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ブルーテイル・ハピリス  作者: aki.
1、三人の旅
22/25

襲撃・2





 魔獣たちは、なおも途切れることなく襲いかかってきた。


「……っ、囲まれるな!」


 シオンの声に応え、ジェイクが前に出た。


「任せろ!」


 ジェイクの拳が唸り、突進してきた魔獣を正面から殴り飛ばす。

 その隙に、シオンが横から斬り込み、魔獣の胴を両断した。


「――炎よ!」


 ルーンの魔法が走り、魔獣の群れを焼き払う。


 三人は、言葉を交わさずとも自然と連携していた。

 攻める者、受ける者、仕留める者。役割は、いつの間にか出来上がっている。

 一方、フィルも盾を構え、必死に耐えていた。


「……っ、この……!」


 襲い来る魔獣を盾で弾き返すたびに、手の甲の刻印が灼けるように疼く。


「ぐ……っ!」


 痛みは、先ほどよりもはっきりと、深く――

 骨にまで響いていた。


「……あ……っ」


 必死に喰らいついていたフィルだったが、足がもつれ、その場に膝をつく。


「フィル!」


 ルーンが叫ぶ。

 その瞬間を、灰髪の女性…シエルは見逃さなかった。


「……今よ」


 杖の先が、静かにフィルを指す。


「行きなさい」


 彼女が指示すると、魔獣たちが一斉に向きを変え、フィルへと突撃した。


「……っ!」

「させるか!」


 シオンが飛び込み、剣で魔獣を斬り伏せる。


「ジェイク!」

「おう!」


 ジェイクが身体を張って魔獣の進路を塞ぎ、フィルから引き離す。


「―─風よ!」


 ルーンが放った魔法が、魔獣たちをまとめて吹き飛ばした。

 フィルの前から、魔獣の姿が消える。


「……っ、はぁ…はぁ…」


 フィルは盾に体重を預け、荒い息を吐き続ける。


 すると――


「……きゅ…」


 ルーンの肩で、ブルーテイルが小さく鳴いた。

 そして、ブルーテイルは身をよじり、彼女の肩から落下する。


「……ブルーテイル!」


 慌てて手を伸ばした、その瞬間。


――――グォオオオオオッ!!


 どこからともなく、今いる魔獣たちとは明らかに違う――低く、重く、空気を震わせるような咆哮が、港全体に響き渡った。


「……っ!」


 ルーンはブルーテイルを抱きしめ、はっと顔を上げる。

 全身の毛が逆立つような、嫌な予感。


「……この声……」


 魔獣たちをすべて倒し、シオンは剣を構え直してシエルへと向き直った。


「斬っ!」


 踏み込み、全力で剣を振り抜く。


 だが――


「……遅いわ」


 シエルは軽く身を翻し、剣をあっさりとかわした。


「……どうやら、今回はここまでのようね」


 そう言って、足元に魔法陣を展開する。


「……また来るわ。フィル」


 口元を緩ませ、フィルを見る。


「今度は、二人きりで会いましょう」

「……っ、待って…、シエル!」


 次の瞬間、彼女の姿は光の中に溶けるように消えた。


――――グォオオオオオッ!!


 再び、あの咆哮が響く。

 ルーンの掌の中で、ブルーテイルが苦しそうに唸った。


「きゅ…」

「……っ、」


 ルーンは眉をひそめ、声のする方角へと顔を向けた。



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