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第2話 ギルド登録



 再度ステータスオープンして見たら、スキルが増えていた。


 どういうことだ?


 見間違いではない。

 何度見ても同じように『一時帰宅』の下に『神拳』というスキルが記載されている。


 なぜ増えている?

 増えるものなのか?

 

 そう疑問に思った時、俺は王の言葉を思い出していた。



――勇者殿の世界ではスキルはないらしいが、なんと世界を渡る時に勇者様方は新しくスキルを授かるのだ



 王の言葉の中にあった、「世界を渡る時に新しくスキルを授かる」というセリフ。


 最初は王たちに召喚された時に新たにスキルを得るという意味だと思っていたんだが。

 これってもしかして、地球から異世界に来るたびに新たなスキルを得れるということか?


 『一時帰宅』によって地球に戻ってから、もう一度この異世界に来るときに、新たにスキルを授かった。

 その可能性は高い。

 

 現に俺はもう一つのスキルを得ることができているわけだし。


 いや待て。結論を下すにはまだ早い。

 焦るのは禁物だ。


 俺の仮定はまだ確実ではない。

 二度、三度と試してそれを確認しなければ。


「スキル『一時帰宅』使用」


 確認のため、もう一度先ほどと同じように帰ってみようかと思ったが、何もおこらなかった。


 見慣れた自室には移動していない。


 どうした?

 スキルが発動しないぞ?


 え? もしかして一度きりのスキルかこれ?

 生涯に一回だけ5分間家に帰るスキルなんて、そんなことある?

 だったら使えないにしてもほどがあると思うのだが……。


 そういえば、と俺は王から城を追いだされる前に鑑定士が呟いていた言葉を思い出す。



『ステータス画面でスキルの文字を触れば、スキルの簡単な説明を見れますよ。スキルの特性が全てそこに記載されているとも限らないので、地道に自分のスキルを試していくことも重要ですけどね』



 たしかこんなことを言っていたな。

 おそらく追い出される俺を憐れんで、少しでも情報を伝えてくれたのだろう。

 

 あいつはいい奴かもしれない。

 でもよく考えるとあいつも俺を召喚した奴の仲間であるし、特に俺を追いだすことの弁明もしてくれなかった。

 いい奴と思うのは違うかもしれない。


 それはそれとして、とにかく今はステータスだ。

 俺はステータスオープンをして、ステータス画面を開く。


 そしてスキルの一時帰宅の文字に触れると、スキルの説明が画面に出てきた。



――――――――ステータス―――――――――――

一時帰宅(Eランク)

 五分間だけ自宅に戻ることができるスキル。

 五分経てば強制的に元の場所に戻る。

 発動できるのは一日に一回だけ。

――――――――――――――――――――――――




 これが詳しい説明……?

 三行しかないぞおい。

 それかEランク程度のスキルはこの程度の説明で十分ってことかよおい。


 とはいえ欲しい情報はゲットできた。

 このスキルは一日に一回しか発動できないのだから、今日はもう発動できない。

 明日まで待たなきゃいけないというわけだ。


 『一時帰宅』についての検証はまた明日でいいだろう。

 さて次は、新たに得た『神拳』というスキルについてだ。


 これはいったい何なのか。

 Sランクという記載があるあたり、雑魚スキルではなさそうだが。



――――――――ステータス―――――――――――

神拳(Sランク)

 格闘において無類の強さを得ることができるスキル。

 一度見た格闘技を完璧に会得することができる。

 また筋力・体力などの身体能力が著しく向上する。

 格闘系のスキルの中では最上位に位置する。

――――――――――――――――――――――――


 

 こっちは四行か。

 『一時帰宅』とあんま変わらんな。


 しかし書いている内容はかなり違う。

 ここに書いてあることを信じるならば、この『神拳』というスキルは戦闘系のかなり強いスキルっぽいな。

 

 身体能力が向上するってのもかなりいい。

 ひとまず喧嘩じゃ負けなさそうだ。


 それに体力が向上するのも素晴らしい。

 これから異世界で暮らしていくにあたって、金稼ぎのために何らかの仕事をする必要があるだろう。


 仕事に必要なのは一にも二にも体力だからな。

 ないと損することはあっても、あって損することはない。



「とはいえ一体どんな仕事をすればいいのか」


 そこらへんで道を歩いている人に話しかけ、金を稼ぐ方法はないか尋ねてみた。


「なら冒険者ギルドにでも行って冒険者になればいいだろう」


 と返答を貰った。

 場所も教えてもらったのでお礼をいってその場所へ行く。


 ギルドに入ると、周りにはいかつい顔つきの男やガタイのいい男たちがたくさんいた。

 彼ら全員が冒険者だということだろう。


 俺は受付に行き、冒険者になりたいと告げる。



「冒険者登録ですね。では手続きいたします。お名前を教えてください」


「沙城零助だ」


「サジョー・レースケ様ですね」


「ちょっと気になったんだが、この国では苗字が先で名前が後の呼び方でいいのか?」


「他国からいらした方でしょうか?」


「ああ。そんなもんだ」


 本当は異世界から来たけど。

 ま、日本という別の国から来たということは変わりないから他国から来たっていうのは嘘ではない。


「メルティナ王国では名前を先、苗字が後で呼んでいます」


「ああそうか。俺の国では苗字を先に言うんだ。だからレースケが名前でサジョーが苗字なんだ」


「ではレースケ・サジョー様で登録いたしますね」


 受付嬢が登録を行い、俺はカードを受け取る。


「このギルドカードは冒険者であることを保証する物です。再発行には費用がかかるので無くさないようお気を付けください。このギルドカードはギルドで依頼を受ける時に示して頂きます。また身分を証明する物でもありますので、提出を求められた際にご提示ください」


「わかった」


「冒険者ギルドについて説明いたしますね――」



 受付嬢からギルドの説明を受けた。


 冒険者はギルドで依頼を受注し、達成したら報酬を貰う。

 討伐したらその証明として体の一部を持ち帰る必要がある。

 体の一部ではなく全部を持ち帰ってもいい。

 

 持ち帰った体は素材としてギルドに売ることもできるから、金が欲しいならば死体を丸ごと持ち帰るのもありだ。

 もちろん、持ち帰るのは大変だけどな。


 ギルドでは訓練場で剣や魔術の修練もできる。武器は訓練場で使う場合のみ借りることも可能だ。


 俺はいまのところ、剣や魔術のスキルは持っていない。

 だが、『神拳』のスキルのおかげで格闘術を見るだけで会得できるから、訓練場で冒険者たちの修練を見る価値はあるだろう。


 だがひとまずは依頼の受注だな。


 俺は金をもっていない。

 今夜ご飯を食べる金もなく、宿に泊まる金もない。

 とにもかくにも金を稼がなければいけない。


 魔物の討伐の依頼を受注して、俺はギルドから出た。



 そして、ギルドを出たところにはこちらを見る数人の男がいた。


 ありゃもしかして、俺に絡んでくるパターンか?

 よくネット小説とかではこういうのがよくあるんだが。

 


 俺をみる数人の中のガタイのいい男がこちらを見てこう言った。 



「よう兄ちゃん。ちょっと面貸してくんな」



 俺の想像はどうやら当たっていたようだ。



今日はあと20時、21時、22時に投稿します

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