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あいさつ

 修道院に併設された孤児院では子供たちが玉蹴りをしてあそんでいた。

 牛革でできた丸い玉を枠で囲った相手の陣地に放り込む遊びだった。体の大きな少年が浮き上がった玉を直接空中で捉え相手の陣地に蹴りこむと、子供たちの間で大歓声があがった。

 子供達の遊びは毎年変わった。孤児院を出た少年たちから毎年贈り物が送られてくるのだ。

 この歓声をあげる子供達も十三歳で職を得てこの孤児院を出ていくのだった。

 年老いた僧が子供達を眺めていると、人の気配がした。振り返ると金髪の若者が立っていた。

「寄付を申し出たいのですが」若者は言った。

「それはそれは」老人は言った。「大変ありがたいことです。あなた様に神の御加護がありますように」

 老人は若者から袋を受け取った。そしてその重さを支えきれず袋が手からずり落ちた。袋の口紐が解けて中に大量の金貨が入っているのが見えた。

「これは」老人が顔をあげて言うと若者はすでに背中を向けて歩き去っていた。老人は息を呑んだ。彼はその風になびく淡い金髪に見覚えがあった。

「クリス!」老人は言った。「きみはクリスじゃないかね!」

 若者は振り返らず門をでた。老人は後を追ったがもう通りに若者の姿は見えなかった。

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