表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/48

機殻の中の魂:1

 二つの機械音が暗い屋敷の玄関で響く。

 シオンとの二度目の対峙の最中、ゲールは確信を持った。

 この人形は、自身と同類である。

 人体を模して作られた機械に宿る、誰とも知れぬ死者の魂。

「……話す事は出来るか?」


 シオンは答えない、会話が出来るかは定かではないが、反応すら返さず屋敷を進む。

「悪いが、そこから先はダメだ」

 ゲールがシオンの進路を塞ぐ。

 人形は屋敷の階段、アレクトの居る二階に向かおうとしていた。


 階段上に立ちはだかったゲールを前に、シオンの歯車が苛立ちを表すように響き始める。

「お前は死霊と変わらないのか?」

 シオンは答えない、代わりとでも言うようにゲールに向かって腕を突き出してきた。

「……結局、こうなるのか!」

 重い鉄の腕を、機械仕掛けの腕が受け止める。

 強い力で殴られる、久しく体感していなかった重みがゲールの躰を揺らす。

「く……!」

 対するゲールも重い拳を振り上げ応戦した。

 黒い外套に包まれた腕が、シオンの躰にぶつかる。

 シオンを通そうとしないゲールは攻撃の手を緩めない。続け様新品の自動人形(オートマタ)に打撃を続ける。


(…………なんだ?)

 しかしゲールが感じたのは、底冷えするような感触。

 寒いという感覚を忘れていた彼が感じた。恐怖ともよく似た感覚。

(冷たい……しかしこの感覚……いつか……)

 ゲールの脳裏に記憶が蘇る。

(確か……私がここに来る前……)

 手足と身体が冷たくなっていった、『あの時』の感覚。


 悪寒を感じたゲールはシオンから離れようとした。

 だが、銀の人形の手がゲールの腕を捕らえていた。

「……!お前は……!」

 シオンの機械の腕、ゲールの物とは違う白銀の腕の腕は青白い光を放っている。

 それは、死霊が放つ光と酷似していた。


「く……!」

 寒さと共に、ゲールの腕から力が抜ける。

 身動きの取れなくなったゲールを、シオンは階段から投げ落とした。

(まずい!)

 暗い屋敷の中に、鉄の音が響く。

「ま……待てシオン!」

 その後のシオンはゲールに気を留める様子もなく階段を登って行った。

「待て……」

 ゲールに痛みはない、ただ躰に力が入らない。

 感覚の曖昧な腕で起きあがろうとするも脚の歯車が一部歪んだか、半身を上げることが出来ない。

 シオンが屋敷を進むのを、ゲールはただ見るしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ