↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/25

25話

三月も十一日になった。十日に電気は復旧し、今日朝、最後の人たちが帰っていった。柳瀬さんも中島さんも、二口さんも帰った。中島さんは「四月から、お願いしますね。しっかり働けそうです」と笑いながらだった。


避難所スペースの見回りをする。

落とし物、忘れ物がないか。汚れていないか。むかしむかしやった、接客業の空き席リフレッシュと同じだ。


とある部屋には、たたんだ布団の上に置き手紙があった。

「助かりました。本当にありがとうございました」


また別の部屋には、コピー用紙に、ポテトとクロを書いた絵があった。

クレヨンなんて貸し出してないはずだが、避難した時に持ってきたんだろうか。

直線が多い絵は、しかし親愛に溢れていた。


こーゆーの、年食って弱くなったなあ。


『まのー』


ポテトがやってきた。


「んー。なんだ」

『ぼくがかいてある! すごい! くろも!』


ふんすふんすと鼻息荒い。こいつは本当にもう。


「飾っとくか? お客さんの来るところに」

『えー? かいたこ、はずかしくない?』

「そうだなあ」


でもふれあいスペース、要するに新しい仏間に置いとくのはいいかなと思った。


「額を買わなきゃな」

『わー。まのがほんきだ』

「本気じゃだめか?」

『いいとおもう。けせらせら』


使い方間違ってねえかな、それ。


中村も、昼ごろに帰った。


「避難所でDP溜まったんじゃないか。俺23人分だろ」

「ああ、そうだな。五万ちょっとある」

「おー。拡張頑張れよ」

「お前も本業頑張れよ。探索行ってないだろ、俺のせいで」

「なあに、炎のロングソードとかいう明確に強そうな武器が手に入ったんだ、バシバシやっていくぜ」

「元気でな」


で、中村と入れ替わりで郵便配達が来た。

シャルロッテのマイナンバー通知だ。


「これで射水市民だなあ」

「日本国民ですねえ」

「どうすんだ、月収40万の人」

「まあここで働きますよ。マスターと一緒にいれますしね」

「そうか」

「そうです」


ふふふとシャルロッテが笑った。ずいぶん嬉しそうだ。


そして、風の日が来る前と同じように、じいさんたちがやってくる。


「よお真野くん。茶を飲みに来たぞ」

「ベレーのじいさん」

「名前を覚えろ」

「ははは、すいません」

「ちっちゃいじいさんとハゲのじいさんよりマシじゃろ、真田(サナダ)」

「どうしてそれを」

「シャルロッテちゃんから聞いた」

「あんにゃろ」


----


我が家がダンジョンになって、結構経った。

色々あって、維持費は増えて、まだ赤字で。

でも、どうにかなりそうだ。


『まのー』

「んー?」

『だんじょんうんえい、がんばろうね』

「わう!」


ポテトとクロが尻尾を振っている。


「ああ、そうだな」

これにて第一部完となります。

ご評価・ご感想・ブックマークいただければ大変嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。