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話が進むのはみんなの協力があってこそ

お楽しみ頂けると幸いです。

聞き逃せない単語が出てきたので確認をする。その名前に覚え有りだ。


「そうです。私の名前はレイ・マークルと言います。何かありましたか?」


いきなり割って入ったけど、戸惑いながらもきちんと返してくれた。うん、じゃあ俺の方針も決まった。


「じゃあ支援決定で。とりあえずマルクトに行こうか。四輪に乗ってもらって一緒に行こう」

「あ~…。そういうこと?」

「そういうこと」


俺がザールさん達を助けたことも話していたから、いつものメンバーたちはすぐに状況を理解してくれた。

要するにマルクトの道具屋の名前が『マークルさんちの道具屋』だからだ。元のストーリーに関係する人ならば助けておくに限る。


「じゃあ言われた通りに動くとしますか。馬車を何とかして、四輪を動かす準備をしておくよ」

「周囲の確認だけしておこう。何か見つければ報告を飛ばすからな」

「ありがとう。よろしく~」


俺が決めたことでロイーグさんとコトシュさんを始めとして動いてくれるのはありがたい。レイさんとアンナさんは現状がまだ呑み込めていないけれど。


「まあとにかくザールさんにコネはあるので。身の振り方はそこで考えましょう。安全もお約束します」

「しかし、差し出せるものはほとんどありません。どうしたら…」

「いや~、魔国との交易品を融通してもらうとかマルクトでのコネが出来ればそれで良いですけど」


マルクトに店を構えているなら大なり小なり魔国とのパイプはあるだろう。王国にはない商品が仕入れることが出来るはずだ。

こんなに早く目当ての商品や職人と繋がる目当てが出来たのはラッキーだ。確実に喜んでもらえるだろう。


それと何を言われるか分からなかったので自分の意見を先に通しておくことは大事だ。友人のなり方としては一方的に援助するのは良くないだろうけど、俺としてもメリットはあるので最初だから気にしないでほしい。


でも全力で断ってホッとした顔をされるのも少し釈然としない。リセルは満足そうに頷いている。それはどういう意味の奴だ。


「わざわざ怖い人のところに行かなくて良かったね」

「はい」

「おい、待て」


怖い人って俺か?どこにそんな要素があった?どの部分か思い出そうとするが、思い当たることがない。あ、いや、俺のブチ切れが原因か!?

だとするとリセルの笑顔の理由は分かるし何も言えないけど腹は立つ。


「イレブン様。マルクトの方から近づいてくる人間が4人おります」


コトシュさんの遣いかわざわざ毎果が言いに来た。それ自体が緊急を示しているな。フレンドビーでは明確に俺に何が言いたいか伝わらないからな。


「敵意有り?」

「今のところは不明です」

「分かった。道を塞いでしまってるから開けて様子を見よう。あぁ、盗賊たちの処分が面倒だな。ついでだからユーフラシアに持って行くか。レイさん、マルクトまで馬車だとどれくらいですか?」

「えっと、馬車ですと…大体1日くらいかと」


それだけ離れていると何かあってもすぐには気づかれないだろうな。

まあ危険な目にあったのだから少しくらいはもてなそう。厄介ごとに巻き込まれているなら色々と話も聞いておきたいし。


「盗賊たちは野営の時にユーフラシアに連れて行くからまとめておいて。手首をどうするかは向こうで話を聞いてからにするよ」

「はいはい。じゃあ私がやるよ。糸太郎行こ」


リセルと糸太郎が盗賊たちを纏めに行ってくれる。コトシュさんが片付けてくれているかもしれないけど、縛り上げるなら糸太郎だし。

俺は荒らしてしまった街道の整地をしておこう。


「レイさんとアンナさんは少し待っていてくださいね」

「もう何が何だか…」

「出発前に固めた決意が…」


大人しく座ってくれているが、その胸中は激しく混乱状態のようだ。これは魔法が便利過ぎるのだと言い訳させてもらいたいものだ。


「イレブン様、先程毎果の伝えてきた冒険者ですが」


今度は最後まで残ってくれていた万花だ。偵察中のフレンドビー進化種から連絡が来たようだ。


「レイさんたちの護衛だった?」

「そのようです。コソコソとこちらの様子を伺っているのでどうするかと聞かれています」

「ん~。ちょっと待ってね。レイさ~ん」

「はい!?」


あ、アンナさんに聞く方が良いかもしれない。なるべくアンナさんに話しかける感じでいこう。


「アンナさんでも良いんですけど、例の護衛への依頼は冒険者組合を通して依頼したんですかね?」

「そうです。万が一でも危険があってはいけませんので、きちんと依頼をしています」

「わかりました。ありがとうございます。万花」

「はい」


こうしてみると俺も一応パーティのリーダーなのかなと思ってしまうな。


「拘束で」

「かしこまりました」


頭を下げた後で少し離れたところに移動して立ち尽くしているが、彼女が俺の言った通りに指示をしているということは理解している。

そこにレイさんが話しかけてくる。


「冒険者たちはどうなるのでしょうか…。マルクトでも名を上げてきた来た者たちだったのですが」

「彼らは逃げたタイミングが良すぎるんですよね」


レイさんはどういうことかと首をかしげている。俯いて震えているアンナさんは可能性を考えていたようだ。


「聞いてみないと分からないのですが、レイさんたちの妨害をしていた者に抱き込まれている可能性があります。それに正式に組合を通して受けた依頼を反故にして、闇に受けた依頼で害を与えるなんて組合にケンカ売ってるようなものです。場合によってはマルクトの冒険者組合にも何らかの処置が必要になる可能性もありますね」

「そんな…、大事に?」

「権力って怖いですよねぇ。大きくなりすぎると自分でも制御できなくなることがありそうで」


純粋な戦闘力としては相当なものを持っている現在、気を付けないといけないことだなと改めて自分でも感じるところだ。人の振り見て我が振り直せ、とはこのことだ。自分でも気を付けよう。今の俺は大丈夫だろうか。また今度聞いてみよう。


「イレブン様、薙刀より拘束が完了したと伝達がありました」

「オッケー。糸太郎に伝えて今の作業が終わり次第、絶対にほどけないように拘束しに行くように伝えてくれる?それで盗賊と一緒にしておいて。俺が話を聞きに行くから」

「そのように」


じゃあ整地も終わったし、誰か帰ってくるまで2人をそのままには出来ないな。面倒だから四輪に連れて行けばいいかな。


「イレブンさん?」

「なんでもないですよ。とりあえず少しみんなの様子を見て回りましょうか」


ロイーグさんたちにレイさんたちを預けて拘束した冒険者たちのところへと向かう。四輪の中の話や状況に対してどう飲み込めば良いかは一番感覚の近い人に任せるに限る。

その後は盗賊たちと冒険者はまとめて同じところにいるということで迎えのフレンドビーに案内してもらって合流した。


立っているのはリセルだけ。腕組みして冒険者を睨みつけている。糸太郎は仕事を終えてリセルの頭の上だ。

周囲には警戒のために薙刀を始めフレンドビーたちが飛んでいたが、俺が来たことで少数を残して移動していった。何も言わなくてもある程度察してくれるのはありがたい。

俺の考えを万花や毎果が読んでくれているからか。その上で指示してくれているんだな。彼女たちも優秀だな。何か甘いお菓子でも今度作ろう。知り合いの女性増えたことだし。


「や。どんな状況?」

「縛り上げは完了したよ。うるさいから声を出せないようにしてるけど」

「それでいいと思うよ。盗賊たちの状況は見せたの?」

「見せてないよ。というか手元なんて見えないし。というか聞いてくれる!?」


見れば基本のごとく後ろ手に縛っているから誰からも分からないだろうね。不機嫌なのは気になってたから聞きます。聞かないで済ませてくれないんだよね?


「こいつら、こんな状況で私を口説こうとしてくるんだよ?自分たちが非道なことをしたばかりの癖に!」

「へぇ」


遠慮はいらないようだ。脅しに使えるかと思ってどこにあるのかと聞こうとしたらスッと差し出してくれた。


「さすが。俺のことがよく分かってるね」

「煮るなり焼くなり好きにしていいよ」

「言葉のチョイス間違ってない?」


苦笑して冒険者たちの前にしゃがみ込む。その時にはたぶん表情は死んでると思う。


「こんにちは。いきなり拘束して悪いとは思っているよ。でも、2つだけ質問に答えてほしい。もしこちらが疑い過ぎたということであればいくらでも詫びを入れるから。まずは拘束を解く前にこれを見てほしい」


そう言って、リセルから受け取った袋から地面にぶちまける。まだくっつけていない盗賊たちの一部だ。冒険者たちは一瞬何か分からなかったようで、しばらく凝視した後でゆっくりと俺の顔を見てくる。

4人全員が顔を上げたところで笑顔で聞いてみる。まだクロと確定したわけでは無いので出来る限り友好的な笑顔でいくべきだろう。


「まず1つ目は冒険者として依頼遂行をきちんと行っているのかだね。まさかとは思うけど害するつもりで引き受けてないよね?」


必死に首を縦に振っている。う~う~と何か言おうとしていたのは耳障りなのでやめてもらう。


「でも接触する前の会話を薙刀ちゃんに教えてもらったけど、『なんか惜しいよな』って言ってたらしいよ」

「『惜しい』…か。何のことを言っていたのか分かるけど殺意しか湧かないね。さて、名も知らぬ冒険者先輩たち、言わなくても分かっていると思うけど念のため言っておこうか。嘘ついたらどうなるか分かってるもらいたいんだ。ちゃんと本当のことを言ってほしい。証言なんて1人から取れれば良いからね」


変化を自分の目でも確認しているとはいえ、すごく見苦しい。冒険者たちは涙や鼻水で顔面がぐちゃぐちゃになっていくのだ。さすがに少し引く。


「イレブン、『威圧』を使ってないのは分かるけど。それ以外の圧が少しかかってるよ」

「力加減が難しいんだよ。そうでなくてもこいつら同業者として最悪なんだし!」


冒険者が組合から正式に受けた依頼を意図的に反故にするとか信用を失う行為だ。直接俺に関係なくても冒険者全体にとって迷惑ことに変わりはない。俺が抑えられない理由は他にもある。


「あとさ、お前ら。誰の女に手出ししようとしたわけ?」


これには意図的に『威圧』を使いました。見事に一瞬で気絶したけど。


リセル、後ろで喜ばないように。緊張感がなくなるからね。

お読みいただきありがとうございました。

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