95 ある意味恐ろしいダンジョン
2階層まで来た。ライバーは極端に減っている。それでも怖いモノ見たさに来る者たちがいるようだ。
「暗いねぇ。ドキドキする~」
「大丈夫だよ。僕たちが姫を守るよ」
「うれしいー」
一人の女性の周りに数人の男性がゾロゾロと囲っていた。協力して周りが完璧に見えるくらいに光を放っていた。
「あのねー。装備がボロボロになっちゃったかも……そろそろ戻らないと」
「もう少し狩りをしたら新しいのを買いに行こう!! プレゼントしてあげるよ!!」
「えーほんとーうれしい」
「危ない!!」
「ほえ?」
一人の男が小さな兎の魔物を倒した。
「もう安心だ」
「ふぇーすごーい!!」
「ふふふふ。普通の男なら今ので死んでいた……僕と一緒で正解だったね」
「素敵ぃ!!」
「よく姫を守ったよ。僕にも出来たけど」
「たまには譲ってあげないと」
「すまぬ。震えてるのではなかったようだな」
彼等はなにかと競いながらダンジョンを進んでいった。
(仲間で競ってるのか。よく分からない団体だ……さて奥に行くか)
3階層に来た。男たちに絡まれた。
「護衛してやろ……なんだ男かよ」
「流石にこの辺りから少なくなったなー」
「お前金持ってる?」
「そこそこに」
「へー、じゃあ護衛してやるよ」
「じゃあ10階層まで頼む」
「ふぁ?」
「おいおい、冗談だろ? 最高到達は11階層だぞ……」
五人でゴニョニョと話し合いをしていた。
「あれじゃないか。意識高い系」
「あー、金だけはもってそうだし。適当に進めば怯えて帰るだろ……」
「じゃあ30万で4階層付近まで行けば利益出るな」
「その金でパーッと女を引っかければ!!」
「決まりだ」
そしてこちらに近づいてきた。
「じゃあ30万でどうだ」
「一階層進むごとに50万。10階層は特別に300万。さらに歩合制でどうだ」
(彼等の力量でこのダンジョンはどう映るか。それを知りたい)
「なに!!」
「ってことは……10階層までいけば……533万貰えるって事か……」
「引き付けたぜ!!」
(今の発言だけでどうやってその値段出したんだろ……)
「階層到達の報酬とは別に、4階層以降の魔物を一匹倒すごとにその人に1万の報酬をプラスしよう。後、強敵は一匹で基本10万のプラスだ」
「なるほどな……最初に思った方だったか」
「どういうこと?」
「ばーか。魔物を沢山倒せば良いんだよ。皆で」
「おいおいおいおい。じゃあ589万くらい貰えるって事かよー。彼女に指輪買ってやれるじゃねぇか!!」
「ガチかよ~。じゃあ皆で協力して狩ろうぜ」
(彼の計算方法は分からないけど、願望があるのは分かった。でも歩合制以外の報酬はパーティーで分けてあげて)
彼等は張り切って魔物を倒し始めた。
「俺が狩る!!」
「いや俺だ!!」
(4階層からって言ったのに……てか個々で儲け方は理解してるのか)
そうこうして進んでいくと、4階層へ続く道が現れた。だがそこに巨大な馬の魔物が現れた。二足歩行で手には戦斧を持っていた。
(……武器は探索者から奪ったか。さあ、彼等はどう出る!!)
「お、おしまいだぁ……」
「今日……世界は滅びる……もう誰にも止められないんだ……」
「ソーメン……食いたかったな……」
「せめてもう一度、あいつに会いたかった……」
「すまねぇな、あんちゃん。どうやらぁ……ここまでのようだ……」
(ええ!! 一斉に戦意喪失した!!)
戦斧を振るおうとしたので魔物を消し飛ばす。
「え?」
そして、転移で2階層に移動する。暗闇なので大胆に行った。
「まるで迷宮だな。進んでいたようで2階層に戻ってきていたようだ」
「あんた……さっきの魔物を倒したのか……あれは10階層に蔓延る化け物だと聞いた事がある」
「あの魔物はすでに死にかけていたようだ。だが通常の状態なら分からなかった。出会わないようにした方が良いな」
「そうだったのか……でも、戻っていたとなると……報酬はなしかよっ……ッ」
「距離的にはほぼ4階層にいったようなものか。約束の50万は出そう……もう無茶をするなよ」
「ガチぃ?」
「良い奴じゃん!!」
「あざっすぅ!!」
「このダンジョンはこりごりだぜ!! 帰って焼肉パーティーだ!!」
「豪華にいくぜ!!」
彼等は先ほどが嘘のように元気になってダンジョンから去っていった。
(彼等は4階層まで行けると考えていた。護衛と言っていた事から実際に何度か行けたのだろう。だが……
暗闇のせいで自然と魔物の取りこぼしが増える。恐怖も必要以上に感じている。その影響で思いがけない事故が起きやすい、か)
そして、150階層辺りまで来ていた。ここのダンジョンは階層を跨ぐ通路が複数存在する。出入り口でさえも。それゆえ魔物の移動が頻繁で、環境が変わりやすいみたいだ。これも報告かな。




