エピローグ
翌日、奈津美は登校すると前の席に座る友人の一人、島崎 あかねに昨日のことを話した。
「なんとまぁ、平和で可愛い事件だこと」
色素の薄いストレートの茶髪を風に靡かせてケラケラと笑う。時折、右手の人差し指でメガネを押し上げるのが癖。
「まぁね」
あかねとの付き合いは中学から始まった。中学2年の時、同じクラスで席も近くよく話していた。その為、いつのまにか友人となっていたのだった。
「そんな可愛い事件なら、大歓迎よ。はぁ………もし私に妹がいて、奈緒ちゃんみたいな子だったら、ずっと探偵ごっこに付き合ってるかも」
あかねの兄妹は社会人の兄しかいない。だから、妹という存在に憧れがある。
「ずっと付き合うのは大変だよ」
「そういうもんかね」
口ではそう言っているものの、なんだかんだ言って奈津美は奈緒に甘いので、奈緒が飽きるまで付き合うだろう。
「で、迷える子羊味はどうだったのよ」
「父さん曰く、食べてる途中で味が変わるらしくてさ。チョコボーなのに、チョコの味はほんのり甘いだけで、あとは苦くて酸っぱくて塩辛い味だったみたい。まさに迷える味」
「子供が食べていい味じゃなくない?」
まさにその通り。
3話と短いお話でしたが、読んで下さりありがとうございました。