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朱雀の話。いろいろとやることがてんこもり

お楽しみ頂けると幸いです。

「さて、じゃあリセルも来たことだし。神獣の話に移っでもいいのか?」

「わかったんだね、スーちゃん」


≪そうね。じゃあ神獣の話もしましょうか≫


「ちょっと待って。スーちゃんの飲み物が少なくなってるよ」

「恐れ入ります。ただいま追加を持ってまいりました」

「あ、毎果ちゃん。ありがとう!」


≪感謝するわ≫


「痛み入ります」


毎果はまた戻っていった。


「ツッコミ待ちだよな」

「何が?」


≪別に笑いのスキルなんて身に付けたつもりは無いわ≫


「ボケってスキルがあるのか!?違う、そうじゃない!スーちゃんってなんだよ!」

「え?スーちゃんだよ」


≪スーちゃんよ≫


「特大のボケをかましてるのはお前らだろ!いつの間に朱雀のことをスーちゃんなんて呼んでるんだよ」

「昨日からだね」

「時間を聞いてるんじゃない。ってさっきの聞き方だとそうなるか」

「そうだよ。わたしのことを色々と相談に乗ってもらってるうちに仲良くなったんだ。そうしたらしばらくの名前を付けてほしいって言われたから」

「朱雀だからスーちゃん?」

≪「そ」≫


一緒に言ってるんじゃないって言おうとしたけど、もはや言葉にならなかった。もう細かいことを言うと話が進まないことが分かった。


≪じゃあきちんと話すわ≫


「かき回してた自覚はあるのかよ」

「まあまあ」


≪そうね。まず神獣も一緒にいる大精霊たちも無事であることは確認できたわ。離れられないから迎えには来てくれないけど≫


「朱雀は平気なのか?担当場所とやらから離れて」


しー…んとした音だけが広がる。え?まさか…?


「スーちゃん、教えて?」


≪問題無いわ。ここも担当区域だから。端の方ではあるけど≫


「おい、今の間はスーちゃんとやらと呼ばなかったからか?」

「たぶん?」


リセルが苦笑した顔で教えてくれる。聞こえているのは承知の上で言ってしまおう。


「昨日からキャラが変わってないか?」

「まあ長生きではあるけど20年間も自由に動けなかったから、楽しいみたいだよ」

「自由になった反動ってところか?付き合わないといけないのが面倒と思ってしまうのは俺だけか?」

「あはは…」


≪さあ。2人の仲も元通りになったところで本当にちゃんと話すわね≫


なんか引っかかることを言われた気がしたが、もういい。話を聞くことを優先しよう。俺が何も言わないことすら楽しいという雰囲気を漂わせながら続きを話し始める。


≪まず私が話したかったことは神獣を訪ねて回りなさいということよ。向こうの安全も確認できたし、行っても問題無いと思うわ≫


4体の神獣全てに会いに行けば良いのか。場所を知らないんだけどな。


≪地図はあるかしら。この大陸の全体像が分かるものがあれば良いのだけど≫


「無いな。この国のならともかく他国まで載っているような地図は無い」


≪あら。困ったわね≫


全く困っていないような感じで言わないでくれ。


「だが、簡単なものでいいのなら時間をくれれば描くぞ。待っててくれ」


紙とペンを取り出してざっくりと描き始める。リセルはいつものことだよ~と言いながら朱雀を撫でている。変人は思った以上に面白いのねぇとか呟いている鳥は無視しよう。

どれくらいかかったのかは知らないが、描き終わったものはそこそこしっかりと描けていると思う。離島までは再現できていないが、大まかな形くらいは問題無いはずだ。


「描けたぞ」

「どれどれ。へ~、大陸ってこんな感じなんだ」


≪上手に描けているのね。それじゃあ場所を教えるわよ≫


絵心は俺には全く無いが、当然ながら飽きるほど見た形の大陸で『正確な作図』スキルで再現したに過ぎない。

何でもないように渡したが、実は過去一番でうまく描けた絵だったりする。自分の手の動きに秘かに感動さえしている。


「子どもっぽい」

「なっ、何が?」

「べつに」


≪いちゃついてないで見てね≫


「いちゃついてない!」

「あ、いちゃついてないんだ?」

「はぁ!?」


≪はいはい。こっち見なさいね≫


戦闘中でも無いのに、混乱にかけられているかのような感覚になってくる。


「この印をつけてくれたところが他の神獣さんのいるところ?」


≪そうよ。大陸を四分割して北が玄武、東が青龍、西が白虎、そして南が私、朱雀。自分たちが出入りできる範囲はその中の極一部よ。それぞれが好きにやってるからあまり連絡はしないわね。さっき驚かれちゃったもの≫


説明が先に行くので話に追いつく。地図を見ると次に行くことが出来る神獣は自動的に決まることが分かった。


「次は青龍しかないな。あとの2体はしばらくかかるかもしれない」

「そうなの?」

「ああ。理由は簡単だ。青龍は王国領だが、白虎は魔国領だし、玄武に至っては俺の知っている言葉だと帝国領だ。現在だと中小国家群の先と言えばいいのかな。簡単には行けないな」


魔国だけなら何とかなるが、中小国家群はどう考えて良いかがもはや不明だ。俺も知らないと言ってしまう方が良いな


「魔国か~。だったら先に連絡だけしておこうか。ミケンダに頼んでおけばいいよ」

「なんとかなるのか?」

「ミケンダが知らなくても誰か知ってると思うよ」

「全部押し付けているような気になるが」


こき使っているのは俺もだが、あくまで出来そうだと思っているから頼んでいる。俺が知らないだけで伝手がちゃんとあるのだろうか。


「まちがってないね~。あと帝国の方なら知ってる人がいるじゃない。聞いてみたら何か分かるかも」

「そうか。帝国出身で、そこから王国までを旅してきた人がいたな。よし、いそうな時間帯に言って聞くとしようか」


段取りが付いてきた。とはいえ、移動に余りに時間がかかるなら緊急性と天秤にかけて順番を決めなくてはいけないな。


≪さて、私の役割は以上よ。ここからはお願いになるのだけど良いかしら≫


「ああ。何でも言ってくれ」


≪私を捕らえた集団はまだ諦めていないわ。だから何とか諦めさせないといけない。それと、神獣が1体でも倒れてしまうといずれ連鎖的に4体とも消滅してしまうわ。簡単にはやられたりはしないけど、面倒な相手ではあるわね≫


「脅しはあれだけじゃ効果なかったか」


既にお前たちの防御手段は何も意味を為さないことを示したつもりだったんだけどな。


≪残念ながらそういうことね。私も20年くらいじゃ何ともなかったけど、あと80年も捕らえられてたら分からなかったわね。あの集団は火の大精霊のことを私と勘違いしていたようなところもあるの。目的は達成したと勘違いしているわね≫


「目的まで分かっているのか?」


≪何とか弱体化させたかったみたいね。自分たちが敵わない存在を早くから消しておきたかったみたいよ。今のあなたならあの集団をこらしめるくらい訳ないでしょう?神獣だもの。人間がいくら力を身に付けたところで簡単にはやられたりはしないわ≫


「やっぱり悪い奴らだったんだね」

「それは間違いないな。でもなぜそこまでわかるんだ?」


≪神獣の領域で神獣に敵うと思ってはいけないわ≫


全てお見通しになるとかですかね。強くなったところで敵いそうにないな。


≪だからあの装置とやらは危険ね。より高度にされてしまうと私たちも危ないかもしれない。可能性はわずかだけど≫


「じゃあ手っ取り早くその野望を潰しておけばいいんだな?」


≪お願いできるかしら≫


「どうせ大精霊をなんとかするために行くんだ。ついでだな」

「そうだね。ぼ、わたしも一緒に行くよ!」


≪セーフね。助かるわ。大精霊もいなくなると一時的にバランスが危うくなるから大変なのよね≫


「そういうことは早く言おうな。大丈夫なのか?」


≪大丈夫よ。私が不眠不休で動けばいいだけだから≫


早く行った方がよさそうだが、どこまで気遣えば良いのか判断に迷う話だとも思った。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆

【余談】


「なぜ俺を執拗にからかう?」


≪あなたからかったら面白いもの≫


「焼いてやろうか、この鳥」


≪残念、火の神獣よ≫


「……っふふ」

「そういうところが面白いって言われる原因だと思うんだけどな」


≪さすが、リセル正解≫


「もう俺帰っていい?」

お読みいただきありがとうございました。

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