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地味に新しく魔物をテイムしてました

お楽しみ頂けると幸いです。

「はい。カバン出来たよ」

「仕事早いな!ありがとう!」

「ベルトに通して使ってね。ここを通してくれたら良いから」

「分かった」


まずは身に付けて問題無いか確認してもらう。


「ん、こんな感じだな?」

「シンプルな形だけどね。イレブンならこのくらいで良いでしょ」

「どういう意味だよ」

「こっちが少しは着飾ってあげないと自分では何も気にしないところだよ!」

「あ~、確かに全く気にしてないな」


装備品はあくまで数値と効果優先だからな。外見を気にするのはそこをクリアしてからの話だ。

サイズとしても見た感じも気に入ったのでサクッと『時空間魔法』をかけてマジックバッグにする。


「これで良し。アイテムボックスから取り出す時もこれから出せばいいな。じゃあ俺は伐採してきた木材の手入れするわ。夕食はまだだよな?今日の当番は誰だ?」

「万花ちゃんと毎果ちゃんだよ。あとは補助に糸太郎もいるけど」

「じゃあ俺たちは俺たちで少し手伝う方がいいか?」

「もう毎果ちゃんが色々と把握したから大丈夫でしょ。コトシュさんも今日は休みにしてたし」


食に関しては俺も興味を持つようになったが、俺よりも並々ならぬ興味いや執着を見せると言っても過言ではないのがコトシュさんだ。

前に一度毎果たちに食事を作ってもらった。美味しかったのだが調理器具の問題もあって量を準備するのが大変だった。がんばってる作ってくれているのだが、いかんせん体の大きさの違いが悲しいところだ。

だから今日は休み半分、食事の手伝い半分として過ごすらしい。食べる専門が作ることにも興味を持ったのは他に作る人がいないからだ。


「意外だよな。思ってたよりも食事にあんなにこだわるなんてな」

「イレブンが原因でしょ。食材の質が向こうのものよりもずっと高いって言ってたし」

「その様子だと向こうの大陸に帰るとか考えてなさそうだな」

「どうなんだろうね…?ロイーグさんはコトシュさん次第なところがあるからね」


話をしている間に伐採した木を伐り揃えて、『乾燥』して燃えやすいようにする加工も完了する。

リセルがどれくらい取っておくのかによって俺の在庫が決まるので、出来た量と質を確認してもらう。足りなければもう一度伐採に行くことになるが。


「半分もらっていい?」

「いいぞ。それだけで足りるのか?」

「大丈夫だよ。でもこのままの気温だと寒くなりそうなんだ。氷精霊の氷ちゃんが最近元気だし」

「それは確実に寒くなるな」


氷精霊が元気になるから寒くなるのか、寒いから元気になるのかは分からないところではあるけれど。

予兆があるなら備えておいた方がいいな。あとはそのうちザールさんのところに行って知らせておこう。何かしら有効活用してくれるだろう。


「風ちゃんもそうだし、サーちゃんは火の大精霊だから大丈夫だけど他の火の精霊たちは少し元気がないかな」

「防寒具を増やすのもそうだけど、薪もあった方が良いってことだな。ザールさんに伝えようと思っていたけど、森の具合を見てもう少し伐採しておくか」

「ありがとう。今日じゃなくても良いと思うけど」

「だったら『極上の果実』に行ってくるよ。少しでもレベルを上げておきたいし」

「わかった。じゃあ、『入った時点で解除してあげてね』」


精霊はAIじゃないからある程度は会話で内容を理解しておいてくれるし、こう伝えておけば問題はない。


「目標のレベル100まではどれくらいで上がりそうなの?」

「集中的にやれば10日、今まで通りのペースでやれば1カ月ってところかな」

「ふむ。じゃあいっそのこと集中的にやれば?もうすぐ動き出したいところなんでしょ?」

「そうだなぁ。今急ぐことって何かあったかな…」


秘奥義も一応使える状態だ。よく使う特技を固定にするくらいかな。

それぞれの顔出しも少しくらい減らしたところですぐには支障は出ない。

装備品は間に合わせた。生産系も一先ず俺の担当は落ち着いてきた。あとはリセルとロイーグさんに任せればいいか。


あ、1つだけ現状で必要だけど調達してないものがあった。


「1つ以外は問題無さそうだけど、それは明日以降でいいや。今日はとりあえずレベル上げやってきてもいいか?」

「いいよいいよ。それにレベルも超えただけだと意味無いんでしょ?」

「一応レベル100に上げるだけでも意味はあるけど、余分を上げておいた方が色々と役立つな」

「じゃあとりあえず十日間で様子を見て考えてみたら」

「そうするか。今からだと少しだけだけどな」

「夕食には遅れないようにね。万花ちゃんよりも毎果ちゃんが悲しむからね」

「分かった」


毎果の方が?あの無表情の中にそんな感情が見えた覚えがないんだが。リセルが気づいてるってことは俺が見逃したんだよな。目が良いだけで感情に疎いことを気を付けようと再度心に留めることにした。


時間を気にしていたので、深入りせずに軽く魔物を狩って経験値を稼ぐ。正直気にし過ぎて入り口付近だけにし過ぎて効率は悪かった。

既にめぼしい果実は種ごと回収が済んでいるので新しく手に入るようなものは無かったが、冬を感じる会話をしていたのでミカンなどの柑橘類を土産に収穫して帰って喜ばれた。

ちなみに万花と毎果の作ってくれた夕食は美味しかった。コトシュさんが手伝うこともなく作り上げたそうだ。フレンドビーたちの蜂海戦術も使ったらしい。


「料理の出来る個体も検討してみます」


毎果が真剣な表情で言ってくれていたが、既に掃除や洗濯が出来る進化個体も出てきている。フレンドビーたちの進化はどこに向かっているのだろうか。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


さて、翌日は糸太郎(リセル命名)を連れて俺のレベル上げに『極上の果実』に来た。

糸太郎はこのダンジョンに生息している糸蜘蛛をテイムした。『裁縫』に関してはリセルの領分ではあるが、材料となる糸が簡単に手に入るものではなかった。

さすがにクリア後ダンジョンだけあって特殊個体ではあるのだが、名前のシンプルさに騙されてはいけない。比喩表現でなく様々な糸を作り出すことが出来る。

今日は俺の戦闘を見てもらうことで、ある糸を作ってもらうことにしている。


現状作り出せるのは丈夫さバツグン・魔力抵抗良しといったものだが、糸蜘蛛事態の経験や食べたものによって火耐性や防刃耐性など色々な特徴の糸が作り出すことが出来る。

ちなみに色の指定も出来るから糸太郎をテイムしてから女性陣がたくさん食べさせて大量の糸を作り出すという作業をがんばってくれていた。ブラックとまではいかないけれど濃い目のグレー環境だった。

糸太郎の元気が少し無くなっていくのとは逆に女性陣の装いが華やかになっていったよ。俺は村にあまりいないけど、ロイーグさんと糸太郎の間には割と男の友情があるそうだ。

テイム仲間として万花たちとも仲は良い。強いのは確かなので薙刀たちの訓練相手になっていることもあれば、作業の手伝いをしていることもある。


どんなものでも食べるけど好きなものは果実が豊富なダンジョン出身だけあって果実だ。テイムしたのが俺ということもあるけど、好物を大量に俺が持っていることを覚えると割と肩に捕まっていることが多くなった。

糸作りが落ち着いてきたから、一緒に行動してみようとしてきた。ずっと暮らしていたダンジョンだから連れて行くことに意味があるかは分からない。おまけに成長もしないタイプだったようだし、戦闘もどちらかというとサポートタイプだ。


「まあ、俺の本業は冒険者だから見る機会があっても良いと思うんだ。大丈夫だとは思うけど気を付けるようにしていこうな」


糸太郎は話すことは出来ない代わりに糸で意思を伝えてくれる。今回は『○』を作ってくれたので了承しているとの意思が伝わる。

万花たちもそうだったが、テイムしたら割とかわいいフォルムへと変化した。何となくオスだということが分かったので良かったが、外見だけならかわいいの一言だ。

精神年齢的にも大人というよりも少年という感じだ。性質は正直な働き者だから、変にからかわないようにということが本人(本魔物?)がいないところで決議が出されている。


「戦闘に使えたら良いなと思っているのは色々とある。ただ糸を作ってくれるだけで助かってるから出来そうだったらってところで構わない。まずは見ててくれ」


これにも了承で返ってくる。素直や…。万花たちが人に近い形へと変化したからテイムした魔物って感じがしない分、これが初めての魔物との同行って感じがするよ。


「お~し!久々に全開でいくか!『挑発』ゥゥゥゥ!!」


腰には自ら鍛えたミスリルの剣が2本ぶら下げ、手に持っているのは少し耐久力は落ちるが弓だ。今日の目的である弓に最適な糸を見繕ってもらうのだ。それには実際に使っているところを見せた方が分かりやすいだろう。

威力や用途、俺は魔法の矢を使ったりもするのでそれを見てもらう方が良い。弓部分が変わるとまた弦に使う糸も変更するかもしれないが、そのときはそのときだ。


釣られた魔物から順に遠距離でガンガン討ち取っていく。大体五本も当てれば倒すことが出来る。ピンポイントで急所も狙いやすいし。

アイテムボックスは常に開いて、弓を放つとすぐに矢が指に触れるように取り出す。『探知』も使って一番近い個体をチェックを忘れない。

視界に見えていなくても引っかかるところ目掛けて撃って行く。素早いものだと躱されることもあるが、その場合は鏃に込めてある魔法を解放して少しでも傷を負わせていく。

順番が1つ後回しにはなってしまうが、一撃でも当てていれば向こうの迷いが生まれるため次の一矢が当たりやすい。


ただ、弓だけで何とかなるのは最初の3分くらいで少しでも大きい魔物は矢だけでは止められない。近距離に一体でも踏み込まれるとそこから遠距離攻撃だけで対応できるように状況を押し返すのは俺一人では難しい。

弓を収納して、剣二本へと持ち帰ると今度は自分から仕掛けていく。やはり使っている素材が良いだけあって、一撃のダメージはこっちの方が高い。


「とまあこんな感じなんだ、が……大丈夫か?」


戦闘が終了したのは5分後だったのだが、話しかけても糸太郎は固まったまま動かなかった。

しばらくすると問題無いよと答えてくれたが、なぜか非常に疲れていた。何か気になることでもあったのだろうか。

戦闘を続けても大丈夫とのことだったので、同じようなペースで続行した。途中で採取したてのマンゴーを食べさせたら大喜びしてくれた。


何度か繰り返していくうちに慣れたのか教えてくれたのだが、テイムされた段階では俺がどこまで強いのか認識しないままだったようで想像以上の強さに驚いたらしい。

まあ糸太郎が激レアの魔物だからテイムしただけで、そうでないなら魔物は基本的には倒すからな。糸太郎の運が高かったのだと思うぞ。基本的に運の数値が高い魔物のはずだからな。


さて、もう少しがんばりますか。

お読みいただきありがとうございました。

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