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第三話 ハズレヒーロー 

 「まさか、このオレが一撃でやられるとはな...」

油断した。

と盗撮男で自称ヒーローのマサシンはコーヒーを口に入れながら一人ごとのようにつぶやいた。


ココは、先ほど僕が問題を起こした駅の前にある喫茶店。


 女子高生から奪ったパンツは丁寧にお返しして(なぜか女子高生からお礼を言われた。さらに大変ですね、頑張ってください!と応援までされた。)

 気絶したマサシン縛りあげたところで、駅員さんが来たので逃げようとしたが、駅員さんから引き止められた。

 「ありがとうね。コイツを止めてくれて。君は‘ハズレ’だね?大変だ。..せめて‘アタリ’なら苦労はしなかったろうに...」

と慈しみの目で語りかけられた。

 「コイツも‘ハズレ’の類なんだけど、いかんせん自尊心って奴がね。犠牲者数0のヒーローなのに」

 ハズレってよばれちまってる。

 と駅員さんはマサシンの縄を外して、マサシンを目覚めさせた。

 

 そして今僕は、そのマサシンとお茶をしている。

僕は頭に付けていたパンツは外して、全身タイツではなく普通のTシャツとGパンを履いた。

マサシンのカメラは全て破壊してある。

「で?こんなところに僕を誘ってなんのようだ?変態とお茶をする趣味はないんだけど」

いくら僕がパンツを食べる最悪の変態でも だ。


「変態とは心外だな...盗撮(コレ)は生きる術だ。糧だ。君と同じ様にね。」

フウっとマサシンはため息をついた。

「10人といない‘アタリ’のヒーローを一撃で叩きのめしたんだ。君は資格があるだろうね。だから誘ったんだ。」

とマサシンはまた口にコーヒーを含んだ。


「?何を言ってるんだ?だいたいさっきから‘アタリ’とか‘ハズレ’とか何なんだよ。」

僕は頼んだメロンソーダに手を伸ばす。

「駅員さんもそんなこと言ってたし...それに...」

言葉が詰まる。

ありがとう と応援の言葉を言った女子高生が浮かぶ。

「なんか、改人に対して、オカシクないか?この街の人。」

パンツを食べる化け物がヒーローを倒したのだ。

普通逃げる。

いや、最初は女子高生たちも逃げていたんだけど。

なんか、いつのまにか。

多分、マサシンの持っていたカメラを壊して、女子高生にあやまり始めたあたりから、逃げなくなったのだ。


「なんだ、そんなところから知らないのか?...あぁ、だから暴れていたのか」

そうかそうかと一人頷くマサシン。


「食事」

とまるで空を探しているように、上を向きながらマサシンは言った。

「好きなモノ頼んでいいよ。何が食べたい?」


「ん?」

と僕は聞き返したが

「‘何でも’いいから、頼みなよ。」

とマサシンは繰り返すだけだったので、

僕はウェイトレスさんを呼んで、(かなり美人なヒトだった。コスチュームも長めのスカートにフリフリが付いていて、メイドさんみたいで可愛かった)ナポリタンを頼んだ。


くっくっく。

とマサシンは笑っている。


「なんだよ。まさかナポリタンは子供っぽいって言うのか?いいじゃないか好きなんだよ。」

ナポリタンは子供の頃からの大好物だ。

「だいたい、他人が好きなものを子供っぽいとかで笑うなんて、そっちの方が子供っぽいぞ。」


いやいや

とマサシン

「子供っぽいから笑ったんじゃないよ。ただ...」

「ただ?」

と聞き返す僕

「ヒトっぽいな...って思っただけさ」

「ヒトっぽい?」

誰が?

僕が?

パンツを食べる化け物が?

と、そのときウェイトレスさんがナポリタンを持ってきた。

早い。

冷凍モノかな。

冷凍も旨いけど。

「ヒトっぽいよ。ミツルくんは。だって」

っとマサシンは、ウェイトレスさんのスカートに左手を入れ思いっきりその左手を上げた。

結果、ウェイトレスさんのパンツは丸見えになった。ちなみに色は淡いピンク。

「こっちを食べたいって雰囲気を微塵も出さなかったから。」


きゃーとウェイトレスさんは叫んで、マサシンの顔面をナポリタンを運ぶために使った銀色のお盆の横の部分で思いっきり殴った。

料理を乗せるところではなくて、持つところ。細いところ。

力の大きさは、当たる面積が小さいほど大きくなる。

お盆は確かにマサシンの顔面にめり込んだ。


「このハズレヒーロー!!」

とウェイトレスさんは怒りながら立ち去っていった。

なるほど、ヒーローの‘アタリ’と‘ハズレ’の意味は分かった気がした。




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