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突入。まずは防御と攻撃方法の確認

お楽しみ頂けると幸いです。


【時間は少し遡って…】


最初は要塞が戻っているかの確認だけをしていた。思ったよりも破壊していたみたいで動力部がどこかは知らないが、帰還を開始した要塞も来るときは1週間のところを3週間かけて帰りついていた。楔を仕込んだところが一か所だけだったので要塞無いがどうなっていたのかまでは分からなかった。まあ何がどうなってようと自業自得だが。

すぐに空間を繋げて潜り込んだ。物に埋め込んでおいて俺が場所の確認さえすれば自分で運ばなくても問題無く移動できた。実験は成功だ。改良してみんなに持たせておけばいつでもその人のところに空間を繋ぐことが出来るし、仮に誘拐されてもすぐに連れ戻すことが可能だ。


要塞が向こうに着いたら最初は隠れて楔をいろんな場所に打ち込むことだけにした。要塞が修理で入った工場の外側、街中の路地にもいくつか、街も立派は外壁で覆われていたけど隠れてこっそり乗り越えるなんて簡単だ。壁のすぐ外側だけでなく、少し離れた森の中にも設置しておいた。

設置し終わったら街中の様子をぶらっと歩いて確認する。要塞が帰還したのは昨日の晩のことだ。秘密裏に戻ってきたとされているみたいなので、話に上がることも無いようだ。

普段の様子を知らないが、まあいつも通りというところなのだろう。出ていた屋台で聞き込みをしてみたが、特に目新しい話は無かった。


こっちの国は機械が存在していることもあって、色々と加工技術が進んでいた。具体的には屋台に出ている焼肉は香辛料を振りかけるだけではなく、久しぶりのソースやタレ文化に少し懐かしく思った。

すぐに地元に土産にしたいから買えそうなところを聞いて買って回ることにした。通貨が無かったから手元にある素材を適度なところで売りさばいて得た。


急に現れた俺が色々と大金の関わる取引をしているから目を付けられたから身を隠すことを学んだよ。まさか到着から半日もせずに目を付けられるとは思っていなかった。

いずれ大暴れすることは決まっていたけど、今日じゃないとは思っていたから逃げに徹することにした。その時に身を隠すローブがいるなと気が付いたし、戦闘中は仮面で隠した方が良いなってことにも気が付けたから逆に良かったかな。


ある程度様子も分かったし、街を騒がせてしまったから『空間接続』で戻ってきた。そのときはまだ獣人の村だったな。


戻ってきたらロイーグさんとコトシュさんの2人に現地で購入したものを見せた。


「これがどういうことか分かる?」

「新ショービリア連邦に行ってきたのか!?」


さすがに見ただけで分かるらしい。


「コトシュさんは食べ歩きが趣味だからな。こちらにはソース文化が無いからよく愚痴をこぼしていたんだ」

「やめろ!!」


さすがに全部ばらすのはマズいと思うぞ。完全に余計な一言だったと思うし。コトシュさんも顔を真っ赤にしているぞ。話が終わった後にゲンコツの一発も覚悟しておいてくれ。

まあ今は気安くそういうやり取りができる関係になっているのはロイーグさんの努力だとは思うし、俺は何も言いません。


「まあ、『空間接続』は既に見せてるから良いけど、追い返した要塞が向こうに着いたんだよ。で、潜入してきた。向こうがこちらに来られても困るし、二度と手出しできないように痛い目に遭わせようと思ってる。そこで2人に話を聞きたいんだけど、まず俺の考えを聞いてほしい」


ちゃんと内容が内容だけに話を少し切ったときには真剣な表情に変わっている。


「俺は軍人でもないし、戦争に直接巻き込まれたことは無い。今回の一件が初めてだ。でも、もし巻き込まれたらって考えたときに思っていたことがある。間違っているかもしれないからその時は意見を言ってほしい」

「それは構わない。ただ、こいつも私もいわば亡命兵だ。意見が偏っていることは確かだぞ」

「いいよ。どうせここまで来たら意見なんて一致しないし。それに戦争の意義の話ではなくて攻撃目標に関してのことだし」

「まあ、聞くから言ってみてくれよ」


コトシュさんとは共通に持てそうな話題がなくてあまり話せていなかったけど食事が好きだという点からこれからは話していけそうだ。まずは話を聞いてもらうことにしよう。


「もし俺が攻撃を開始したら総動員して対抗して来るのか、職業軍人だけを相手することになるのかを教えてくれ」


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


【時間は前話の直後に戻ります】


「結局のところは職業軍人だけを相手にすれば良いとのことで良かったよな」


知っている範囲の軍事拠点の場所を聞いたら翌日から魔物狩りの時間を削って毎日2~3か所は潰してまわった。

合間に2人から聞いた反政府組織と渡りをつけて情報をもらうことだけは確約させた。あくまで取引で俺は情報をもらって暴れるだけにした。ある意味反政府組織に嫌われる勢いで削っている。

理由は簡単で、一度襲撃を受けそうになったからその場にいた攻撃要員を向上にいた兵士たちと同じ処遇にした。それからは何も反抗は受けていない。


だから向こうに知り合いは一人も作ってないよ。名前を覚えたところで逆に襲われる可能性もあることが分かったからね。

色々と利用はした。優先的に襲撃してほしいところは言うとおりにしたし、俺からも『死にたくなかったらこの国から出て行け』って内容の文書を一般人向けに撒いてもらった。ついでになぜこんなことになっているのかも一緒に。

いつまでもアスゲラ・ビグ・ミグトベイの胸糞悪い話なんかを信じて、更にそれを国の方針の核にしているからだってことも広めてもらっている。


「そこまで広めてしまえば自己判断できるくらいの教育はされているよ。逃げるやつは逃げるし、残るやつは残る。そこから先はもう運でいいだろ。お前の話を聞いてあの国が思い描くようなことにするのはマズイことは良く分かった」


俺の気が軽くするために言ってもらったのかもしれないけど、気持ちが軽くなったのは確かだ。来てくれたのがこの人たちで良かった。

まあでも良い方向だけに行くわけもなく、軍事工場が破壊しているところはなるべく俺も隠していた。だから反政府組織が情報を広めていることもあって一般有志がデモ活動をしてるんだよね。

そんなこんなでいつの間にか結構深刻なダメージを与えた方が良い国民性だなって考えたんだよ。武器関連の施設を潰したら俺がやらなくても周囲の国に潰される可能性もある。周囲に国があるのかも知らないけど。


「俺もコトシュ…さんも親の顔を知らない。孤児院で育ったからな。国営だったから軍人になったけど、孤児院で学んだ逆のことをやっているって気が付いたからな。守るためではなくて誰かを傷つける武器だった。他にも悩んでいる奴はいるはずだ。死にたくなければって話で動くやつはいると思うぜ。俺たちは先生に恵まれた」


ロイーグさんが少し寂しそうに言っていた。その孤児院の先生なら逃げろって言われたら逃げていると思うから実行に移した。これ以上待ったとして、国に残っている奴は事情があって動けない一般人以外は上層部のラスボス皇帝信奉者か何も考えない軍人だろう。

この話を聞いて一般民家には絶対に攻撃しないことを決めた。俺自身が夢に見てしまいそうだからだ。ちなみに信奉者はもちろん、軍人も同じように処してしまうつもりだ。これは殺すつもりで攻撃を加えてくる奴に俺が容赦する気が無いからだ。


腰抜けの軍人が逃げるかもって?その場合は反政府組織の人たちに情報だけでも掴んでもらって無理な奴は引き取る、いけそうなら彼らが動くことになっている。

俺は誰も殺すつもりはないけど彼らがどうするのかは知らない。聞く気も無いし。無駄に巧妙に逃げることが逆に自分を追い込むことになるんだけどそこまでは責任持てないね。


「今日の襲撃からは政府直轄の建物なんだよな。行政府とかお偉いさんの自宅か」


不審者全開のローブと仮面で行政府の正門前に立った。予告をしていたから門番がすぐに気が付いて警笛を鳴らしている。


「敵襲ー!!敵襲ー!!」


10秒もしないうちに銃を正確に構えて二列横隊で銃口を向けられた。『鑑定』で確認すると魔法無効の銃弾が込められていた。ここで防御が出来るかを確認したかったからちょうど良い。はやく撃ってもらいたいものだ。


「国中を混乱に貶めた罪は許しがたい!即刻銃殺刑が許可されている!それ以上近づけば撃つぞ!!」


むしろ近づいたら撃ってくることが分かったので歩いていく。非常に驚かれてしまった。最低限の防御手段は取っているから早くしてほしい。


「止まれ!止まらんと撃つぞ!」


あと10メートルとなったところで、向こうにも踏ん切りがついたらしい。掛け声と共に撃ち込まれてきた。真剣に銃撃は前回も受けていなかったと思う。しかも魔法無効だ。外れた銃弾が土埃をあげていく。攻撃は1分ほど続いただろうか。


「撃ち方やめぃ!!」


その声で止まった。この国の人は白い肌に青みがかった瞳をしている人が多いよ。髪の色は人それぞれだけどね。すごく静かに見守られてしまっている。この中を進んでいくのは恥ずかしいね。まあ俺もわざと風を起こして土埃をたててあげたのもある。


『探知』で銃弾を把握、MP多めに発動した『結界』で魔法無効を相殺に持ち込む。消費したMPが問題無いかステータスも随時確認。念のため貫通してきた弾丸があれば避けられるように体も準備しておく。『思考領域拡張』もあれからレベル7まで上がったのでこれだけのことをしてもまだ余裕がある。


問題無く防ぐことは可能と結論付けても良さそうだ。工場破壊は常に隠密中心だったから兵士たちの処理は同じでも、基本は闇からの攻撃しかしてなかったからな。土埃をかき分けて姿を見せるとそれだけで悲鳴が起こる。薄くした風刃でそこそこに攻撃を加えていくと更に悲鳴があがる。ここで大事なのは断面に中途半端な回復を施して傷口を塞ぐことだ。これで立派な戦力削りになる。


利き腕が使えなくるし、自分の足で立つことは出来ても満足に移動は出来なくなるだろうけど、生きていられるだけ良しとしてくれ。

お読みいただきありがとうございました。

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