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プロローグ

                *



ある国がありました。その国は豊かで、国民の笑顔の絶えない素晴らしい国でした。しかし、その国は戦火に巻き込まれてしまいます。戦争を始めた両国は、その国(名前をスキュラムという)に目を付け、侵攻を開始しました。スキュラム国は軍事力が皆無だったわけではありません。ですが、決して強国というわけではないスキュラムには二つの国に同時に侵攻されて対抗するだけの戦力はなかったのです。


「姫、どうかお逃げなさい。この国はもう長くはありません。ですが、王家の血筋さえ生き残っていれば国は何度でも立て直せます。ですから……」


王と王妃は、たった一人の肉親である王女を、国から逃がしました。まだ6歳になったばかりの王女です。王女が国から脱出して僅か三日後、スキュラム国王都は陥落……。王女は、十人にも満たない護衛と一緒に人里離れた村に避難し、そこで十年の年を過ごしました。ここからのお話しは王女が十六歳になった春から始まる物語……。



                 *



「リョウ!? リョウはどこ!?」


姫は従者であるリョウ・アドマイトを呼ぶ。


「ハイハイ……ここにおりますよ……カナエ姫」


リョウの返答を受け、姫……カナエ・シャルムは満足したように大きく頷く。


「また訓練? いつも言ってるじゃない……。戦いや戦争なんて、何も生まないって……」


「……姫。いつも申し上げてはおるではありませんか……。いささか弱気が過ぎるかと……」


「うぅ……弱気って言っても……」


カナエは一つため息をつき、


「……もういい。下がりなさい」


「……かしこまりました。」


リョウを下がらせる。そして、


「ハア……」


もう一つため息。


(あたしはただ、誰にも死んでほしくないだけなのに……。それすらも弱気だというの……?)


カナエは今日三度目のため息をついて家に戻るのだった。






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