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秘密を隠せなかったイレブンとがんばるリセル

お楽しみ頂けると幸いです。


いつもブクマ・評価・いいねをしていただいてありがとうございます。来月もがんばっていきます。

夕食を取りながら作戦、というよりも起きてからの役割を確認する。


強襲部隊は俺、大精霊治療部隊がリセル、遊撃隊が朱雀、以上だ。要するにいつも通り、向こうに行ってから俺が様子を見てどうするかを考えるという行き当たりばったり作戦だ。それしかないので役割に関しては特には言われない。リセルが落ち込んでるのは別の理由だ。


「奥の手を実戦で使う機会が無いよぅ」

「まあ今はここから動けないからな。今回に関しては仕方ないって」


せっかく練習もそこそこ行ったのに練習以上の機会が恵まれずにいるリセルが悔しがっている。


≪何かすごいことが出来るのかしら?≫


「そうだな。俺がいないと出来ないことではあるけど」

「今回手に入れたやつを使えばもっとすごいことが出来るんじゃない?」


こっそり準備しようと思っていたのになぜ分かるんだ。レベルが違うというよりも次元の違う物が出来上がるのは間違いない。ちょっとロマンが溢れてきているのは確かだ。あまり表に出せないけど。ここは褒めるところだな。


「よく気が付いたな!ゲームのジャンルが変わりそうではあるが、俺も興味がある!ただ雷の精霊が欲しいところだな!」

「がんばって魔法を使ってね。今日だけだと新しい子は見かけなかったから」

「来たら俺にも分かるからな。リセルに近くにいると少し援護してくれるから威力上がるしな。でも雷の精霊が来たところで一から組み上げていくから結構時間が必要だと思うぞ~」


盛り上がっている俺たちを見て、朱雀が気圧されつつも聞いてくる。


≪良く分からないけど、すごいことなのね?≫


「間違いなく。朱雀の出す鬼火は無理でも普通の兵士軍団ならリセル一人で余裕だな」

「イレブンのおかげだよ」

「いやいや、俺の悪ふざけのアイディアに乗ってくれたリセルのおかげだって~」


装備さえ整えれば一国の軍隊全ての相手すら可能になるかもしれない。それにも色々と超えるべき壁はあるからがんばらなくてはいけないな。


「おし。可能な限り鹵獲だな。部品は出来る限り壊さない方向でやってみようか」

「ケガだけはしないように気を付けてね」

「死んだら終わりなのは分かってるよ。十分気を付ける。さて、そろそろ眠る」


≪結構お疲れのようね≫


「昨日寝てないからな」


ぽろっと油断して本当のことを言ってしまった。眠気が限界です。その状態でよく朱雀の試練を乗り越えたものだ。今日の俺はところどころで隠れてポーション飲んで乗り切ってるからね。


「そうだったの!?」

「そうだったの~」


≪あらあら、気が付かなかったわ≫


それは嘘だな。リセルに隠し通せていたのならそれでいい。言ってしまったことで意味がなくなってしまったが。


「朱雀、起こすのだけお願いしていいか?向こうの様子によっては時間の調節が必要だろ?」


≪上手いこと言うわね。構わないわよ。私のお願いなんだから≫


「じゃあ、おやすみ~」


最後まで隠せたら良かったのにな。詰めが甘かった…。すぐに横になると眠りに落ちた。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


【リセル視点】


昨日寝てなかったなんて知らなかった。ほとんどいつも通りだと思ってたのに、いつもよりもポーション飲むけど消費が激しいのかと思ってしまってた。もう少しちゃんと見ていないといけないな。

ダメだなぁ。いっつもイレブンに助けてもらったり、負担をかけてしまってる。もっと自分だけの何かを手に入れるようにしないとダメだ。


「ねぇ、スーちゃん」


≪何かしら≫


「私もスーちゃんの試練って受けてみたいな」


≪そうね。経験値が入らないからリセルちゃんには私の試練を受けてもらう方が良いかもしれないわね≫


「じゃあ、私にピッタリだね!」


≪さっき言ってた奥の手というやつを教えてもらえると具体的なアドバイスも出来ると思うけれど≫


どうしようかな。確実に友達が減るから言って回るのはやめておけってイレブンが言ってたんだけど。大丈夫かな。


「スーちゃん、友達やめないでいてくれる?」


≪あなたたち、一体何をしようと考えているのかしら?大丈夫よ。あなたが成長すればかなり近しい存在になるのだからずっと友達よ≫


「わかった。ならぼく一人でできるところを見せてあげるね。できれば明日無事に終わってから」


火の大精霊のお世話をしながらでも簡単なものなら出来る。けど危ないからやめておこう。両手をかざして試そうとしたところでスーちゃんが目の前に飛んできて、嘴でおでこをつつかれた。


「イッターイ!!」


≪リセルちゃん。あなた今何て言ったか自分で気づいていたかしら?≫


「ええ?今また『ぼく』って言ってた?ごめんなさい~~」


≪無意識に言ってることだからもう少し気合を入れないと直らないみたいね。イレブンが気づかなかったのはあなたの口癖も原因の1つよ。少しは気合入れて直しなさい≫


「う~。スーちゃんだって時々声が低くなって口調が合ってないときがあるじゃんか~!」


≪私はいいのよ。どこからも強制されることはないから≫


それって誰も矯正できないからじゃないのかな~。


≪何かしら?≫


「ナンデモナイデス」


こうなるとスーちゃん怖いから。昨日もかな~りお説教されてまず口調を直すように言われた。あとは仕草とか、あとはきちんと行為を示すようにすることを言われた。

恥ずかしいから少しずつだけど、まだまだみたいだ。正直イレブンの趣味に合わせるなら戦闘さえがんばれば良いかと思ってたけどそれだけじゃいけないみたいだ。


≪リセルちゃん、いいかしら!?一緒に併せるだけじゃダメよ!せっかく可愛い女の子なんだから、武器も活用するのよ!疲れた時にそっと癒してくれる女には男も落ちるってもんなのよ!≫


ぼ…、わたしにはまだ実感できないけど。女の子扱いされたら嬉しいのは何となく分かる。それを男には自分からやったと思わせるようにさりげなく誘導するのだそうだ。

慣れたらできるのかな~。それにスーちゃんも声が大きくなってきたから落ち着いてほしいな、イレブン寝てるし。わたしの奥の手は見なくていいのかな~。


≪夕日の落ちた後の海岸で、焚火がパチパチとはじけるのよ。それくらいの良い感じの雰囲気になるように私だって少しくらい手伝ってあげるわ。そうして見つめ合う2人は互いに近づいて…≫


海なんてわたし見たこと無いよ。そろそろ帰ってきて~。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆


【イレブン視点】


≪起きなさ~い≫


軽くつつかれて目を開けるとリセルが目の前で寝ていた。


「!?」


慌てて飛び起きて壁際まで後ずさる。


≪起きたかしら?≫


軽く言ってくれたことで目が覚めた。そりゃ起きるだろうよ。起き抜けにこれは刺激が強い!抗議しようにも寝てるリセルの前で騒ぐわけにもいかない。

とりあえず手で表に出ろとジャスチャーして外に出る。


「なぜリセルが一緒に寝てる?別に寝床を作っておいただろうが」


≪暗くて間違えてしまったのよ。リセルも疲れて眠りに落ちるくらいがんばってくれたものだから。リセルを運んでいる最中に火を使うわけにもいかないでしょう?≫


こいつ…確信犯だ。だが、すぐに反論できそうなところが見つからない。


「同じことを繰り返すなよ?」


≪肝に銘じておくわ≫


肝があるのかだけは聞いておきたいが、また言いくるめられそうだからやめておく。


「夜明けまではまだ時間があるのか?」


≪まだ2時間くらいは余裕あるかしらね。今すぐ行けばまだ眠っているところで強襲がかけられるわね≫


仮にも神獣がここまで片方に肩入れしても良いのだろうか。


≪神獣と言っても最初は普通に生きていたのだもの。神獣というのも勝ち残って得た立場みたいなものよ。いつでも死ぬ覚悟は出来ているといっても命を狙われたら報復くらい考えてしまうわ≫


突き抜けた生物だったのか。


≪余程がんばらないと無理よ。自分でも奇跡だと思っているのだから≫


「普通に生きているだけでは無理ってことだな。参考になるかは知らないけど一応覚えておくよ。じゃあ行って来ようかな」


≪こっちは任せておきなさい。向こうへ行くときの援護は必要かしら?≫


「いや、いいよ。今ある手札で何とかするから。あ、念のためリセルの奥の手置いとくから」


アイテムボックスから取り出して置いておく。


≪これは…。だからリセルちゃん専用なのね。よく考えたものね≫


朱雀からは感嘆とも呆れとも取れるような感想をもらう。


「ファンタジーな世界で何が出来るか考えていたら必ず通る道だよ。これでリセルに何かあったら自衛手段になるからな。これは見たことある?」


≪無いわね。今の人間には難しいのではないかしら。そう簡単に実現できるものでもないから。呆れたものだわ≫


「それは誉め言葉だな。じゃあ本当に行くことにするよ」


俺に関しては新しくスキルも2つ取得したし、大丈夫じゃないかな。スキルの使用に問題無いことを確認して思いついたことを聞いておく。


「そういえば鳥目とかないよな?」


≪無いわよ。視覚以外にもちゃんと察知することくらいできるから≫


「わかった。じゃあ頼むわ。行ってくる」


要塞1つ潰しに。

お読みいただきありがとうございました。

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