誕生
俺――アルセイド=フォルテインは平民の出身だ。
裕福とは程遠く、その日を生き抜くのに精一杯な日々を送っていた。
遊ぶことも勉学に励むことも許されず、俺は両親の手伝いをさせられた。
八歳の時に、俺は両親の手によって奴隷として売られた。両親は大金と引き換えに俺を捨てたのだ。
買われては扱き使われて不必要と思われたら再び奴隷商人に売られた。買われては売られ、買われては売られ。俺はそんなことを幾度も繰り返してきた。
そして、俺は名の知られた魔法使いに買われた。
しかしこの魔法使い、魔法の才能はあったが人としての性格は最低で、俺を朝から晩まで扱き使ってきた。力のない俺は魔法使いの命令に従うしかなかった。
しかも魔法使いのくせに弟子を取らず、魔法を教えようともしない。
だから俺は独学で魔法を覚えることにした。
俺は働きながらも魔法使いの目を盗み、こっそりと魔法に関する本を読み漁り、訓練に励んだ。
元々俺には魔法の才能があったらしく、次々と魔法を習得していった。
そして十五歳の成人となった頃には、俺は魔法使いを越えていた。
俺は魔法使いと勝負して自由を手にいれ、旅に出ることにした。
まだ見ぬ世界を知る為に。
エルフの森へ。
ドワーフの山へ。
獣人の国へ。
妖精の楽園へ。
竜人の谷へ。
世界の果てへ。
様々な場所を旅しながら俺は様々な魔法を習得して、多くの友を得ることが出来た。
更にその知識を生かして俺は強力な魔法道具を開発した。
俺が二十歳の頃には【最強の魔法使い】と呼ばれるようになっていた。
そして俺が三十歳を迎えた時に、魔族の王である魔王が世界に宣戦布告を行い、戦争が始まった。
魔族の力は強大で、人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、妖精族、竜人族の六種族が力を合わせることでどうにか対応した。
そして、多くの犠牲を払いながらも俺は魔王を討伐した。
そして、俺は死んだんだ。
長く語ってしまったが、俺は波瀾万丈の人生を歩んできたと思う。
危険な旅をして並大抵のことでは動揺しないと自負している。
しかし、今の俺は激しく動揺していた。
何故ならば――
「あー、うあー、あー!」
俺が赤ん坊になってるからだ!




