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だから名前考えるのは苦手なんだって

200話まで来ました。なんだこの内容は?

お楽しみ頂けると幸いです。

生まれたばかりのパンダはしばらく食べ続けた後、腹が膨れたようで今度は眠りに入った。


「生まれたばかりだから仕方ないよな…。いやいや、普通に赤ちゃんじゃないか」


どう世話したものかと考えるが、生まれたばかりで固形物を食べるくらいだから多少普通じゃない育て方でも大丈夫なのだろうと思うことにした。どちらにしても寝ている赤子を連れたままで危険地帯に留まるわけにもいかない。材料は集め終わっているのだから帰ることにする。


そして戻って来て、事情の説明をしつつパンダを皆に紹介した。


「え~、かわい~…」

「これは、すごいな。トワを見ているのと同じ感覚だ…」

「コトシュお姉ちゃん、私はこんなにかわいくないよ?」

「いいや!負けず劣らずだ!」

「かわいいよ~…」


フレンドビーたちが世話をしてくれるようで寝るための寝具や起きてからの段取りを相談している。


おっと、糸太郎が包むための布を織るために連行されていく。俺とロイーグさんにも止められない流れだ。大人しくがんばってくれと手を振って見送る。


「女性陣全滅だね」

「確かにかわいいからな。でもあれだと守護獣と言って良いのか分からんな」

「え?…ああ、そういうこと」


着々と仕上がっていく様子を見て思う。あれだと守護する獣ではなく、守護される獣である。ひらがなを抜けばどちらも守護獣だから間違いでは無いが。

それにまだまだ小さいが徐々に大きくなっていけば、少し首を傾げるだけで世の中の人間すべてに鼻血を吹かせるくらいの威力を持つことが出来る。守護するために限界を超えた力を発揮できるようになるのかもしれないなと納得する。


※イレブンは混乱している!


「なんか変なこと考えてないか?」

「そんなことないよ。俺が混乱するとでも?」


ロイーグさんは何とも言えない表情で、じっと見てきた後女性陣を見た後に何かを呟いたようだ。別にいいかと言ってくれたようで安心した。

ではすることがある。デテゴも送り届けたことだし、一応もらった守護獣から生まれたのだ。報告はしておきべきだろう。そのために食事の準備もさっさと済ませた。備蓄を放出しただけだ。作る時は作るが作り置きが出来ることは大きなメリットである。


「まあお世話をしてくれるならそれで構わないよ。じゃあ一旦朱雀に聞いてくるからちょっと外すね」


皆に聞こえるように言ったが返事が返ってきたのはロイーグさんだけであることに少々悲しみを覚えたが、これも仕方ないことと受け入れた時にワッと声が上がった。

何事かと思ったら寝ていたパンダが起きたようだ。その仕草も囲んでいる人たちにはかわいい見えたようだが、何か違和感を感じている自分がいた。


どういったものか心当たりを探るが、周囲を見ていて気が付いた。蜂娘三人と糸太郎の誰かが不快感を感じている時と同じだ。テイムした魔物たちも同様に変な感覚があるのか何とも言えない顔をしている。あの毎果ですら。

このまま朱雀のところに行くのは一旦やめておく。断りを入れると素直に道が開いたのでパンダの近くに寄っていく。すると正に探していたのだと言わんばかりに鼻先をひくひくさせて近づこうとしてくる。目は見えているのだろうか?


「もしかしなくても俺を探してるのかな?分かるか?」


撫でようとして手を出すと待っていたかのように手を迎えるためのように顔を上げる。そして素直に撫でられてくれた。

羨望半分嫉妬半分のような声を受けるが、受け取る印象が穏やかのために一旦無視する。


「なあ、万花」

「はい、ここに。そして返答は恐らく正解でございますと」

「心を読むなよ。毎果に似てきた?」

「常に時を同じくしておりますもので。それに毎果に些か言葉が過ぎるかと」

「悪い意味じゃないよ。先読みするようになってきたねってだけ」

「…安心いたしました」


答えるまでの間に失言を後悔しつつ、さてとパンダを見る。鑑定を使って見てみる。


>>>>>>

名前:  種族:守護パンダ 年齢:0


取得スキル一覧

主従関係 肉球印

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名前が無いってことはまた名づけをしないといけないんだな。だから苦手なんだって。でもやらなくてはいけない。どう考えても既にテイムが完了している。自分がテイムしたからにはちゃんと名付けてやらないといけないだろう。

それからスキルがよく分からないものになっている。そっちもくわしく見てみるとぶっ壊れスキルだった。


『主従関係』

テイムされた守護獣が使えるようになるスキル。主を守るために主の使えるスキルを守護獣も使えるようになるスキル。習熟度までは引き継がないため鍛錬は必要となる。またステータスが不足する場合は使用できないスキルも自動で制御する。


『肉球印』

魔力や魔法を肉球の形でその場に留めることが出来る。効果の威力や持続については使用者が周囲から向けられている好意によって変化する。守護パンダの固有スキル。


「マジか」

「何か見えたの?」

「見たんだけど、ちょっと俺もどういう使い方をするのかすぐには思いつかない。すごく使えるんだろうけど。もう少ししてから考えよう。もしこいつがちゃんと自分を持ったときに既に知られてるとなるとイヤだろうから。俺は別としてもらいたいけど」

「それはマスターだし良いと思うよ。何か気を付けることある?」


リセルが聞いて来ているが形式に過ぎないことは分かる。もっと可愛がっていいかと顔に書いてある。

整理しよう。好意によって変化するとはあったけど、強くなるんだろう。ただ、ダメかと言われたら別に構わない。制御できるスキルだけが使えるように調整してくれるようだし、嫌われるよりも愛される方が嬉しいだろう。


「まあ戦闘用のスキルも使えるだろうけど、訳も分からないまま連れて行ったりはダメだからな。しばらくは家の中で大人しくしていてもらいたいかな」

「勝手に外には連れて行かないよ~。じゃあスーちゃんのところには連れて行かないんだね?面倒は見ておくよ。いってらっしゃ~い」

「……うん?」


扱いが雑じゃない?と言いたいが、守護パンダは取り上げられ、奪い去った相手は既に背を向けている。

あれ?結構がんばってプレゼントに関しても準備してますよ?そもそも残り日数を匂わせて来たのはリセルの方だったよね?


隙間から見える守護パンダが何かを訴えているような気がしたが、まだ外に連れて行くには弱すぎるからまた今度と念じて朱雀のところに向かうことにする。


「空間接続。じゃあ行ってくるね~」


返事がいつもよりも少ない量しかもらえなかったのがすごく悲しいが、朱雀に細かいことを聞くためだ。気持ちを切り替えて向かう。


いつもの場所に来ると朱雀が現れた。


≪色々と話すことがあるんだけど≫


「俺からは1つだけだが…」


何か疲れた雰囲気を出している朱雀に労りの気持ちを持って接した方が良いことはなんとなく感じ取る。


≪あなたの連れて来たあの王族クン、とんでもないわね。無理矢理強くなっている感じがするわよ≫


「デテゴのこと?あいつそんなに無理してるの?」


≪限界ギリギリまで鍛えてイレブンが渡したポーションで無理矢理復調してる感じね。本人が大丈夫なら大丈夫と言いたいところだけど≫


神獣が心配するほど無理してるってことか。俺が原因かな。ちょっと煽り過ぎたんだろうな。


「わかった。気を付けるようにするよ。でもお互いに秘密だからって言ってるから覗くのもな」


≪かなり危険なことしてるからね。油断して死なれてからじゃ遅いんだから≫


「え?」


朱雀の言葉のトーンが本気度を教えてくれる。デテゴさん、あんたどんなレベルの取り組みをしてるんだ?止めるべきと判断しようか。


「分かった。しっかり話をするよ。さすがに死なれると困る」


トワはまだ子どもだからとこっそり見て場合によってはアドバイスをしているが、デテゴは年上だしあんまり何も考えていなかった。気を付けることにしよう。


≪それで、その様子だと守護獣が生まれた?≫


「ああ。守護パンダってやつが生まれた」


話の転換をしてくれたので説明しておこう。


≪あら、思ったよりもかわいいのが生まれたわね。しっかりと育ててあげなさい。守護獣は放っておいても強く育つけど、個性がまた違うからかわいがってあげてね≫


「あぁ、うん。俺がいなくてもみんなが可愛がってくれると思うよ」


≪名前つける前にあんまり可愛がり過ぎると性格捻じ曲がるから気を付けなさいね≫


「帰るわ」


すぐに帰った。名前はがんばって考えて福来フクと呼ぶことにした。しばらく様子を見たが、性格が捻じ曲がっている兆候は見られなかったので良かったと思うことにした。

お読みいただきありがとうございました。

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