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それを言うなら徹底的にやる

お楽しみ頂けると幸いです。

【イレブン視点】


うん。火の柱だな。閉じ込められて精々数秒のはずだけど数日間閉じ込められていたような気もする。まあ気のせいだろう。

どのくらいをダメージを受けるのか確かめてみようと思ったけど、温かいくらいだな。料理しているときの方が熱く感じるんだけどなんでだ?


あ~、そうか。戦闘中で気を入れてるからか。だったら問題無いみたいだし、もう少し温まってから動くことにするか。寒いのは困るね。


「もう倒せたのか?」

「いや、まだ中に残っている感じがする。もう少し待て」


呑気に会話している声が聞こえる。


「だったら俺たちは中に行くぞ。他のチームの任務を奪ったって構わないんだしよ」

「どうせ明日の朝にはこの街とは違う場所で迎えるんだからよ。最後の晩くらい好きにやらせろよ」

「お前らずるいぞ。俺だけここで留守番かよ!」


魔法使い一人を残して先に進むのか。複数チームが中へと入って行くとしてもこいつら程度がいくらいても役に立たないと思うけどな。

もしかしてこいつらが最弱で陽動なのかな。だとしたら手伝うってことと合わない。


「ははっ。残った女主人は見た目が良いらしいからな。先にやることやらねぇとお前は最後燃やすじゃねぇかよ」

「泣かせた後の呆然としてるところで、火がついたことに気が付いたときの表情の変化が面白いんだよ!。お前らも横でいつも見てるだろうが!」

「まあ俺ら3人で先に行ってるからよ。お前も後から来いよ。先にやることやってるからよ」

「割と顔の良い奴が増えてるらしいな。体つきのヤバイ青髪ショート美女とカワイイ系の緑髪の女が増えたらしいぜ」

「見つけた奴が最初だからな。あとは好きなようにやろうぜ」

「何なら逃げる時に持っていくのは有りなのか?」

「黙ってたら大丈夫だろ。とりあえず合図出せ」


よし…、滅殺するか。


全面的に周囲にいる精霊たちも同意のようで、俺の制限が解除されている。


「さすがに俺が制限かけてないと屋敷が無くなるから制限はかけていてくれ。滅殺っていっても、死んだら一回で終わりじゃないか。これくらいで済まさないよ」


きちんと制限がかかったことを確認して周囲の火の主導権を奪う。横を通り過ぎようとしていた斧槍使いと武闘家へと投げつける。


「な、なんだ!?」

「ちゃんと制御しろよ!」

「ちゃんとやってる!俺じゃないぞ!?」


火を消したことで、最初は疑いの視線、気が付いたことで敵対の意思が刺さってくる。横を通ろうとしていた2人はようやく俺を敵と見なしたらしい。遅いけど。

魔法使いに関しては自分の魔法の暴走でないことを釈明したかったらしいけど俺が無傷で出てきたことで動揺したから念動でもう抑えさせてもらった。

先程の火柱で焼けてしまった芝生の焦げた臭いの中心に立ったまま、男2人へと体を向ける。


「お前ら本当に冒険者なの?」

「なんだと?」

「叩けばいくらでも埃が立ちそうな会話してたでしょ。本当に冒険者かって聞いてるんだよ」


この隙に魔法使いが余計なことが出来ないように身体に加えて喉も抑えた。目線で下手なことを言わないように釘も刺している。まあ背中側から氷の棘を刺してるから動けないよね。ローブの内側で見えないだろうし。


「おい、何を生意気な口をきいてるつもりだ?」

「やっぱり素直には話さないか。そっちの魔法使いの人はどうなんだろうね」

「お前もさっきから黙ってないで言ってやれよ」

「あ~、そっか。分かったよ。もしかして」


そこで区切って俺の側面から飛んで来た矢を左手で掴む。右手を銃のようにして人差し指から雷魔法の『麻痺弾』を放つ。ダメージを与えるよりも衝撃としばらく麻痺で動けなくなるくらいだ。

バジィッと大きな音が響く。割と離れていたので屋根の上から下に落ちる音は聞こえない。たぶんそのうちフレンドビーたちが回収して連れて来てくれるんだろうけど、手を煩わせてもいけないな。拾いに行こう。


少しだけとはいえ持ち場を離れるのだから一瞬で済まそう。少し離れたところの道に倒れていた。近くに弓も落ちているし、ずっとこちらを見ていた顔がこれだったから間違いないだろう。

ついでだから一度やってみたかったこともするか。足を掴んで顔面を地面に擦り付けながら走って戻る。うわ、やばい。顔面が赤に染まってる。でも、生きてるから大丈夫!


「この弓を使う人がいたからの強気だったのかな?」


声も出ないくらい驚いてくれた。弓の人も痺れてるだけだから痛覚はある。近くの家の屋根の上にいたから地面に落ちてあちこち痛いだろう。その後に俺が連れて来たことで痛みもぶっ飛ぶ経験をしてもらえたと思う。感動で(?)ピクピクとしか動いてないけど。


「バレバレだよね。もう少しうまく自分の気配や力は隠さないと。じゃあ姿を見せたらもう抵抗は出来ないよね」


弓使いに反撃されても嫌なので動けないようにしておこうと手を振りかざすと、斧槍使いが左側から、武闘家が右側から攻撃を仕掛けてくる。


「全力で潰す」

「仲間から手を離しやがれ!」


要望通り手を離す。代わりに矢を使うのに必要だろう腕を蹴っておく。籠手を破壊出来たのでその下の腕も無傷とはいかないだろう。


それから振り下ろされる斧槍を刃の部分で受け止め、繰り出された拳も掌で受け止める。


一瞬は何のことか理解できなかったようだが、すぐに理解すると顔に危機感が現れて離れようともがく。どちらも逃がすわけが無いじゃないか。手にしていたものを両方とも握り潰す。


「ぐああああ!?俺の拳がああっ!!」


斧槍は武器だから壊れることもあるだろうし本人は無傷で済むけど、武闘家はそうもいかない。多少の強化はしてあったんだろうけど、今の俺には関係ない。


「仲間が危険だって分かって切り替えが早かったことから冒険者としてはともかく、戦いの中で生き残ってきた経験があることは認めるよ。でもね、あんたらも仲間が大事かもしれないけど、俺も仲間に手を出そうとしてくる奴をただで済ませるほど優しくもないんだよ。ほら、また一人落ちるよ」


俺に注意が来ている間に奴らから見えない位置にいた魔法使いを5メートルほど空中へと持ち上げ、喉を圧迫した状でその全体重を支えさせている。足には先程撃退して気絶していた冒険者くずれの者たちをぶら下げている。

泡を噴いていることだけは正面にいる俺からは確認できた。他にも顔から出せる液体は全部出ているようだ。顔色もあまり良くなさそうなので念動魔法を解除する。地面への着地は決してきれいなものでは無いが、死んでないので大丈夫だろう。


「あ、そうだ。ごめんよ。そいつにはこれくらいしないといけなかったね」


火魔法とも言えないくらいの威力に抑え、おそらく生活魔法の『着火』くらいの威力しかないだろう。土魔法で四肢を地面に固定させた上で、からだの中心に火種を押し付ける。装備が良かったのかすぐには燃えないようだ。それならちょうどいいからそのまま放置しておこう。


「少しずつ威力を上げていくよ。俺の魔力が防御を貫通したら一気に燃え上がるね。これで少しくらいは被害者の気持ちが分かるかな」


まだ気絶から立ち直れていないから何も返事はないけれど。


「さて、あとはあなたたち2人だね。物理的な攻撃力を持っている人だと力づくで犯罪をしてそうだね。じゃあ、そうするか」


既に右手が使い物にならなくなったことで動揺していた武闘家だが、魔法使いに気を移していた間にポーションで回復をしていたようだ。万全な状態に戻っている。


「俺が抑える!お前は2人を連れて逃げろ!」

「分かった」

「ちょっと、俺が悪側みたいな行動にしないでくれる?」


武闘家は大きく両腕を回すと先程よりも気の塊を動かすように構えて、自分の周囲に纏わせる。俺の知らない現象だな。ま、関係ないけど。

武器を潰された奴よりも時間が稼げると踏んだか。まあそこまで仲間を考えられるならどうしてだろうね。


「その気持ちを被害者に持てないもんかね」

「うるせぇ!さっさと来い」

「分かった。いくよ」


武闘家の横を素通りして動こうとしていた斧槍使いの後頭部にソバットをお見舞いする。倒れようとするところに頬を叩いて正気を保つように持っていく。


「力自慢だろ?武器が少し壊れたくらいで逃げようとするなよ」

「俺が相手だって言ってるだろうが!」

「誰がその通りにしてやるってんだよ!『水弾』!」


気温もあって相当辛いはずだ。全身ずぶぬれの上に少し向こうの方まで飛ばしておいた。壁となる武闘家がいなくなったことで戦闘態勢を整える元斧槍使い。

偏見として鎧があると気が大きくなるというのでまずは鎧から破壊していく。まずは肩当て、次に胸当て、最後に脛当てと何度か交差する中で破壊していく。

さすがにダメージは貫通するので動きはもう見る影もない。ポーションなどを使おうとするなら奪ってアイテムボックスへと収納している。完全に奪ってしまえば良いみたいだ。消耗品だからね。


「次はその元斧槍でいこうか」

「もう、やめて、くれ」

「今までそう言った人たちをどうしたのかな?やめた?他の人にはやめないのに自分は良いの?」


いつか自分の身に同じことが降りかかってきたら嫌だなとは思うけれど、そのときは受け止めるしかないよね。明らかに犯罪者に対して言いたかったことだ。裁きを与える権限が自分に無いことも理解している。


「甘えてんじゃねぇよ!」


上空高くまで殴り飛ばした後で地面まで叩き落した。地下に空洞があったようでそこまでの別の出口が作られた。


さて、最後だな。屋敷の外へと移動する。斧槍使いに俺が注意を向けたのを幸いにと逃げていた武闘家の前に着地する。


「あれだけ仲間仲間言ってたのに最後は逃げるんだね。往生際が悪いなぁ」

「あそこまでやられたら再起不能じゃねぇか!お前が言うことか」

「一蓮托生って言うじゃん。ま、あきらめなよ」


屋敷の敷地へと投げて戻す。そのあとは作業だ。一応はいっぱしの冒険者だったようで攻撃の手段はそこそこ種類があったようだけど、片手で十分捌くことが出来た。隙が出来たところで立てる程度の衝撃を与えて吹っ飛ばす。ポーションを飲むように促して再度やり直す。手持ちのポーションが無くなったら気絶している仲間から回収して使用させる。時々燃えている魔法使いの回復にも使用させておく。俺の魔法は解除しないけど。


効果の低いポーションまで全て使い切ったところで武闘家の使った動きで攻撃する。まだ立ち上がれるはずだけど、仰向けに泣いていた。見苦しかったので最後の始末をしておいた。


そういえばパーティに名前を付けてたな。そこそこ名のある奴らだったかもしれないけど、相手にならなくて良かった良かった。

お読みいただきありがとうございました。

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