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五十四話・LV128


「そ、そんな馬鹿なっ!?その若さでLV128なんてありえないってっ!」


いやいやいや...俺だって結構頑張ってるけど、まだLVが二十台になった

ばかりなんだぞ!それなのに、その約十倍のLVって...。


「何っ!?LV128だと!ちょっと、私にも見せてみろよ!?」


ライの言葉を聞いたクナが喫驚し、サイカのステータスカードを

覗き見る。


「ま、間違えねえ...お前、一体何者なんだ...?まさか、本当に聖け...

はは、イヤ...馬鹿な考えだな...」


クナはまさかと少し考えるが、ありえないと思いその口を閉じる。


「でも、ポイントが128しかないな...?これだけLVが上がっているのに

一体、何でだろう...。あ...!よく見るとステータスが普通に上がってる...

イヤ、むしろ平均より少し...高い...?」


つまり、あまりポイントアップがされていないけど、ステータス上がりは

平均より高いって事かっ!?


「この変則的なステータスの上がりは...恐らく、クラスがレア系なんだろう」


クラスがレア系...?どれどれ、クラスは...っと、何々...『闇を断つモノ』?


「何これ...?本当にクラス名なのか?な~んか、二つ名っぽいような...?」


「疑り深いッスね...!本当にそれが私のクラス名ッスよっ!」


闇を断つモノか...そんなクラス名、見た事も聞いた事もないぞ.....。

だからレア系なのか?


俺はさっきのクナの言葉を思い出し、取り敢えず納得する。


「ちなみに、あの伝説の勇者や魔王もレア系と言われているクラス名だ!」


「これと勇者が一緒...?」


「ちょっと主様!これと一緒って、失礼にも程があるッスよ!」


サイカはライの言葉に対し、まさに激おこ状態でプンプンしている。


「はは...ゴメンゴメン!何かあまりLVの高さや特殊ステータスに思わず、

我を忘れた言動になってた!」


俺は自分の失礼な言動に対し、素直にサイカに謝った。


「...で、どうッスか!これで主様のクエストのサポート...できるッスよね?」


できるどころか、こっちが全力サポートをする立場じゃん...。


イヤ...サイカがいれば、それすらいらないんじゃね?俺...何もしなくても

めっちゃ楽にLVが上がっちゃうんじゃね?


メイリの時でさえ、クエストが楽になっていたのに...その倍のLVのサイカと

一緒なら、どれだけ楽できるんだろう...。


ハッ!いかんいかん!くさっても冒険者なのに、楽できる事を嬉しがるとは...!

......でも、少しくらいは楽させてもらってもいいよね?


「主様...?どうしたんッスか?さっきからボーッとしてるッスけど?」


「ん...ああ、ちょっとこれからのクエストの事を考えてた...」


「考えてたって事は...それじゃあ、私が主様のクエストに参加しても

いいって事ッスかっ?」


「当然だろ、そのLVを見せられて駄目だなんて言うワケないじゃん」


「やった!ふふ...腕がなるッス!」


今後ともよろしく...サイカ様!


「...と、言う事なんでクナさん!すいませんけど、サイカのパーティ

登録を頼んでもいいですか?」


「おう!任せておけ!その間、お前はクエスト選びでもしていろ!」


「ハイ、お願いします!」


俺はクナさんにサイカのパーティ登録を頼むと、あの足でサイカと一緒に、

クエストの依頼書が貼ってある場所に移動する。



――――――――――



「おお!これが今のクエストってやつッスか!」


「ん...お前、ギルドにきた事あるの?」


「勿論、あるッスよ!」


「じゃ、何でその時ステータスカードとかギルドカードとかを作って

なかったんだ?」


「だって私、当時はただの剣ッスよ、そんな事をできる訳がない

じゃないッスか!」


「お前...まだその設定をやめないのな...」


「やめないのかって言われても、私的には困るとしか言えないッスよ!」


ライの言葉に苦笑を浮かべたサイカが、困惑した言葉でそう述べてくる。


「そんな事より主様!これを見て下さいッス!」


「ん...と、何々...」


討伐クエスト...ここより、南西の山に根城にしている盗賊討伐の

依頼か...。


盗賊の数は、大体30程度で...報酬額は...金貨30枚...そして、

依頼期間はなし...。


「...盗賊か」


「あれ?主様、何か顔の表情が暗いッスね...?もしかして、

対人戦ってやった事がないとかッスか?」


「イヤ...あるよ」


「それにしては、表情が嫌だって語ってるッスよ?」


う...こいつ、感が鋭いな...!


そう...あれは一年半くらい前か...。俺がリィーナ達とクエストを

やっている最中、盗賊連中に遭遇してしまい襲われた事がある。


その時、俺はリィーナとアルテを盗賊の人質に取られてしまい、

盗賊の命を刈らなきゃリィーナ達が死んでしまうという重大な局面に

立ってしまった...。


だから俺は、道徳なんて理性は後回しにして、無我夢中で

そこにいる盗賊達の全て命を刈り取った...。


あの時の俺は、その事をおぼろ気にしか覚えておらず、ただリィーナと

アルテを助けなきゃという思いがあったのだけは覚えている...。


そして、命を刈り取ったという自覚も後からジワジワと頭の中に

現れ媚りつき、自責の念とも取れる葛藤に、心が掻き回される日が

何日も続いた。


しかしだから言って、後悔などはしていない!


あそこで取るべき行動はあれ以外はなかったのだし、自業自得の

盗賊の命を考えてやる程、俺は聖人君子じゃないのだから!


「ふ...あれからしばらく、あいつらも優しかったなぁ...」


俺はその時のあいつらの事を思い出して、思わず頬が緩んでしまう。


「ちょ、主様...!さっきまでド暗い表情だったのに、今度は

頬が緩んだ表情...一体、どうしたんッスか、本当に大丈夫ッスか!?」


俺の表情の変わりザマに喫驚したサイカが、ライの事を心配そうな

表情で見ている。


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