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69 たぶんデート

【大きな水族館】


 数年前、神奈川に突如発生したダンジョン。そこの近くにシーダンジョンパラダイスという水族館がある。水族館によくいる生物たちの他、ダンジョンの水生生物も飼育している。


 そのガラスやゲージの素材はダンジョン産でとても頑丈である。さらに魔獣使い系のジョブ持ちを最低数人雇う条件で飼育を可能にしているらしい。



 イベント日当日、フランを玄関で待つ。すると先に駅に行っててと言われた。


(ペンギンを見るための準備を念入りにしてるのか。よっぽど楽しみなんだな)


 暫く待っているとフランが来た。思わず全身をまじまじと見てしまう。何故か目が離せない。それはいつもの戦うための勇ましい恰好ではなかったからだろう。


 動き易そうなショートパンツは相変わらずだ。しかし、明らかにスポーツ用ではない。派手過ぎない落ち着いた格好。それでいて可愛くコーディネートされていた。


 近づいてきたフランが不安そうに言った。


「な、なによ。そんなにジロジロ見て。なにか変だった?」


「あ、いや。見惚れてたと言うかなんというか。凄く似合ってると思って」


「そ、そう!! ありがとう」




 景色が流れていく。ガタンゴトンと魔列車(電車)が音を立てて進んでいく。乗って間もない頃は珍しい雰囲気に緊張して会話がとぎれとぎれだったが、暫く揺られているといつも通りに戻ってきた。


 現地について水族館が見えてきた頃には、フランは満面の笑みで大はしゃぎをしていた。凛として大人びた表情ではない。まるで小さな子供のようだ。


 入場すると沢山の人でにぎわっていた。案内板でイルカやシャチ、ペンギン、魚などのイベントの時刻を確認する。


「へー、色々あるんだ。何処から行く?」


「ペンギンとふれあいのイベントがあるからまずはそこね」


 フランは案内板を()()()そう言った。足早に目的地に歩いていく。そこに迷いはなかった。到着すると彼女は自慢げに言う。


「ふふふ。ここは()()長崎をリスペクトして作られたペンギンのビーチ。最近出来たのよ。自然の海で泳ぐ姿を見れるし、()()フンボルトちゃんと触れ合えるのよ!!」


(あの?)


「す、すごいなぁ」


 よく分からなかったが、とりあえず跳ねるように歩くフランについていく。驚いた事に沢山のペンギンが浜辺でくつろいでいた。


「おおー!!」


「凄いでしょ!!」


「ええっ。意外に走るの速っ」


「もー当たり前でしょう? 泳いだらもっと速いよ」



 ここの水族館は特別で時間限定だが直接触ったり、餌を与えてみたり出来た。フランは楽しそうにペンギンと過ごす。嬉しそうに触る姿を見ていると優しい気持ちになれた。


 その後もペンギンを中心に各施設を回った。昼食はお洒落なアクアリウムの空間でゆっくりとした時を過ごした。


 そして、お目当てのペンギンショップに辿り着く。その名の通り、中はペンギンのグッツ(グッズ)で溢れていた。フランは目を輝かせてペンギンを選び始めた。限定商品はもちろん、その他のグッツ(グッズ)も多数買い込む。


 限定グッツ(グッズ)をコンプリートしたフランはご満悦だった。帰る頃にブレードペンギンという魔物を見ようという事になった。


 可愛らしい見た目で、ハネジロペンギンにそっくりだと言った。フランがその容姿にデレデレになっていると、翼に氷を纏い餌の魚を切り刻んだ。


 骨を取り除いて勢いよく食べ始める。意外に器用だ。魔物使いが表面上は笑顔で、内心は緊張した様子で餌を配っていた。危険と隣り合わせのようだ。


「かわいいー。それにかしこいっ。骨食べないし猛禽類に近いのかなー?」



(凄い切れ味の武器だ……)


「そ、そうかもなー……」


「もっと調べてみる必要がありそうね」


 フランは終始楽しそうであった。


誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。

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[良い点] 『私の走行の邪魔をするのはお前達か!』
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