【野次馬の正しいマナー】06
さて、こないだの事件だけど。まったく詳細が回ってこない!!箝口令しかれちゃったよ!!しかもミーナちゃんは学校に来てないし。
新聞は週に2回しか発行されないから、まだ全容がわからない!!
ミーナちゃんの家にお手紙書いても返事ないし!地位が上のミーナちゃんに突撃訪問は許されないからね!家に行きたい時はお伺いたてなきゃ行けないっていうのが面倒だよね!!
あえないし!大丈夫だったんだよね?何もなかったんだよね?先輩間に合ったんだよね?ちょっと問いただしたいとかモヤモヤした数日後に、ミーナちゃんの婚約発表がされた。
正式には、合同舞踏会で発表されるらしいけど、事前通知されましたよ!皆さん!!悔しがる男子生徒がちらほら居ましたが!!
たぶん、卒業と同時に結婚とか!しかもアストン伯爵の領地の離れに住むとか!!もう、それ絶対に婚約破棄しませんって宣言する時に貴族がする昔の方法やん!
という事は、ミーナちゃんの家に行っても会えない訳ですね。。
試験は何とか乗り切りました。ミーナちゃんはやっぱり試験にも来てなかった。もー!大丈夫なの?!ってミーナちゃんのクラスで皆と騒いでたらじゃんけんする事になりました。
「という事で、きちゃったよ。先輩のフロア。3階です☆」
「そんな事分かってる。さー行け」
そう言って私の背を叩くのはミーナちゃんのクラスメイトのウィジット君。侯爵なんだよね、告白する勇気がなくってミーナちゃんの友達として側にいた!
「私、他クラスなんだけど!」
「お前が、一番ミーナさんにお世話になってるだろうが!!」
「そうだけど!先輩の教室に突撃ってやっぱりチキンの私にはきついっって!!こないだの事でも私のライフだだざがりなのにぃ!」
「うっさい行け!負けたのが悪い!」
くっそ。最近本当に運がないなー。ちょっと教会周りして運気回復お願いするか?よく言うじゃん?教会ってパワースポットだってね。
とぼとぼ先輩のクラスの扉の前につき、チラチラと廊下の端に居るウィジット君を見れば、さっさといけって顎で指示された。めっちゃ廊下にいる先輩達がチラ見してるし。
致し方ない。やってしまえばすぐ終わる!
ということで、扉をノックした。学校の扉は分厚いので、クラスの扉の前にはだいたい当番制で、扉当番というものがいるのだ。皆しゃべってると、近くに居ないと気づかないからね!
「はいはい。どちらさん」
扉を開けたのは、奇麗な巨乳のお姉さんだった。谷間が縦に入った美乳!!
「その胸触っても良いですか?!!」
「え?」「ぐはっ!」
凄い衝撃が頭を直撃した。思わず押さえながら床を見れば靴が落ちてた。なっつーやつだ!女子に向かって靴を投げるとは!!掴んで投げ返したけど、距離が届かなかった。しかも笑いおって!!
「うきーーー!!」
マジむかつく!!注目浴びてるのが気にならない程むかつく!!
「えっと、大丈夫?」
お姉さんがびっくりしていらっしゃる。しまった忘れてたぜ。
「全然だめです。お姉さんの胸にいやs」
第二撃は当たる前によけてやったぜ!って目的見失ってた。今度は靴を拾って返さずに持つ事にした。小さい声で返せとか言うけどシラね!
「すみません。ちょっと話がそれちゃいました。アストン伯爵いらっしゃいますか?ミーナちゃんの友人です。」
「あぁ、アストン様ね、ちょっと待っていてね。」
そう言って、お姉さんが教室にいるアストン伯爵を連れてきてくれた。近くで見ると背が高いなーとか、顔の造形奇麗ですねーとか思いつつ。横目で廊下の端をみればウィジット君は慌てて隠れてた。
「初めまして。ミーナのご友人とか。」
「はい」
「で、用件は何かな?」
にっこり素敵な笑顔ですが、瞳はするどいですねー。ということで、ここはひとまず。
「ミーナちゃんを返して下さい!だっ?!」
ガン!って今いい落として、また頭に直撃した!!めっちゃ痛い!なんだよ!と見れば足下に落ちてたのはバケツだった。
「だ、大丈夫?」
流石の先輩も驚きですよね。そして廊下側の窓がいつの間にか全開になって、皆みてるし!ていうかさ。私はおもいっきしバケツを掴み
「あんにゃろー・・・私の聞き方に文句があるなら自分できけぇぇぇいいいいぃぃぃ!!このチキンやろう!!!」
叫びながらは、柱に隠れてるウィジットに駆け寄り頭に勢いをつけて被せ、引っ張りだした。貴族順位?そんなの知るか!!
「なっ?!きたねぇ!!外せ!!止めろ!!引っ張るな!!」
バケツの取ってとウィジットの首筋を掴んで、アストン伯爵の前まで引っ張って連れてきた。
アストン伯爵は壁に寄りかかって様子見な感じですね。余裕ですね!絵になりますね!
「はい、お待たせしました!私はミーナちゃんが無事か!私のピアノのレッスン見て欲しい!それが聞きたいだけです。以上!さぁ、ウィジットはチキンな自分を自覚して、叶わぬ思いにけっちょんけっちょんになっちまえ!」
そう言ってバケツを外してやった。
「なっ!あ・・・」
アストン伯爵は実はまだ寄りかかったまま、余裕の笑みを浮かべてます。ウィジット君より頭一個分おっきいです。大人の余裕ですね!!固まって答えないウィジットに笑顔で先輩がいった。
「君は?」
「お、俺は」
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と数えて私はまだ手に持っていた靴を使っておもいっきし叩いた。
「ためが長いわ!」
「いってーな!俺お前より位上だぞ!」
「だからなんだ!私の大切な脳みそを散々攻撃しおってお姉さんの胸にさわれなかっただろうが!これ以上馬鹿になったらどうするんだ!」
「女の癖してオヤジみたいな思想のほうがどうかしとるわ!」
「そんなんだから、ミーナちゃんに見向きされないんだよぉー!!」
「うううううううるさい!誰がいいいいつミーナぁしゃんに!」
顔を真っ赤にして叫ぶ姿にバレバレだと思いながら、叫ぶのを無視して先輩を見れば、笑いながら私の質問には答えてくれた。
「心配をかけてしまってすまいないね。ミーナは今私の屋敷で休ませているよ。少々疲れが溜まっていてね。試験は後日受けられるようになっているし。合同舞踏会の時には会えるよ。ピアノのレッスンは、ミーナに聞いてみるよ。あまり人に会わないのも体に良くないからね。」
「皆にはそう伝えときます。お時間頂きありがとうございます!」
そう言って淑女の礼を完璧にして去ろうとしたら。ウィジット君はまだ不満なようで人の袖を掴んできた。
「おおおお、おい」
「何」
「いや、だって」
「何、あ。靴?」
返すの忘れてたぜ、って渡したのに履きながらまた掴まれた。
「何!」
「だから」
「彼はまだ話足りないようだから、俺があずかるよ。」
そう言って、アストン伯爵がウィジット君の肩に手をかけた。
あーぁ、大人しく一緒に帰っておけば良かったのに、先輩の目が笑ってなくて怖いから、良い子な私は先輩のお言葉を素直に取るよ!
「はい!お願いします。自覚させて下さい!」
「おぉおぉおぉまあぁあ」
ウィジット君の声が震えてる〜。口パクでバーかと罵っとく。
「じゃーね。ウィジット君!」
私は転がるような優雅な早足で去って行った。
その後ウィジット君がどうなったのかは違うクラスの私は知らない。
ただ、クラスメイトに結果報告して雑談しても彼は帰ってこなかった。なーむー。
試験発表は合同舞踏会の後に行われるので、それまでは舞踏会に向けて貴族のマナーやダンスレッスンをメインに力を入れないと行けない。
因にミーナちゃんにはこっそり一回だけ会えた。学校に試験受けにくる日をこっそり先輩伝いから教えてくれたのだ。
お客様用の来客室でミーナちゃんには会えた。扉はちょっと開いてて、アストン伯爵がいたけどね!
感動の再開を果たし、あんまり詳しい事は聞けなかったけど、何ともなかったらしい、お気に入りのドレスの縫い糸が切れただけだって言ってた。布は最新のよって言ってたので、それ対策にどうやら最近出た手で破けない丈夫な生地に切り替えてたっぽい。流石お金ある貴族は違う。
ミーナちゃん的にこの縁談はOKらしい。何でもかっこ良く伯爵が現れて落ち着くまで抱きしめてくれたらしい。それはようございました。
落ち着いたら、遊びに行っても良いってやったね!
*
ルンルンで今日は帰り道に教会に向かったぜ。懺悔室で変装をして、運よ〜かむばっくー。という事で、お祈りを捧げて、教会のお庭で一休みしていたら。
「今日は」
黒めがねさんが横に座ってきた。なんで、ここでもあうんですかねー。
「今日は」
「商家の事件は解決したらしいね。」
「そのようね。新聞は買ったの?」
実は今日が発売日なのだ。前回の新聞には、ブルフエス商家が捕まったとしか乗ってなかったのだ。
「あぁ」
そう言って渡された記事にはやっとブルフエス商家の悪事の全貌が書かれていた。色々あくどい事をしてたという事と、伯爵令嬢を襲うとしていた所を第二王子の管轄する憲兵が取り押さえたと書いてあった。
なるほど、あの二人は第二王子派だったのか。因にうちの国の王子は3人いる、第一王子は、優秀だけど欲が無く、穏やかな性格をしてる為に王族に向いてないとか言われてる。酷いなーと思いつつ、第二王子は頭が切れ、また剣術も優れてるとか、第三王子は頭脳に優れ剣術は二人の兄には劣るが、独自の私兵を持ってるとかないとか。
そんでもって、第二王子、第三王子共に野心家だと言われている。
第二王子はよく、市井の警備にも手をかけてるので市民の人気は高い。噂が本当なら、なかなかにドロドロしてる。つまり点稼ぎってことでしょ?怖いなー。末端貴族の令嬢だから、派閥争いに巻き込まれてないけど。これで、次期王決めの時にはどちらを支援するか決めないと行けない。
「王様には長生きして欲しいわね。」
「いきなりどうしたんだい?」
「別に、一般市民の感想。」
そう言って、新聞を返した。新聞に一回目を落としてから、黒めがねさんはぽつりと呟いた。
「君は、誰が次期王にふさわしいと思う?」
「いきなり難題をふっかけるわね。」
「そうかい?それとも無責任にいっただけ?」
ちょっとカチンときてしまった。
「現実問題、誰かがなってから結果を見ないと分からないと思うの。こうじゃなかったのにーって絶対あるし、第二王子が王になったら軍が強化されて良いって言う人も入れば、もっと外交に力を入れて欲しいのに軍強化は邪魔だから、第三王子になって欲しいって言う人も居るし、現状のままでいいんだから第一王子がなるべきだって言う人も居る。
だれも、占術者にはなれないわ。ただ、今ある状況と情報を照らし合わせて未来を予想するしか無い。」
「なるほど。で、君が思う王国の未来は?」
「国境付近で小競り合いが続いてる。でも、平和な首都で知っている人はごく限られた人しか知らない、それが収まるのが早いか、収まらずに貴族内で何処まで知られてるかで決まるんじゃないかしら?」
「小競り合い・・・何故君は知ってるんだい?」
その言葉に、黒めがねさんも知っている事に気づいた。私はよく市井を探検してるおかげで、隊商の人達が話をしてるのを聞いてるだけだ。あんな所に貴族はあまり行かない。何よりもいつもと黒めがねさんの雰囲気が違う。
それに、他の商人の間では略奪されてるという話も聞いているが、それは黙って置く事にした。まだ山賊か、他国なのか分かっていないと言っていたし。
「一部の商人なら知ってるわ、特に隊商は詳しい。自分たちの命がかかってるんですもの。」
「なるほど、確かに隊商は知っておかないと危険だね。」
「・・・」
いい加減、黒めがねさんが誰だか聞いた方が良い気がする。こんな政治的な話はするべきじゃない。何より、焦げ茶色の髪の毛の隙間から違う色の毛先が一束うっすらと見えている。明るい茶色。
私の中の不信感が募ってきた事に気づいたのか、黒めがねさんが苦笑して言った。
「ごめん、こんな話するもんじゃないね。お詫びに、アイスをごちそうするよ。」
「アイス!頂くわ!」
アイスって高いだよね!氷魔法で冷やされて作られてるからちょっとお値段が高いんです!
アイスごちそうされて、先ほどまでの不信感は、初めて見る黒めがねさんの柔らかい笑みとともに薄れていた。




