最強の魔法使いの最期
人族、魔族、エルフ族など様々な種族の死体が無数に転がっている魔王城。その大広間で二人の人物が激闘を繰り広げていた。
一人はこの魔王城の主にして魔族の頂点に立ち、世界を破壊と滅亡に導こうとする最悪の存在――【魔王】と呼ばれし者。
もう一人は、人間の魔法使いでありながら有りとあらゆる魔法を習得し、唯一魔王と渡り合える【最強の魔法使い】と呼ばれし者。
この二人が戦い始めてどれくらいの時間が経過しただろうか。その間にも多くの者が死んでいるだろう。
魔王は圧倒的な魔力と強力な暗黒魔法を使い、魔法使いは様々な魔法と魔法道具を使用して、互いの持つ全てを出し尽くしていた。
そして、そんな戦いにも終わりが来た。
「――ぐっ!」
「ガ、ハッ!」
互いに一撃を受けて、膝を突くと魔法使いと魔王。
魔法使いは魔王の消滅魔法受けてその身は徐々に消滅していた。
魔王はエルフ族に伝わる退魔の魔法が施された特殊な剣が胸元に突き刺さり、彼が纏う暗黒の魔力が浄化される。
「まさか、この我が、一人の魔法使いに、敗れるとは……」
百、千、万、億を超える人々を虐殺してきたにも関わらず、たった一人の魔法使いに敗北する。
魔王は薄れていく意識の中で感慨に似たものを覚えていた。
「……見事だ魔法使い。だが、我は再びこの世界に現れる! そして必ず、この世界を我が物にしてみせる! フハハハハハハハ‼」
そう言い残して魔王は死んだ。
再びこの世界を脅かすという、不吉な言葉を残して。
「やっと、終わった……」
魔法使いは崩れるように倒れた。
既に魔法使いの身体は半分以上が消滅しており、残りの半分も光の粒子となって消滅していく。
あらゆる魔法を習得している魔法使いでも手の施しようが無く、ただ消滅を待つしかなかった。
しかし、彼には後悔などなかった。
魔王を討伐した。これ以上の喜びはないだろう。
「願わくば、いつもでも平和が続くことを願う……」
そう言い残して魔法使いは完全に消滅した。
これが、【最強の魔法使い】と呼ばれた男――アルセイド=フォルテインの最期だった。
『落ちこぼれと呼ばれた超越者』も宜しければお読み下さい。




