表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/335

強くなろう

評価、ブクマ、いいね頂いてありがとうございます。やる気を頂いております。

お楽しみ頂けると幸いです。

「あ~、答える前にそのアーマー脱いでくれるかな。こっちの攻撃が通らないじゃないか」


この場での生贄は視線をさ迷わせてどうにか打開策を探しているらしい。あ~とかう~とか言っているが言葉にはならないくらい困っているみたいだ。

周りも視線だけは動いているようだが助ける動きを見せない。動いてもいいと思っているのは1人だけだ。もちろん誰であっても下手に動くようなら確かに攻撃するけど。

まごまごするばかりで答える気はないみたいだ。だとしても状況的にこいつが責任者であることは確かだ。


「じゃあ他の人で良いよ。緑の髪に赤い眼をした子に攻撃を加えたのは誰だ?もしくはその指示をしたのは?」


「そ、その司令官だ!実際に攻撃を加えた奴はもう死んでる!」


一人の男がなぜか耐えきれなかったみたいで叫んでくれた。まだそっちには何の圧力もかけたつもりは無かったけれど証言してくれた。


「それは本当のこと?一人だけだと信じきれないんだけど」

「お、おい。本当だってよ」

「いや、一人だけの証言で決めたらだめだって言ったじゃん。きっかけになってくれたことには感謝するけどさ。他の人からも同じ証言が取れるかだってば」

「そ、それはそうか…。お前らも…、その…、教えて、やれよ…」


何か不都合なことでもあるからの歯切れの悪さかな。最後の方がか細い。それにしても俺が悪役みたいになってないか?でも言っておかないといけないことはある。


「嘘はつかないでね」


誰も何も言わなくなってしまった。そういえばこいつら兵士か軍人か。あとで上官の言うことに反抗していることが分かったら罰則とかあるのかもしれない。だとしたら何も言うことは無いか。

じゃあなんであいつは証言したんだろう。普段から恨みがあったとか?恨みを買いそうなやつではあると思うけど。


「ねえ少し話が出来る人が欲しいんだけどさ。あ、その怪しい人以外で」


しばらく待っていると


「…ここで交渉しようというのか」

「だって埒があかないもん。きっちりやり返さないとダメでしょ?それとも要塞ごと地面に埋めた方が良い?」


話しかけてきたお付きらしい立ち位置の人が顔の仮面を外して良いか許可を求めてくるので許可する。


「ならば私が応じる。だからまだ生きているものの命は許してほしい」

「ダメ、と言いたいところだけど。内容によるとだけ言っておこうかな。やられたらやり返す。俺は泣き寝入りだけはしないと前の反省で決めたし、やるなら自覚させたうえで自分でやり返すってことも決めている」


素直になるわけも無いだろうし、じっとこっちを見てくる。だったら止めだ。


「誰も何も言わないなら皆殺し」


ひっと言う声が聞こえた。まあこの世界で戦争なんてしばらく起こってないはずだから、兵士の訓練を受けただけのやつならこれくらいの脅しで反応してくれるか。こっちはつい最近まで兵士の訓練を受けたことも無い一般人だぞ。

ふーっと顔の見える男がため息をつくと目を逸らした。まあ聞きたいことを聞いていこう。


「今は監視されてるわけ?」

「見ているようなら既に何らかの手を打たれているはずだ」

「この状態になったら表のこととか気にしてられないよね」

「これも…、お前が…?」

「さあね」


効果があるかは知らないけど一応誤魔化しておく。自然現象で起きたとは思わないだろうし、そもそも小さい落とし穴にはめたのは俺だもんな。通用しないか。でもとぼけておく。


「で、質問の答えを聞いておきたいんだけど」

「命令を出したのは司令官で間違いない。それと実行した中で生きているものがあと1人だ」


目の端でその声に反応した者も1人。あ~、俺に殺されたくなかったからか。


視線を送ると震えている。さっき声をあげた男だ。兵士の訓練って大変だな。蜂娘たちの何が何でも忠誠を誓いますって感じはすごいよな。命を助けたこととテイムのせいかな。

兵士の訓練も大変だな。俺は絶対に兵士なんか育てるような立場にはならないぞ。物語と違って大人数何て簡単にはまとまらないだろうからな。数人の仲間とテイムした魔物たちでいいや。


「さて」


手を踏む。もう片方の手も踏む。しばらく使えないだろうな。おまけに遠くへと投げる。要塞がハマっている割れ目のところまで飛んでいったのでついてに土魔法を使って割れ目付近の土をもろくしておく。同じ作業をくり返しておく。


さて、追い込んだのはいいけどどうやってこの場をおさめようか。もう既に一般兵を手にかけてるから俺は立派な人殺しだ。魔物と違って遺体が残った分、頭も冷えたが自覚も出来た。

思ったよりも感じることは少なかった。たぶん仮面のおかげで倒れただけに見えることも大きいと思う。まあ冒険者組合の依頼の中には犯罪者の捕縛、討伐もある。ここで経験できたのは良かったと無理やりにでもそう思っておく。


とりあえずは今後に役に立ちそうなので武器をもらっていこうかな。


「武器もらっても良いかな」


許可を確認したけど無視された。仕方ないから無断でもらっておこう。すぐにどうにかなるものでは無いがアイテムボックスに入れておけばいい。自分で使ってみても良いし、鋳つぶして今後の別の武器なり道具かにでもしてしまおう。

倒れているからといって油断していては後ろから撃たれかねないので端から武器を回収していく。一応可能ならと、彼らのご自慢のアーマースーツとやらも回収しておく。そのときに顔を見ないようにだけ注意しておく。

何なら顔に布をかけておくくらいはしておく。自分のメンタルがよくわからないがこれくらいはしてあげても構わないだろう。


拾っている途中で悲鳴が2種類聞こえたような気がするが知らない。地割れだからね。どれくらいの深さが出来ているかは知らないけれど、結構深いだろうな。

助けに動こうとした人も割れ目まであと少しのところに蹴り飛ばした。それ以上近づくなら同じところに行ってもらうよと言ったらそのまま動かなくなった。それが賢明だと思う。


倒れている全員を触っていったが生きているモノの装備品は取れなかったので、手に入ったアーマースーツは10人分と少しだった。スーツは一般兵のもののみだが、銃はエリート部隊のものも含めてそこそこ頂戴することが出来た。手放していたことが大きいのかな。

銃弾も欲しいが、今はそこまでは言わない。何か要塞の方で動きがあるようだ。出入り口らしきところから内側から叩く音がしている。無理矢理にでも開く前兆って感じだ。


次は要塞の中に乗り込むか?さすがにそこまでやるのはイヤだな。そろそろリセルの様子を見に戻りたい。


しつこいかもしれないが今の要塞は斜め45度の状態で最初よりも更に深く割れ目に沈み込んでいる状態だ。簡単には脱出できない。空を飛ぶくらいしか手段は無いと思う。

もう少し時間をくれたら地面の中に埋めるくらいは出来ると思う。要塞はさすがに魔力無効化が施されてはいないようなので大規模に攻撃が出来ないことが面倒だ。


そう考えていたら要塞から声が聞こえた。


「外にいる人員に告ぐ!!現状の確認のためにハードローラーを出動させる!!我々の関係者でない者がいるのなら命の保証はしない!!外にいる兵士諸君は可能であれば同志の救助を優先的に行いたまえ!!」


だそうだ。名前的にごついのが出てきそうだ。じゃあ困るからもっと割れ目に落とすか。更に働きかけを行う。ズズズと更に要塞が穴へと落ちていきそうになる。扉を叩く音がしなくなる。これで外にいる何者かがこの事態を引き起こしたということを理解してくれただろう。


まさか偶然、要塞がひっくり返ったとでも思ってたのだろうか。考えが甘くない?でも、この走行をぶち破るくらいの何かを確保しておかないといけないのか。サンプルにこの外装部分もらえないかな。


「頼む。私が交渉するから、見逃してもらうことは出来ないか」

「じゃあ聞くけど、朱雀という神獣に手を出したかどうか分かるか」


何も言わずに押し黙る。


「沈黙は肯定と取る。今後は一切手を出すな。俺が今後守る。ついでに言うなら、アスゲラ・ビグ・ミグトベイの復活はさせない。今後も続けるというなら、俺が敵対することになる。どこを根城にしているとかは知らない。これまでに何をしてきたかも知らない。ただ、あの過去の王を復活させようというなら絶対に止める。あいつが復活したところでお前たちに生きる目は無いぞ。死にたくないなら死ぬ気で止めろ。絶対に世界樹には行かせない」


過去の皇帝の名前、そしてやつの最終目的である世界樹を出したときの表情で全容は知られているのだということは分かった。ただ、こいつらも死ぬ。なぜならラストダンジョンである世界樹のなれの果てに、生きている人間は皇帝1人だけだからだ。まあすぐに化け物になるんだけど。


そう言ってこの場は離れる。ここいらで一旦手を打つことにしよう。ここまで表舞台に出て来なかったんだ。まだしばらくは隠れているんだろう。


こんな要塞を相手取るためにはもう少し大規模な攻撃手段が必要だ。武器にも拘らなくてはいけない。あとレベルも早いこと100を突破しなくてはいけない。あいつらは俺が思っていたよりも技術の進歩がある。アスゲラは万能の科学者みたいな描き方をされていたが、別に兵器に関しての専門家がいるようだ。こんな要塞や神獣の封印なんて無かったからな。


あの振舞いの皇帝だ。どれだけ功績を挙げたとしても、1つのミスで殺していた。進歩に貢献したその重要な人物も殺したのだろう。あいつは人の話を聞かずに自分の中だけで話を完結するキャラクターだ。そういう人物像にしたと公式に言われるくらいだから。


こいつらも王国や魔国などに見つかるようなことはしないだろう。どう考えてもこいつらが本気出したら簡単に王国くらいはひっくり返せるとは思うけど、魔国にいる連中は相当強いからな。


生きる目標とは大事なことだ。それが守るためだというなら恥ずかしい話だがやる気が出てくる。以前はただ奪われ、あとでその代償を贖わせただけ。短い時間だが生きている人たちと知り合ってしまった。今度は失うことなく守ることができるようだ。


ただ何となく強くなるのではなく本気で強くなることにしよう。

お読みいただきありがとうございました。

そういえば100話を超えてました。ありがとうございます。まだまだネタが残っております。

本当は100話で主人公が秘密を知って顔面蒼白になるのを考えてたんですけど過ぎてました。まずはそこまで持っていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他にも書いた小説です。短編だけでも時間潰しに良ければどうぞ。
私の魔法の使い方
https://ncode.syosetu.com/n8434ia/
婚約破棄は構いませんが…、本当に私がそんなことをしたとお思いですか?私の本気は少々刺激が強いかと思いますけれど
https://ncode.syosetu.com/n1262ht/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ