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VS大型人型戦車その1

お楽しみ頂けると幸いです。

『探知』で掴んだのは1カ所だけだが他にも来ているのだろうか。あれだけ大きいと壁を壊すつもりだったらどこからでも侵入は可能だ。

移動中も状況を把握しておきたいので、空中を移動していくことにする。『空歩』で跳ねながら移動を開始する。向こうからは1人の人間が、ましてや空中を移動するなど想定していないだろうから見つかることも無いだろう。


近づいていくと徐々に状況が分かってくる。さすがに元からあった街の壁を壊すつもりは無いらしい。ただ、俺が大門の周囲に仕掛けた壁はどんどん壊している。

ついでに援護の車両もあるが、下手に前に出ると大型人型戦車の邪魔になるからかかなりの後方、数百メートルくらいに控えている。制圧のための人員だと思われる。完全に把握は出来ないが、西からのみの攻撃のようだ。他の方角にはそこまで目立ったものは見当たらなかった。

あとは逃げようとしていた人達もさすがに避難している。これが陽動で他のところからも来るとかないよね。まあ目立つところから処理すればいいか。俺は一人だけなんだから出来ることをするだけだ。


「武力を持って攻撃するものにはあくまで武力で対抗する!!」


近づくと声が聞こえてきた。こちらの接近にはまだ気が付いていないようだけど、性能を知りたいからまずは目立つことにしようか。これくらいなら壊れないだろうと火球を放って気を引く。

火球は命中とともに爆炎と化すが、煙を払った後は特に損傷はなかった。あれも魔法無効化の効果がありそうだ。対処法は分かっているが、あれだけ大きいと少し手がかかりそうだ。


「はっはっはぁ!効かん、効かんぞ!これはお前のような意味の分からん力を使う者への対抗手段として作られているのだ!お前を仕留めて力を確認した後はもう一度侵攻して我が国の支配下に置くぞ!」


仕方ないこととはいえ、俺が進行に対しての最大の壁として認定されているようだ。ならば期待通りの仕事を行うことにしよう。


この国の人間に対して自業自得だとの説明をするのは面倒なので、真正面から叩いて無力化すれば良いかな。正面から見ると高層ビルがそのまま襲ってくるかのような錯覚を受ける。足回りのキャタピラだけで俺の身長よりも大きい。簡単にはひっくり返らなさそうだし、肩の上にある2つの砲台も結構な大きさだ。

1人の声しか聞こえないけど、複数人で動かすくらいには大きなものなんだろうと推測する。ロイーグさんから一人乗りはまだ開発されていないと教えられている。似たようなやつはロボットアニメでも見たことがあるな。決して主人公が乗るようなやつではないが、根強いファンはいそうな機体としてだが。

俺だってさすがに実際に見ると少し心を掴まれた感はある。ただ、そうは言ってられない。攻撃目標は俺だし、街中で使用して良いような兵器ではない。街の外へと誘導しないといけないだろう。


さて、どうやって撃退しようか。以前と同じ落とし穴でも構わないのだが、さっきも同じ手段でハメてきたところだし。そこで考えつくとことが1つ。

在庫が増えるだけだったものを使っても良いだろうか。使い方だけはこっそりとロイーグさんに教えてもらった。本来の使い方では無いが、難しいところは俺が魔法を使うことで何とか出来る。『念動魔法』を使えば人手の問題は大概が解決できる。便利魔法万歳。

方針が決まれば街中にいるのは迷惑極まりない。まずは目くらましだ。数十の火球を打ち出して、対象のあちこちへと着弾させていく。一応どこかから悲鳴は聞こえるが、おっさんの悲鳴なんて聞きたくないから聞こえなかったことにする。


その間にさっさと大型人型戦車の後ろを取る。そのまままっすぐに車列の方へと走る。サイズとしては大型の家族用乗用車というところだろうか。8人は余裕で乗ることが出来るがバスというには小さい。


走りながらアイテムボックスから取り出したのは大型人型戦車用と思われる武器である大型の鎚だ。5メートルはある。大きいことは良いことだと言ったのはどこの誰だろう。確かに良いことだ。振り下ろすだけで全てを無効化できる。

初撃は振り上げて少しよろめいて誰もいないところへとわざと落とす。特に『重力魔法』を使ったわけでは無いが地響きが響いた。近場で感じだ限り震度にして3は間違いないな。当たり前か。この間に自分の行動を決めてもらいたいものだ。


後ろの乗用車十数台に乗っている兵士たちは予想としては大型人型戦車が蹂躙した後の片づけ程度にしか思っていなかっただろう。

俺が先に標的にしたことで、放心して何もせずに乗っていればそのままぺちゃんこに、逃げたとして戦闘を仕掛けてくれば結局は同じ運命が予想できるはずだ。逃げればまだ良いだろうけど、逃げ切れるかな。逃げ切ったところでどこへ行くのかって話もある。

もう一つ加えると果たしてそこまで行動するものがいるだろうかという点だ。以前の『俺』なら突然5メートルの巨大なものを持って近づいてくる人型生物を見たら何もできない方が9割で、恥も外聞も全て捨てて一目散に逃げるのが1割だろうね。


練習代わりに振り回して何度か地面へと叩きつけている間に車列が後ろの方で方向転換しているのを確認する。大型人型戦車も方向転換が終わってこちらへと移動を開始している。味方の近くだから遠距離攻撃は出来ないようだ。

今後を考えれば過激派の兵士は少ない方が良いか。非常時とはいえ一般市民がいるところに軍事兵器を悪気なく運用するようなやつだし。いや、悪気があれば良いってものでもないけど。

『縮地』で何度か移動して最後尾へと移動する。正面に俺が現れたことで目が合った運転手は眼がとんでもなく大きくなっている。目は口ほどに物を言うということわざを本当に見た。


もう手加減はいらないだろうと一応人が乗っていなかった車の右側から水平に叩いて吹き飛ばす。衝撃音と共に何回転かころがったあとに横倒しで止まる。


「ナイススイングだな」


周りに味方が誰もいないので自分で褒めておく。

あとは正気に戻られる前に全て処理しなくてはいけない。と言っても十数回振り回すだけなら1分もかからない。近づいて振る、をくり返して大型人型戦車が方向転換を終えてこちらへと近づいて来るころにはしっかりと準備を終えて相対することが出来た。


次にアイテムボックスから目立つところに置いたのは、向こうが肩に担いでいるものに比べれば明らかに小さい砲台2つだ。地面に設置して照準を合わせた後は大型人型戦車に向けて発射する。両方とも装填したものは5発ほどなので、一気に打ち切る。

照準は割と適当ではあるが、風でも念動でも軌道修正は後から出来るのでどこでも当たれば良い。対象は15メートルを超えているからどこでも良いとなると当てるのは簡単だ。俺も不具合が出れば動かなくなるだろうから後先も急所も考えずにただとにかく撃ちまくれと考えているからかな~り適当だ。


「よっし、全弾命中!!」


爆音をあげて10発すべてが命中する。ちなみに今撃ったのは火薬の入った砲弾タイプだ。武器工場を破壊するときにもらってきた世代が少し古いタイプのものだ。

これはこれで完成しているから特に手を加えるところは無いとロイーグさんに言われたものだ。全てが機械では無いんだなと思ってアイテムボックスに死蔵するつもりで持っていたものだ。


10発も当たればそうかもしれないが、先程俺が気を引くために放った火球1発よりも効果はあったみたいだ。打ち切った砲台は再装填が面倒なので2つとも収納する。

次はその辺りに転がっている車両の陰に隠れて同じように砲台を設置、全弾一斉射撃をくり返す。弾も砲身も馬鹿みたいにあるのだ。俺が飽きるまでか致命的に破壊し尽くすまで同じような目に遭わせておこう。

向こうからは簡単に攻撃できない。味方が生きてるのか死んでるのかも確認すら出来ていないようだし。実際は車内からうめき声は聞こえているので生存者はいる。確かめる気も無いから『いる』ということだけしか言えないけど。


大型人型戦車から攻撃の挙動を見せるのは隠れながらの砲撃を始めて10分もしないくらいのころだった。

お読みいただきありがとうございました。

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