70 家に帰ろう
水族館から帰宅する時刻になった。今日の出来事を楽しそうに振り返るフラン。次から次に言葉が出てくる。そんな時、フランは顔を赤らめた。手と手が触れたからだ。するとその手をギュっと強く握りしめられた。
「ちょっ。ちょっと!! 急に!!」
「ん?」
フランは照れているのか、キョウと顔を合わせられない。そこでチラシのようなモノを目の前に差し出される。そこには立派なホテルの写真が掲載されていた。暫く挙動不審になっていたが、彼女は覚悟を決めた。
「そ、そうね。家じゃ落ち着かないものね……」
「なんで?」
「??」
なんだか聞き覚えのある声にフランが硬直する。下に目を向けると、シオリと手を繋いでいた。チラシもシオリが差し出したモノだった。その時フランはあからさまにがっかりとした表情になった。顔を引きつらせて聞いた。
「……あんた。な、なんでいるのよ……」
「普通にチケット買った。イベントに参加できないし。商品と交換できないやつ」
「い、いつからいたの?」
「駅くらいから。ライラもいるよ」
変装しているライラが勢いよく出てきた。
「シオリ!! 後もう少しで完全勝利でしたのに!!」
(完全勝利とは?)
「それで、家だとなにか不都合があったの?」
その問いにフランの顔が再び赤くなった。
「べ、別にぃっ!! た、偶には静かに過ごしたいと思っただけよ」
「隣が自宅なのに?」
「う、うるさい……」
「いるなら声をかけてくれれば良かったのに。折角だから皆で夕食すませて帰ろうか」
「そうですわね!!」
「一杯食べる」
「……はぁー。まっ、キョウだから仕方ないか」
「ん?」
気の抜けた顔でフランはそう言っていた。その後にそれとは対照的に突き刺すような視線を二人に向けた。
「でも、あんた等。覚えておきなさいよ」
「なにが?」
「さー。なんの事かさっぱりですわね」
その後、沢山焼肉を食べた。キョウは三人と親睦を深めることが出来て、大満足していた。後日、猫の島と兎の島に出かける際、凄まじい攻防が発生した事にキョウは気が付いていない。
三人と何気ない日常を過ごせた事に、ただただ幸せを感じていた。




