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ブルーテイル・ハピリス  作者: aki.
1、三人の旅
22/198

襲撃・2





 魔獣たちは、なおも途切れることなく襲いかかってきた。


「……っ、囲まれるな!」


 シオンの声に応え、ジェイクが前に出た。


「任せろ!」


 ジェイクの拳が唸り、突進してきた魔獣を正面から殴り飛ばす。

 その隙に、シオンが横から斬り込み、魔獣の胴を両断した。


「――炎よ!」


 ルーンの魔法が走り、魔獣の群れを焼き払う。


 三人は、言葉を交わさずとも自然と連携していた。

 攻める者、受ける者、仕留める者。役割は、いつの間にか出来上がっている。

 一方、フィルも盾を構え、必死に耐えていた。


「……っ、この……!」


 襲い来る魔獣を盾で弾き返すたびに、手の甲の刻印が灼けるように疼く。


「ぐ……っ!」


 痛みは、先ほどよりもはっきりと、深く――

 骨にまで響いていた。


「……あ……っ」


 必死に喰らいついていたフィルだったが、足がもつれ、その場に膝をつく。


「フィル!」


 ルーンが叫ぶ。

 その瞬間を、灰髪の女性…シエルは見逃さなかった。


「……今よ」


 杖の先が、静かにフィルを指す。


「行きなさい」


 彼女が指示すると、魔獣たちが一斉に向きを変え、フィルへと突撃した。


「……っ!」

「させるか!」


 シオンが飛び込み、剣で魔獣を斬り伏せる。


「ジェイク!」

「おう!」


 ジェイクが身体を張って魔獣の進路を塞ぎ、フィルから引き離す。


「―─風よ!」


 ルーンが放った魔法が、魔獣たちをまとめて吹き飛ばした。

 フィルの前から、魔獣の姿が消える。


「……っ、はぁ…はぁ…」


 フィルは盾に体重を預け、荒い息を吐き続ける。


 すると――


「……きゅ…」


 ルーンの肩で、ブルーテイルが小さく鳴いた。

 そして、ブルーテイルは身をよじり、彼女の肩から落下する。


「……ブルーテイル!」


 慌てて手を伸ばした、その瞬間。


――――グォオオオオオッ!!


 どこからともなく、今いる魔獣たちとは明らかに違う――低く、重く、空気を震わせるような咆哮が、港全体に響き渡った。


「……っ!」


 ルーンはブルーテイルを抱きしめ、はっと顔を上げる。

 全身の毛が逆立つような、嫌な予感。


「……この声……」


 魔獣たちをすべて倒し、シオンは剣を構え直してシエルへと向き直った。


「斬っ!」


 踏み込み、全力で剣を振り抜く。


 だが――


「……遅いわ」


 シエルは軽く身を翻し、剣をあっさりとかわした。


「……どうやら、今回はここまでのようね」


 そう言って、足元に魔法陣を展開する。


「……また来るわ。フィル」


 口元を緩ませ、フィルを見る。


「今度は、二人きりで会いましょう」

「……っ、待って…、シエル!」


 次の瞬間、彼女の姿は光の中に溶けるように消えた。


――――グォオオオオオッ!!


 再び、あの咆哮が響く。

 ルーンの掌の中で、ブルーテイルが苦しそうに唸った。


「きゅ…」

「……っ、」


 ルーンは眉をひそめ、声のする方角へと顔を向けた。



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