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聞いてないよ?

やろうと思ったらすぐにいけました。

お楽しみ頂けると幸いです。

「とりあえずお会いできてよかったです。ご無事と判断しても良いのでしょうか」


そう話しかけてたが、プイッと違う方向を向かれてしまった。なんで?


「あの~…?」


≪ピィちゃんと呼んでくれないならお話はしません。あともう少し砕けた感じで話してください!≫


「あの~、朱雀さまも丁寧な言葉を使ってお話しいただいてますけど?」


≪私のは癖だから良いのです。数えるのも面倒なくらいに染みついているのです。これは直そうと思っても直りませんから気にしないでください≫


そういえば火の大精霊が5000歳だと朱雀に教えてもらったと言っていたな、それを超えるくらいの年齢であることは確かなのか。そうすると直らないか。

っていうかなぜにフレンドリーを強要するのか。その方は理由を教えてくれって話だけど。じっと見ているが、チラチラこちらを確認するだけで譲る気は無さそうだ。これはもう言うとおりにした方が良さそうだ。


「わかりました、じゃなくて、わかったから話を教えてほしい。とりあえずの状況は打破したと思うけど同じことがいつ起こってもおかしくないようだと困るし。俺の常識では神獣やら精霊が消えるってのはあまり良くないことだと思ってるんだけど」


≪ん~。まあ良いでしょう。そのくらいの口調なら話します。それにしてもお腹がすきました。何か食べ物をくれませんか≫


ちょっとマイペースが過ぎませんかね!情報をもらうためだ。何が良いかな。


「肉は生も焼いてあるものもあります。穀物はあまり持ってません。パンならあります。あとは、自信あるのはハチミツですかね。フレンドビーが気合入れて作ってくれています」


≪では、お勧めのものをいくつか頂きましょう。多少小さくしてもらえると助かります≫


はいはい。女王さまのお言いつけ通りにさせてもらいますよ。言われた通りにアイテムボックスから取り出して一口サイズに切り分けていく。

どれくらい食べるか分からないのでとりあえず一皿ずつ準備していく。残ったものを俺も食べようかな。作業中もチラッとリセルを見るが球体もリセルも特に変化は無い。

これだけの状況でも大丈夫ということなんだろうか。そろそろ火の大精霊とかうちの相方のことを何とかしたいんですけどね。


≪安心してください。もう少しすればあの子の結界も解かれるでしょう。無理に破壊しようとしても私も苦労する強さですからね。あれに腕を突っ込んで無事なあなたが規格外ですよ≫


一応考えていることはお見通しらしい。それなら信用して言われた通りにしておこう。


≪む。やはり言うだけありますね。このハチミツは美味しいです≫


この鳥スゴイな。パンにハチミツつけて食べてる。カロリーすごい食べ方だと思うな。俺はその分ひたすらに運動してるんだけど。


≪ふ~、満足しました。ごちそうさまでした≫


明らかに鳥の体積以上に食べたな。準備したものは全て食べた上でパンとハチミツをお代わりされた。パンもこれからは少しこだわった方が良いかな。ザールさんに相談してみようか。

俺も準備を終えたら、あなたも早く食べなさいと言われて一緒に食べている。いつもよりも味が分からなかったのは仕方ないだろう。


食後の飲み物も要求されたので、果実水を出して飲んでいたら急に動きを止めて球体を見つめた。ようやくか?


≪そうですね。そろそろです≫


言葉が言い終わるか終わらないくらいに球体が解除された。球体がちょうどハマるように穴を掘っておいたので球体だけが無くなったような感じだ。俺は走って、朱雀もパタパタと飛んで球体がはじけたところへと向かう。

リセルの周囲には精霊たちがふよふよと浮いてくれていた。よく分からない状況で守ってくれていたことがありがたい。足しになるかは分からないが、それぞれの属性の球を出して労いの気持ちとして渡す。攻撃にはなっていなかったみたいでうまく取り込んでくれた。


リセルも寝ているだけで特に何も無いようだ。ただ、攻撃を受けていたようで服装がボロボロになっている。装備は整えていたが、ほとんどはメラノさんが作った元から着ていた服である。気に入っていたのだろうが仕方ない。着替えさせようかとも思うが胴体部分は残っているし、一応年下の俺に着替えさせられたとかイヤだろうからマントを被せるだけにしておく。

とりあえずポーションをかけておく。呼吸はしっかりしているから体の内部までダメージは受けていないようだ。それに水の精霊が治療をしてくれているから問題無いかな。


≪さて、確認は済みました≫


「リセルもなんとも無いようだ。火の大精霊も無事なのか?」


≪いえ、無事とは言えません。存在の全てをかけて張っていた拒絶結界ですから≫


「え?」


存在の全てをかける?


≪そうです。あれらの持つ技術は私たちの根源とも言える力そのものを破壊もしくは吸収するものでした。それくらいの覚悟と力を込めなくては守れないと判断したのでしょう。だからあなたが腕を差し込めたことが考えられないことなのです。神獣の私でもね≫


「痛いどころでは無かったですし、腕無くなるかと思いましたけど?」


≪上位存在では無ければ接触したところから燃え尽きてますね。実際に何をしても手が出せないためあれらも手をこまねいていたわけですから≫


無茶をし過ぎてた。左腕が少しかゆくなる。


「でもまあ何とも無かったし、いいですよ」


≪条件付けをあの子が少し優しくしていた可能性もありますけどね≫


俺の実力で無事だったみたいなこと言っといてそれか。


「火の大精霊は無事だったんですか?やたらと消耗してそうな気がしますが」


≪このままだと消えてしまうかもしれません≫


「そんな!?」


せっかくリセルと助けてくれたのに。もしかして俺のせいか!?俺が結界に無茶なことしたから…。


≪あなたのせいではありませんよ。使う前からあの子も覚悟していたはずですから、満足していると思います。それに精霊はまたすぐに生まれ変わります。特に火の精霊は何度でも蘇りますから≫


そんなこと言われても人間の俺としては納得できない。火の魔力が増えれば良いのか?


≪相性の問題です。あなたでは適性はあっても効率が悪い。それはあなたもよく理解しているでしょう?≫


分かってるよ。無属性の魔力だとどの精霊も吸収できるけどいいところ1割くらい、属性合わせたとしても半分くらいしか吸収できないみたいだ。俺では足りない。だったら


「リセル!起きろ!お前を助けてくれた火の大精霊が死にそうなんだ。お前なら助けられるかもしれない!起きてくれ!」


≪まだ起きることは出来ないでしょう。受けた衝撃は相当なものです≫


「そうも言ってられないだろう!」


ポーションをかけてダメなら次は飲ませるしかない。仕方ない。あとで謝ろう。一度自分で口に含んで飲ませる。むせるかと思ったが、飲んでくれはしたがそれでも起きなかった。


なぜだ!?何か厄介な攻撃だったのか!?


まず原因が何かが分からない。次に治療法だ。このまま起きないというのも困る。

少しだけ考えて決断する。背に腹は変えられない。出所不明だけどスキルポイントを使用して打開策を探る!


≪スキルポイントですか。そういえば私とあの子を助けて得た分をまだ使っていませんでしたね≫


「あんたたちが原因か!助かる!ありがとう!」


予想はしていたけど当たりだったらしい。それさえ分かればためらう理由は無い。


まず原因を探らないといけない。まずは必要そうな知識スキルを取得、看破や直感を取得して、希少スキルの『鑑定』を取得する。

すぐさまリセルに向けて発動する。HPやMPには問題は無い。見なければいけないのは異常が起こっている場所だ。


よく見てみると何か首の後ろの部分に黒い靄がかかっている。何かの呪いか?ちなみに現状で使用できる『手当』をその箇所に使用すると靄の上は巡って頭の方へと巡っていく。

しかし靄の下の部分は靄に取り込まれて消えてしまった。回復を阻害する効果があるようだ。こいつが原因か。いつのまにこんなことが起こっていたのか。水精霊のせいではないから気にしないでほしい。


<阻害の呪い>

リセルの成長、回復を阻害するためにかけられている。強力な癒しか、解呪で解くことが出来る。


これか。ついでだからリセルが成長しない原因がこれみたいだぞ。ちょうどいいや!よし、原因が分かったなら今度は取り除こう。


≪それは解かない方が良いと思いますけどね≫


朱雀がなぜかストップをかけてくる。少々癇に障る。朱雀が助けようとしない火の大精霊を助けるためだ。


「悪いけど、相棒に呪いがかかっているのは見過ごせない。それに火の大精霊を助けたいってのも俺の本音だ。悪い結果にならないならさせてほしい」


≪悪いことは起こらないでしょう。彼女にとっては≫


間があって返事がくる。だったら好きにさせてもらいたい。礼も少なく作業を再開する。


まずは後回しになっていた治癒魔法を取得。『手当』よりも数段強力になった癒しの力だが結果は変わらなかった。右手でスキルボードを操作し、左手は該当しそうな魔法をかけていく。

段階として生命魔法では求めているものが違っていたので、少しかけたが効果がなさそうだったのでやめておく。聖魔法の解呪を使うとかなり効果があるが、まだ魔力が不足しているようだ。それならと残りのスキルポイントを全て連魔に注ぐ。少し足りなかった分は作ったばかりのSPポーションで補充する。もう一気に使い切ってしまった。

ついでに『連魔』と『聖魔法』を多重で発動して無理矢理引き剝がしていく。最初は拮抗するかに見えたが、すぐに黒い靄が剥がれていく。


「いけるぞ!」


こちらはその魔法を維持しておくだけで黒い靄が完全に剥がれた。そうするとリセルの体に先程かけた生命魔法が効果を発揮する。


「今更、効果あるのか。体が成長していく…?」


≪少し離れてあげなさい≫


「え?あ、ああ」


目の前で起こっていることが良く分からないが。小さいことを気にいしていたからな。喜ぶだろう。


「う…。イレブン?」

「リセル!良かった。気が付いたな。詳しい説明は後だ。火の大精霊を助けてあげたいんだ。リセルのMPを渡してあげてくれ」

「わ、わかった」


起き抜けなのにパッと目を覚ますとまだ俺の魔法効果が効いている最中なのに、MPを贈っていく。


「こんな感じで良いのかな。どうかしたのか?あれ?なんかいつもとなんか違う感じがする」

「身長が伸びてるからな。視線の高さも違うだ、ろう…な?」


何かがおかしくないか?髪の毛が伸びていくのは良いけど、思ったよりも身長が伸びない。体の輪郭が何か思ったのと違う?


「こんなもので良いのかな」


≪一旦はそれで良いですよ。これで一安心と言って良いでしょう≫


俺の頭はフリーズしている。


「わあ、話が出来る小鳥なんてはじめて見たよ。イレブン、この子はどうしたんだ?おい、イレブン?」


顔を真正面から見据えてしまい、現実が間違いないことを確認する。


「その小鳥、朱雀…」


≪ええ。私が朱雀です。よろしくね≫


「そうなんだ。よろしく!で、ぼくが成長してるのはなんで?ん?成長?」


何かに気が付いたリセルは自分の体を確認する。マントがかかっているから見てはない。今がどうなっているのかは極力見ないようにしている。


≪イレブン、土の壁でも作ってあげてはいかが?≫


「了解」


リセルの服一式を見ないようにして渡したあと、土魔法で壁を作る。一部分だけでなくリセルがいた場所を狭くないよう広めに四方を覆っているものだ。


お、俺はどうしたらいいんだ。頭を抱えてうずくまる。リセルって女の子だったのかーーーーーーー!!

お読みいただきありがとうございました。

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