42話 エピローグ
「わっわっわっちょっとタイム!」
突然声が聞こえ、俺はスキルの発動を止める。
「はぁ……やっと終わったか……」
と、インフェルノウルフの声。
「あ、危ないよ〜もう!今僕のこと殺そうとしたでしょ!」
誰かからそう言われて辺りを見るが、誰がいるというわけではない。
「え、誰だ?」
俺は思わずそう呟く。
「ほら、こっちこっち!」
声に従い、その方を見ると。
「はーいせいかーい!」
声の主は、ダークネスウルフだった。
「んもー、殺さないでよー」
これは、話を聞く必要がありそうだな。
「つまり?俺を試していたと?」
俺はキレ気味で聞く。
「あ、ああ……す、すまなかった」
俺はあの後、ドラゴンを仕舞って二匹と一人を正座させた。その時に、ドラゴンを仕舞っても魔力を食わなかったから、不思議だ。これは研究する必要があるな。
ちなみに召喚士もウルフどもの仲間だったようで、今は土下座の態勢で座ってもらっている。
「んで?何?」
「え、ええっと……」
「シャーブを焚きつけたのはお前らで?爆弾はおもちゃ?クソめんどくせえなホント!」
俺はここぞとばかりにブチ切れる。
「人を試すのは、仕方ないのかもしれないけど!お前らさ!」
「「「は、はい……」」」
これが、一番伝えたい。
「他の人をまきこんじゃいかんだろっ!」
これは、日本の社会で学んだことである。
「「「お、仰る通りで……」」」
「ったく……まぁ、これからは気をつけなさい!」
「「「は、はいっっ!」」」
それともう一つ、と俺は続ける。
「思ったこと言わせてもらうぞ?あんなに新しく敵役を出したらなんか怪しくね?ってなるから!もうちょっと配役少なくしろ!」
ああ……なんで俺はこんなアドバイスをしてるんだろ。
「な、なるほど……」
ダークネスウルフは納得したようにうなづいている。いや、潔いな。
「んで……なんで俺なの?」
すると、インフェルノウルフは俺の方をしっかりとみて。
「それは、王女や王を交えた方がいい話だな」
ということで、俺はその真実を聞くために、空間から出た。そして、俺は真っ先に牢の中にいる二人の元へ向かう。
「大丈夫か、ディアブル!校長先生も!」
見ると、服はボロボロではあるものの、傷は全くなかった。
「ああ、大丈夫だ」「うんうん、なんか大丈夫だったよー」
「私が癒しておいた」
インフェルノウルフはそう告げた。
「そうか、ありがとう……いや、ありがとうなのか?元はと言えばお前らがやったことだし……」
そう言い、俺はじー、とジト目でインフェルノウルフを見つめる。
「い、いやぁ、その辺はまあいいじゃないか!」
いやーでも、と俺が言うと、ダークネスウルフが空間から歩いてきた。ちなみに、足は既に肉が元通りになっている。
「それより、王女の所にいこーよ」
「ああ、そういえばそうだったな」
俺たちが話していると、校長先生が少し震えた声で聞いてきた。
「あ、あの……」
その声に、インフェルノウルフが返した。
「ん?なんだ?」
「そ、その……誠に勝手な事と承知しておりますが、一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか……?」
「ああ、構わん。なんだ?」
校長先生はすうっ、と息を少し吸ってから、言った。
「ええっと……御二方は、神狼様でいらっしゃいますか?」
「おお、その通りだ」
え、何って?じんろう?人になれるの?
「え、お前らは人になれるのか?」
「ん?どこからそんな情報を仕入れてきたか知らんが……なれるぞ」
俺がふと、そんなことを聞くと、校長先生がめちゃくちゃに慌ててながら言った。
「お、お前!どこからそんな勝手な推測を!と言うか、なぜそんな言葉遣いを!お前とか言うんじゃない!って、人間になれるのですか!?」
わー、なんかすごい情緒不安定。初めて憧れのアイドルにあった人みたいになってるぞ。「おい順番抜かすな!あ、握手お願いします!」的な。
「ああ、言葉遣いに関しては気にするな、そのままでいい。それより、王女は?」
「ああ、そうだったな」
震えながらも立っているディアブルを一瞥して、これは大丈夫だな、と思いながら客席を見渡す。あ、いた。
「おーい!キャルロットー!」
「ふむ、あれが王女か。ほれ、『来い』」
そう言っただけで、キャルロットが場内まできた。
「じゅっじゅぎゅづ、じゅんにょうしゃま!?」
「落ち着けキャルロット、噛みすぎて意思疎通できてない。っていうか、相手は狼だ。普通に話せばいいぞ」
「そ、そうね……すぅー、はぁー、すぅー、はぁー……って、神狼様に対して狼ってのはどうなのかしら……」
人狼人狼って、この世界ならそこらへんに転がってそうなものだが。
インフェルノウルフはそれを聞いて、はっはっはと笑いながら言った。
「気にするな気にするな!で、だな」
そう言って、事の顛末を話し、本題に入っていく。
「こいつ……藤野 玄人に聞かれたのでな、何故試したのか話そうとしたんだが、それには世界がどんなものなのか伝えなければいかんので、それに関して王や王女を交えて話そうとなったのだ」
「あー、なるほど……でも、父様は先まで予定が入っていた気が……」
「うーむ、それなら落ち着くまでこっちにいるか。いいか?ダークネスウルフ」
ダークネスウルフはうなづいて、
「うん!いいよいいよー!」
と言った。
「で、でしたらまずは別荘で……」
そこからは、二匹と一人で盛り上がっていた。
一方、忘れられていた召喚士が、俺の元に走ってきた。
そして、フードを取って––––もしかしたら、心の壁も少し取れたのかもしれない––––
「私、あんたに「この程度」って言われたこと許さないんだからね!」
と、ずびしっと指をさしていった。
その素顔は……人の顔に、ぴょこんと銀色の耳が生えた、女の子だった。
「え、誰だよ……男じゃなかったのか?」
「ふんっ!あのフードにそういう特殊能力があるだけよ!じゃ、私はもういくから!」
それだけいうと、召喚士のおと……女は二匹と一人の方へ歩いていった。
「な、なんだったんだ……俺も帰ろ」
固まっている二人は置いていこうをそう思った時、校長先生から声をかけられた。
「ああ、藤野 玄人にディアブル=ガーブ。君たちは編入トーナメントで合格したことにしておくよ」
そういえばそんなのあったな、忘れてた。
「ありがとうございます」「ありがとー」
「あ、編入後直ぐに、つまり来週あたりに筆記試験あるからな、悪い点は取るなよ?補習になるからな」
「はーい」
会話したことで回復した二人は、さっさと歩いていった。逆に、俺はその場に固まる。
「ひっ……ひっ……」
そして、声をあげた。
「筆記試験なんてきいてないよぉぉぉぉぉぉぉ!」
その悲痛の叫びが観客に聞かれていたのは、言うまでもないだろう。
ーーーーーーーーーー
おまけ(本編とはカンケーないよ)
「なあオデたち、何秒で死んだんだ?」
緑色のジェネラルゴブリンが言う。
「さあ……でも、オデたちが完全脇役ってことはわかるど」
……こっちも、緑色のジェネラルゴブリンだ。
「あっ、いたいたー!」
「おおっ?」
向こうから走ってくるのは、女神様である。
「うんうん、君たち大変だったねー!でも大丈夫!すぐに転生させてあげちゃいます!」
そう言われ、三匹のジェネラルゴブリンは顔を見合わせて、言った。
「んやぁ……オデたち、ここでこのまま生きたいだあよ」
「んだんだ。オデ、土いじりでもしてみたいなぁ」
「うん、三匹でゆっくりするべぇ」
「あ、あー……そう?」
「「「んだんだ」」」
そこは、お花畑であった。
三匹の言葉遣いが田舎臭いのは、気のせいではない。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
これにて二章完結でございます。
ここから世界の真実に迫っていくかもしれないし、遠ざかっていくかもしれないです。(つまり未定)
これからも、ブックマーク、感想、ポイント評価で応援お願いします!
さて……1話から改稿するか……どうしようかな。




