22話 藤野 玄人、トーナメントしました。⑦
「スキルッ!《アイス・ヴァルエ》!」
杖を地面に立て、俺が叫ぶ。
すると、俺を中心とした波紋が広がっていく。それは、何重にも重なっているようだ。
普通、波紋というものは水面に出来るものだ。だが、今俺が発生させた波紋は、おそらく空気中にできたのだろう。
そして、俺の周りには粉のようなものもふわふわと浮いている。
「何にも起きねえなあ!?なあにが『目にもの見せてやる』だ!笑わすんじゃねえ!ガハハ!」
俺はその声を無視してスキルを発動し続ける。俺も使うのは初めてなので、どうなるかはわからない。
そして、数秒経たずに、波紋がグリーブに触れた。
「あ?」
そして、グリーブの体にうっすらと氷が張り付いた。
「ん?これは……」
俺の周りに浮いていた粉が俺の中に入ってくる。それと同時に、魔力が回復していくのがわかった。また、その粉はグリーブの方から集まってきている。
張り付いた氷が、魔力を吸い取っているのか?
「んだこれぇ?鬱陶しいな、クソが」
グリーブは簡単にその氷をはらった。
「もう一発。《アイス・ヴァルエ》」
今度は、全力で魔力を使った。
波紋が、走り抜ける。
冷気、冷気、冷気。
こんなに空気が冷たいとは。波紋は、空気中で出来ているといっても、その正体は水か何かなのだろうか。
「うおっ……」
グリーブが波紋に触れた瞬間、再びその体に氷が張りつく。だが、今度はさっきのように薄い氷ではない。まあ、厚くもない。
「う、うおおおお………」
「す、すごいな」
どんどん魔力が入ってくるのがわかる。
ふと、試合であることを忘れて感動してしまった。そして、その隙に。
「ぐああ、んがぁぁぁぁ!」
ぱきっ、バキン!
グリーブが、氷を割って斧を振り回してきた。
「くっ……」
まずいな。避けられない。ーーあ。あのスキルがあった。
俺は杖を地面に放り、スキルを発動する。
「スキル《白刃取り:氷》!」
両手が氷で覆われ、真剣白刃取りがしやすくなるスキルだ。もっと他にも用途があると思うんだが、止めた時に下側、つまり、刃の部分が氷で止められる。となると、このスキル名は正解なんだろうな。
「ぬぐっ!」
斧を掴まれ、グリーブが驚く。
「だぁぁぁ!」
俺は斧を思いっきり引っ張り、グリーブの姿勢を崩させる。
「ぬぐあっ!」
俺がスキルを解除して手を離すと、グリーブは転がっていく。……お前、転がるの得意だな。
「ぁぁぁ……お前、もうぶっ殺してやるぅ…!」
殺気がさらに強くなる。
「うおらぁぁぁぁぁ!」
斧で殴りかかってくる。
俺は、杖を拾い上げて銃に……剣に変化させた。近距離で銃は分が悪くなる。
「はあっ!」
ガキッ!と、二つの武器が交わる。
「ぶっ殺す……」
「スキル《アイス・ヴァルエ》」
俺はグリーブを無視してスキルを発動。至近距離で発動すると、波紋に触れるのも早くなる。
「うぐっ」
氷が腰あたりまで張り付く。
「くっ……ぐうっ……」
「終わりだっ!」
腕まで凍る。もう、斧を動かせないだろう。
俺は、すっと首筋に剣を添える。
「勝者、藤野 玄人!」
俺は勝利宣言を聞いてから剣を《冷蔵庫》に仕舞い、グリーブに話しかける。
「おい、なぜそこまで俺に殺気を向けるんだ?」
正直、心当たりが全くない。
「あ?ぶっ殺すぞクソがぁ!」
ダメだ、話にならない。
「ぐっはぁ!……ぐううぅ……」
いきなり、グリーブがうめき出した。
「ど、どうした?」
「がっ……た、助けてくれ……」
「な、何があったんだ!?」
「お、俺は……あ」
グリーブがそこまで言うと、急に消えていってしまった。
何が起きたのだろうか。
「藤野選手、今何があった!」
校長先生がこっちに駆け寄ってきた。
「え、わかりません。急に消えていきました」
「そうか。一応、話を聞かせてくれ」
俺は、疑われているんだろうな。さて、どうしようか。
「分かりました」
俺は校長室に連れてこられた。校長先生のほかに、先生方が三人いる。
「で、何があったのだ?」
「えーと、急に殺意を向けられて、暴言吐かれて、消えてかれました」
俺は簡潔に、伝えた。
「どんな様子だった?」
「ぶっ殺すってたくさん言われました」
「なるほどな……」
あの説明で何かわかったようだ。
「ありがとう。もう帰ってくれていい。手間をかけたな」
俺はそれだけですぐに帰れた。なんだったんだろう。本当に。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
眠い中かいたので、多分おかしいです。
変なところあったら教えていただければと思います




