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マークル商会再スタートの初日

昨日も2投稿しているので、良ければそちらもお読みください。

お楽しみ頂けると幸いです。

仲間だけでなく、マークル商会の使用人の人たちも全員集合したところで方針について話すことになった。


「さて、レイさんに何を主に扱っていたかを聞いたところで今からの動きを考えてみようか」

「おおよそほとんど扱ってたって聞いてるところを一緒に聞いてたでしょ」

「気にするな。分かりやすくするための説明は様式美だ」

「様式美は置いとくとして何からするんだ?」


リセルのツッコミを躱してロイーグさんの発言に答えることにする。


「ほとんどの店がカンジョー商店からの仲介として商売を続けていました。俺たちもずっと残るわけでもないですし、既存の店を潰すことなく味方を取り戻します」

「その方法は?」

「一応考えてありますよ。商人でなくても1つは同じ商品なら安い方を取るだろうということ、もう1つは妨害する相手をトコトンまで潰すということです」

「それは…うちが取られた手段と同じです…」


震えて言うレイさんの代わりにアンナさんが説明を引き取る。


「正確には仕入れ値をどうやってか安く仕入れることに成功した。こちらが相手を取られていく中で抗議に出たところであまり素行の良くない者が出てきたというところだな。場合によってはうちと手を切るように言われた者もいる」

「それで契約を切った後で前よりも少し高い値段で卸してません?」

「そうです。抗議に出た人も黙らされていると聞きます。私たちと取引していた人たちも取られてしまって…」


まだ取引を続けているのは腕が良い上に店主が元冒険者で簡単には言うことを聞かない人くらいだそうだ。元冒険者で店を持つ人って一定数やっぱりいるんだな。

そことの取り引きがまだ続いているおかげで縮小した状態でも続けていけているそうだが、これからのことを考えてザールさんのところを訪ねようとしたということだ。


「まあこういうことって相手よりも力があることで成立する策ですからね。俺たちがいる時点で相手にどうこうする手段は無いです。さっそく始めましょうか」


とりあえずアイテムボックスの中に入れているものの中で過剰にあるものを書き出したメモを皆の前に出す。レイさんとアンナさんで1枚別に渡す。2人一緒に見てね。

一応アイテムボックスではなく、マジックバッグということにしているよ。リセルやロイーグさんに渡しているものがあるから俺も同じように持っているのだということにいしている。久々にカバンから出しているように装っているわけだ。


「何が入っていてももう驚かないよね」


とはリセルの言なのだが、頷く面々と驚く人たちに分かれる。


「マジックバッグという時点で破格なのです!商人の夢ですよ!?」

「それもこんなに!?」

「1日あれば相当量の仕入れは出来るよ。同じものばかり仕入れたところで保存が効くのが便利だね。ということで1つあげる」

「「あげる!?」」


無造作にマジックバッグを1つ渡すと思い切り驚かれた。これが普通のリアクションかと感心して、混乱している人たちが治まるのをお茶をすすりながら待つ。


「とりあえず肉と野菜・あとは薬草関係はいくらでも仕入れられるよ。魔石も任せて。本当に売るほど手に入るから」


俺の『ドロップ率上昇』がようやく公の社会に進出する機会が訪れた。

『食材の宝庫』と獣人の村の収穫物を売る先がこれで安定しそうだ。売る量を気を付けてもらえば問題無いだろう。カンジョー商店に味方する人たちには少し痛い目に見てもらおう。

その場合のバランスに関してはレイさんたちに丸投げだ。経済がどう動くかなんて細かい話は俺には予想が付かないので、プロに任せるに限る。


「イレブン、果物は出さないの?」

「あれは値段が付けられないし、大量に出すものでもないから無し」


こっそりとリセルが聞いてきたので小声で返す。『極上の果実』産のものは簡単に売り出すわけにはいかない。無謀にも突っ込んでいって死人を量産するわけにもいかないし。

納得してもらえたので説明に戻る。


「あとはこの辺りに食材の中でも穀物が割と取れるダンジョンと金属が手に入りやすいダンジョンがありますよね?」

「ありますけど…、危険だと言ってもあまり気にされないですよね…」

「そうですね。それと作り方その他はマークル商会に寄付するので、売り上げに応じて少しバックをもらえる契約で新商品でも作りましょうか。この辺りはリセルとロイーグさん任せで」

「了解」

「任せておけ」

「作るものは完全に俺の趣味で作るけど気に入ってもらえると思うよ」


まだ追いつけていない人もいるけれど、言いたいことは言ったので分担を確認して動きの確認をする。


「じゃあ明日からやっていくぞ!」


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


販路拡大については俺とリセルがいる状態でレイさんとアンナさん、隠れて薙刀もついて来る。

最初は串肉屋のおっちゃんだ。今よりも安く仕入れられるよと実物を出して話していく。その場で変更とはいかないかもしれないと思っていたが、安い上に鮮度も良いものが手に入るといっても商売人とは揺れるものかと思っていたが、仕入れ値が以前よりも高くなっていたことは不満だったらしく、おっちゃんは快く応じてくれた。


うまくいくかなと思っていたのに最初から幸先が良いなと喜んでいたところで入るのが邪魔者だ。


「勝手に商売相手を取るような真似はあまり褒められた手順では無いんだぞ?坊主ぅ」


ガタイが良いだけのコワモテが1人とその子分らしき男が2人だ。


「カンジョー商店の人だね。いらっしゃい」

「あ?何を―――ぁぇ?」


顎を揺らしてその場で膝を着かせる。お店の先で騒ぎを起こすわけにはいかなかったので、3人とも引きずって暗い路地裏にご案内する。何かってオハナシのためである。5分とかからずに相手が素直に聞いてもらうことが出来た、しっかりと握手してその場で解散して俺は戻る。一方的に握手したとも言う。

戻ってくる頃にはレイさんとリセルで話をまとめてくれていた。


「今度からはカンジョー商店との取り引きの証は外してこっちのマークル商会との証と、この蜂の置物を置いてくれたら何かあったときでも安心だよ」

「証は構わないけどよ。この置物は何だい?」

「お守りだよ!私たちがいない時でもこの置物があれば何かあっても大丈夫!」


俺も一応声をかけておく。


「もし何かあったら言ってよ。そんなに時間もかからずに安心してもらえるようになると思うけどね」

「お前、無事だったのか!」


一応心配してくれていたらしい。おっちゃんいい人。当たり前のように仲間たちは心配しない。


今の騒ぎを見ていたこともあって、広場に出ている屋台から初めていった。その次にレイさんとの取り引きが深い料理店に挨拶して回る。元から脅された人たちがほとんどだったからこちらに回ってくれる人が多かった。

冒険者組合で俺が暴れたことも情報として出回っていたことも運が良かった。こんなことを言うと語弊があるけど、暴れておいて良かった。絶対に口には出さないけど。


「いきなり妨害が入るとは思いませんでした」

「そうだよね。びっくりしちゃったね」


レイさんはそう言っているが、予想は出来たことだ。これで話がもう一つ早く進めることが出来る。1日かけて一緒に色々と店を回った。

これで今までよりもマークル商会の収入が増えることで余裕が出来るはずだ。


次に確認するのは別の方向からだ。


「ロイーグさん、すぐに出そうな魔導具って整理できた?」

「ああ、簡単なでいいならいくらでもあるぞ。今までに貯めてきたからな。リセルちゃんが作ってたものもいくらかあるぞ」

「じゃあ手あたり次第お願いします」


少し困ったような顔をされてしまう。


「確認しないでいいのか?」

「別に今更でしょ。じゃあユーフラシアでも販売しているものも渡しちゃっていいよ」

「余分があるのはペイントボールくらいだな。わかった。あともう一つ構わないか?」

「いいよ。何?」


ロイーグさんがいつも提案してくれることは大体が作るものについてのことが多いが、何か作りたいものでも出来たのだろうか。


「人手が欲しい」


全く違っていた。


「いつも通り自分たちが使う分だけなら俺一人で良いんだが、販売するとなると無理がある。お前もリセルちゃんも他のことをするんだったら数を用意するのは大変だ」

「たしかに!」

「考えてなかったのかよ…」

「いや~、空き時間に作るので何とかなるかなって」

「それは考えが甘すぎる」


新規開拓していく話だから希望的観測に過ぎないが、どれくらいの数を作っていくのかを考えてみると売れ行き次第では結構な人手が必要なことが分かった。


「機械系を広めていくにはお前みたいなとんでも体質でもない限りはしっかりと学んでもらわないと難しいことが分かった。今日試してみたんだけどな。何となくでは作れないらしい」

「そうなんだ。少し学べばいけるってわけじゃなかったのか」

「ああ。だから俺の場合は品質や生産に関しての管理なら出来ないことは無いが、一人で流通分全てを作成するのは無理ってことだ」


いきなり頓挫してしまった。どうしようか。


「とりあえず興味ある人にレシピだけ渡して生産体制を整えてもらうことにする?」

「まあいきなり出来ることならその辺りかもな」


話がまとまりかけた時に糸太郎が何か踊っている。違うな、何か言いたいことがあるらしい。


「何が言いたいんだ?」

「糸で何か作ってるみたいだね」


待ってみると出来上がったのは腕に付けることのできるサイズの輪を作り上げた。それをロイーグさんに渡している。とりあえず受け取ったロイーグさんが考えてみる。


「イレブンじゃなくて俺に渡すのか?」


〇を出した糸太郎は空いている足を作って同じように輪を作り続けている。色々出来ていることは知っているが、割と大量にここまで作れるとは知らなかった。

俺が糸太郎を見学していると、隣でブツブツ言っていたロイーグさんがバッと立ち上がった。いきなりで不意を突かれたので焦った。


「うをぅっ!焦った~。どうしたの?」

「そうか。これに簡単なのを追加すれば、これはいけるぞ!糸太郎、可能な限り作ってくれ。無理はするなよ!」


そう言ってマジックバッグをひっくり返すと魔石やら自前の道具を出してきて作業に入った。ああなるとしばらくは集中して戻って来ない。

俺も似た状態になることがあるが、周りから見るとこう見えるのか。楽しそうと見るか、話しを聞けと思うか紙一重だな。まあ楽しそうに作業してるからこのままお任せしておこう。


「糸太郎、ロイーグさんがぶっ倒れそうになったらよろしくね」


任せろって感じで〇とガッツポーズが出てきたので頭をなでて頼んでおいた。


「さて、次はコトシュさんかな。食事の席にいなかったけど」


もうさすがにあの子が起きてもおかしくない。むしろそろそろ寝過ぎだ。コトシュさんと女の子が使っている部屋の前に来た。入るわけにもいかないのでとりあえず入り口付近で話を聞くか。

コンコンとドアをノックすると、中で何かが動く気配がする。何かあったのかと思ったら話し声の後にもっと音が激しくなってきた。これは立ってる場合じゃないな。


「入ります!」


中に入るとコトシュさんが女の子を押さえつけているところだった。

お読みいただきありがとうございました。

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