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第3話 真実の行方



放課後の生徒会室。ユウマは再び鏡の前に立ち、昨日と同じ光の反射を確認していた。

「これで影の動きは完全に把握できた」


ミナトがそっと訊ねる。

「じゃあ、犯人って……誰?」


ユウマは部屋を見渡し、落ち着いた声で説明を始める。

「昨日の“手”は光と影のトリックだ。しかしそれだけじゃない。消えたメモは、この鏡の影で注意を逸らしている間に持ち出されたんだ」


「え……じゃあ、影は囮だったってこと?」

ミナトは目を丸くする。


「そう。犯人は生徒会の内部にいる。生徒会活動日誌や次期行事の案にアクセスできる者だ。さらに、このトリックを使うことで、誰も怪しまない時間を作り出している」


ユウマは机の上に置かれた生徒会の鍵束を指さす。

「犯人は、鏡の角度を微調整するのに十分な時間と権限を持っていた。夕陽が差し込む時間帯に狙いを定めていたんだ」


その瞬間、ドアが開き、九条リカが入室する。

「ユウマ君……もう分かったんだね」


「君が?」

ユウマは静かに尋ねる。


リカは少し微笑んで頷く。

「ええ、私は昨日、次期文化祭の案を先に確認したくて……でも、直接見るわけにはいかないから、鏡のトリックを使ったの」


ミナトは絶句する。

「トリックを使った理由は……心理的な演出、ってこと?」


「そう。私は影を作ることで、皆の注意を別の方向に向けた。その間に安全に紙を持ち出せたの」

リカの表情は少し恥ずかしげだったが、嘘ではない。


ユウマは微笑み、鏡の角度を少し戻す。

「なるほど、犯人は“誰かを怖がらせるため”ではなく、“安全に情報を確保するため”にこのトリックを使ったわけだ」


ミナトは呆然としながらも、少し笑う。

「まさか、心理トリックと物理トリックを組み合わせていたなんて……ユウマ君、さすがだよ」


鏡の中の影は、もうただの光と反射の産物になっていた。

生徒会室には静かな余韻が残り、ユウマの冷静な推理が事件を解き明かしたことを物語っていた。



この事件のトリック要素

•鏡の角度と夕陽の光で作られた影

•消えたメモを隠すための心理トリック(注意を逸らす演出)

•犯人の目的は恐怖ではなく、安全に情報を入手すること

•読者も光と影、犯行のタイミングを考えながら推理できる




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