2025.4.9 失われた絵の記憶を求めて(後篇)
さて、それではさっそく答え合わせを――
といきたいところだったのですが、ひとつ問題が発生しちゃいまして、はい。
前回、手がかりとして挙げました「リンクの冒険の攻略本」がですね、どうやら引っ越しの時にでも処分してしまったようで、どこにも見当たらないのです。
――ですがご安心を。これだけ情報が揃っていれば、文明の利器インターネット様々が、きっと答えを導き出してくれることでしょう!
まずは、「リンクの冒険」and「攻略本」でGoogle検索してみます。
いくつか種類があるみたいですね……あ、これだ。表紙に見覚えがありますよ。
『リンクの冒険完全必勝本 (ファミコン必勝本 フライデースペシャル 30)』
出版社はJICC(現:宝島社)。
雑誌ならともかく、攻略本の巻末で他社の本を広告するとは思えないので、例の2冊は、JICCが出版したもので間違いないと思います。
よって、「JICC」and「攻略本」で検索にかけてみますが……
駄目ですね。それらしい本は出てきません。
「ゲームに関連しているが、ゲームの攻略本でない」って、どういう本でしょう?
うーん、うーん、わっかんねえ。
なんだかもう、全てを投げ出して逃げ出したくなってきました。
しかし、人間の記憶というのは本当におもしろい。
それとも、これが天啓というものでしょうか。
脳内に、突然こんなタイトルが閃いたのです。
「13人目の名探偵」
……なるほど、ゲームブック(注)ですか!
さっそく「JICC」and「ゲームブック」で検索してみます。
ビンゴ!
来ました!!
見つかりましたよ!!!
まず一枚目、ドラゴンのイラストが表紙の本は――
だららららら・・・・だん!(発表するときのドラムの音)
『ゾーク2(アドベンチャーノベルス)』です!!!
アドベンチャーゲーム黎明期の傑作ともいえる「ゾーク」を、ゲームブックとして書き起こした作品みたいですねッ!
……って、あれ?
めちゃくちゃメジャーなタイトルじゃないですか(震え声)。
あー、ええと、あー、
い、いまなら「ゾーク」と聞けばすぐにぱっと来ますが~
当時はパソコンも持っていなかったし~
インターネットもなかったし~
そ、そもそも「ゾーク」はテキストオンリーだから、
イラストと結びつかなかったのもしょうがないね!
(こういうときオタクは言い訳しないと死ぬ)
はい、次行きましょう、次。
そして、2枚目のイラストが表紙の本は――
だららららら・・・・だん!(発表するときのドラムの音)
『妖法記 (同前)』でした!!!
時空転移系のSFモノで、著者はまさかの辻真先。
そして、イラストを担当したのはモンキーパンチプロダクション。
なるほどなるほど!
表紙の二人、どこかで見たとおもったら、まんま(原作の)ルパンと不二子ちゃんじゃありませんか!
そりゃあ記憶にも残るはずですよ。
いやあ、それにしても、インターネットの力ってのは素晴らしいですね。
脳味噌の端っこにぎりぎり引っかかっていたような記憶ですら辿ることができてしまう。
長年の謎が解けて、あまりに気分もよかったものですから、この『ゾーク2』と『妖法記』を、インターネットパワーで購入してやろうと思ったのです。
そうしたら……
『ゾーク2』 19,800円
『妖法記』 10,500円(アマゾンで取り扱い無しのためヤフオク)
うおお……両方合わせて30,000円超って……ばかな……ばかな……
私の一か月の食費より高いじゃないですか!
「インターネット力より、財力を磨け磨け磨け……(残響音含む)」
神様の声のそんな声が聞こえたような、春の夕べなのでした。
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(注)ゲームブック
1.あなたは伝説の暗黒舞踏家である。
ヤーパンで開催されるアワ・オドーリへ参加するため、
ブラジールの大平原を徒歩で横断している最中だ。
目の前に、洞窟の入り口が見えてきた。どうする?
中に入る→2へ
踊る→3へ
2.洞窟の中は真っ暗だ。どうしようか?
引き返す→4へ
踊る→5へ
3.……確かに見事な舞踏だ。それは認めよう。
しかし、観客がいるのはコーエンジー・シティだ。
勘違いしてはいけない!
→1へ
4.あなたは、賢明にも闇から遠ざかった。
しかし、暗黒舞踏家を名乗る者として、それは正しい選択だったのだろうか?
もう一度、自らの生き方を見つめなおすといい。
→END
5.この暗闇の中、あなたの舞踏に喝采を送るのは、
ナメクジとコウモリくらいのものだろう。
それは、あまりに悲しくはないか?
→2へ
――こんなかんじで構成された紙媒体の本。
手の込んだものになると、読み進めているうちに主人公がレベルアップしたり、
アイテムを入手・使用できたりする。そのつど、巻末のキャラクターシートに情報を鉛筆で書き加える(消しゴムで消す)ことになるのだが、本を読み終えるころには、シートがだいたいビリビリのグチャグチャになっているのが悲しい。




