そのままベットにダイブ。


「疲れた。」


勉強で脳みそ使いまくった後に、また大問題をだされるなんて最悪だ。

明日考えよう!明日明日!!




次の日、学校でいつも通り過ごし。借りていたノートをミーナちゃんに返したら、何か言いたそうに言葉を濁された。


「ミーナちゃん?」

「何でも無いわ」

「心臓に悪いからヒントでもください。まじで」

そう言うと、ミーナちゃんはめっちゃ視線が泳ぎまくった後、ため息をついた。

「まぁ・・・もうすぐ試験が近いから勉強に専念したいの。暫くはまっすぐ・・・お家・・帰った・・・方が良いわ。だから暫くはピアノは見てあげられないの。」

困ったように言われたが。私は冷や汗ダラダラです。青ざめる私にミーナちゃんも気まずそうな顔をしてる。たぶんコレが彼女の中でのギリギリ言えるラインなんだろう。しかも暫くはまっすぐ家に帰れって言ってるよね。


「そうよね。試験も近いし、いつもミーナちゃんに迷惑かけてしまってごめんなさい。今回は誘惑に負けずに頑張って勉強するわ!」

「えぇ、頑張って。甥っ子ちゃん達に遊びに誘われたからって一緒に遊んじゃダメよ?」

「・・・がんばる!」

ほっとした顔をしたミーナちゃんに、心の中で迷惑かけてごめんねって謝っておく。暫くはクラスの友達と一緒にまた行動させてもらおう。なんか、学校内一人で歩くのも危険な気がするのですよ。


とおもってたら、ウェンディに出くわした。

「あら、誰かと思ったら。没落貴族のルーナじゃない。」

いえ、まだ没落してないんですけど?てか、ウェンディの雰囲気が変わったな・・・これは階段上ったな思いつつなんで一人で歩いてるんだよ。

「何か用かしら?」

「別に、用なんて無いわ。一人寂しく歩いてるから声をかけてあげただけ。」

お前も一人やんけ!!って思わず言いそうになったけど自重した。

「そう。じゃ」

さっさと去ろうとしたら、これ見よがしに鼻で笑われた。胸はってなんだよ?と思ったら胸元が大きく開いてる服だった。そして紫色の痕をみつかた。

「あら、貴方には刺激が強かったかしら。まだ、おこちゃまですものね。男女のにうとい初・心・な」

「・・・」

思わず口が開いてしまった。え、まって?コレを自慢するためにきたの?まだ婚約者宣して日が浅いのに、超えたとしてもさそれはまだ黙っとかないとだめだろう。破局するかもしれないのに、もしかしてコレって色んな人に自慢してるのかなー?まだ社交デビューしてないのに公言するのはかなりヤバい。特に騎士や貴族の家柄で未成年では禁止されてるんだよ?世間体を一番気にする家柄なんだからね!

頭痛がしてくる。


「おめでとう。」


そう言って去ろうとしたら、服を引っ張られたがウェンディが固まった。


「このあばずれ!」


「はぁ?」


何故か意味不明な叫びを上げられ去られてしまった。何であばずれやねん!!むかつくわー!と思いつつ教室に戻って、手鏡で服を見直せば首筋に痣があった。


「あぁ!なるほど!」


「どうした?ルーナ」

声をかけてきたのはユーリアスだ。最近よく話すなーとか思いつつ。先ほどあった事がんばってオブラートに包みつつ(包めたとおもう)話した。

「なんて言うか・・・何かライバル視されてるよね?」

「なんでだろう?」

「で、その痣は何?」


「あ、これ?甥っ子が寝ぼけて吸い付いたの」

そう言って抱っこのポーズをすると、あぁと頷かれた。


「甥っ子さんって、まだ小さかったんだっけ」

「そうそう、抱っこしてる時にぐずると時々吸われるの」

ほらっとカーデガンを捲って手首を見せればそこにも痣と小さい歯形がある。

「もう歯が生えたからさ、時々噛まれるのよね」

「うわー痛そう。てか歯小さいね。」

「赤ちゃんだからね。」

「何何?」

とクラスメイトが近寄ってきたので冗談で

「大人の階段登っちゃったの。」

っと恥じらいながら手首を見せたら頭をぶっ叩かれた。早いよ!もうちょっと騙されてよ!

「明らかに歯形が赤ちゃんだろうが!」

「よく気づいたね!」

叩いたクラスメイトに小さい兄弟が居た事に気づいた。最初に見せる相手ミスったわー。

「本当だ!一瞬びっくりしたけど。歯形ちっさーい」

「だしょ。可愛いよ!うちの子!噛んでる姿もめっちゃ可愛いの!モゴモゴするの!」

「はいはい、叔母馬鹿。」

「あールーナって叔母馬鹿だったね」

「叔母馬鹿叔母馬鹿」

「バカバカ連呼すんなし!!うちの子天使なんだからな!」

「ほーい」


そんなクラスメイトとのアホな絡み合いをして、今日は大人しく帰ろうとした。

駄菓子し!間違えた。だが、しかし!長年の野次馬のせいか、出会ってしまいました。ネタ案件。


なんと!我が国の第二王子様が何故か校内にいるのですよ!近衛を連れて!

帰りに提出物を教員室に持ってった帰りの吹き抜けの渡り廊下2Fを歩いていたら下に居たのですよ!目立つように!周りの生徒も「あれ、第二王子じゃね?」っていってるから間違いない。

何故この学校に居るんでしょうか、彼はロイヤルイースト学園に通ってるんですよ、そして今年最高学年でっせ。優秀すぎて、王様が若干継承権で揺らいでるとかいう噂の!

でも、大丈夫!今日は友達と行動してるから、なんだろうねーって言いながら通り過ぎます(泣)いつもなら柱の影から見守るんだけどね!


と思ったら事件が解決した後の回収だったみたい。ムコダイン公爵がガエレアをしょっぴいてた!!え!何か起きてたの!なんてこった!見逃したのかくそっ!!

「え?」

友達も思わず足を止めたので私も止めて見れば。後ろにミーナちゃんがアストン伯爵に抱きしめられてた。

ガエレアは王子に引き渡されて、関係者はそのままゾロゾロと校門に向かって出て行った。


「フラグがたった」


思わず呟いた言葉に友達が何か言った?と聞いてきたので何もっと答えとく。

とりあえず、私の周りって腹黒い男おおすぎじゃない?

ちゃっかりミーナちゃんの肩をだくなんてやるな!あいつ!


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