96 あいつの身内
探索者ギルドの裏口から顔を見せると、アポイント無しで即通された。場所は知っている。しかし、秘書のような女性がギルドマスターの部屋まで案内する。部屋に入ると校長ともう一人、知らない男がいた。
(くっ。面倒だな……それにもう一人はどこかで……)
「それでは話はまた今度にしよう、急ぎではないのでな」
ギルドマスターは話を終わらせた。すると校長が早速絡んできた。
「おいおいおい。酷くない~デッド君~。ボクを見て、今面倒って思ったよね? 僕は味方だよ~」
(大正解です)
「そんな事はない」
もう一人の男が訝し気に呟いた。
「デッド……彼が?」
「そちらの方は?」
「ああ、黒霧神威。カヅキ君の兄だ」
(ああー面影あるぅー。よく見るとそっくりだ!!)
「……何故今カヅキが?」
「……あれだ。カヅキ君は顔が広いからな。っと!! それより今日はなに用かね?」
「奈落の底の報告を」
「おお!! 行ってきたのか!! 情報が欲しかったところだ」
階層の特徴や魔物の特徴、現在どういう人間がいるかなど細かく報告した。
特に危険だと思った事、複数あった地上への抜け道の位置を紙に簡易な地図と文字を記載して渡す。必ずしも一階層から伸びているのではない事も伝える。ボスがどんなものだったのかも含め。20階層付近まで報告する。
「この短期間でそこまで調べたというのか……それで、何処まで潜った?」
「20階層の報告をしたのだが……」
「表情だ。全部出し切った男の顔ではない。実はもっと深く潜ったのではないか?」
(鋭い。そこは似てないな……)
「上代が底が見えないと言っていたな……納得の答えだ……」
(……言動からも情報収集か。僅かな指の動きから呼吸、感情。あらゆるものを見ているな。未完成ではあるが……)
「まあいい。重要なのは、俺と勝負をすることだ」
「勝負? 何階層まで降りるかとかか」
「とぼけるな。サシでの勝負に決まっている。今、ここでだ」
「へー面白いねぇ。やろうやろう」
(校長は静かに)
カムイなら本当にやりかねないと思ったのか。冗談交じりに言う。
「……ここでは止めてくれ。ギルドの施設を貸し切ろう」
絶対に諦めない人の眼をしていたので戦う事にした。そして、校長とギルドマスターは普通に蹤いてきた。
「仕事はいいのか?」
「いいのいいのー。丁度暇だったから~」
(校長に聞いたんじゃないんだよなー)
「……これも仕事だからな」
組手を行えるような広い部屋に来た。人払いは済ませてある。現に周りには誰もいない事、魔法での監視をしていない事を確認した。
誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。




