第29話 ヨルムンガンド
あの後、5人組は何も知らない私に対して必死に大丈夫だったかと聞いてきていた。
私はどうかしたの?と惚け、何事もなかったかのように普段の様子を取り繕った。
5人組は慌てながらも何も無いと言ったが、用事が出来たので帰ると言い出した。多分政府の呼び出しだろう。そうして私達はそこで解散となったのだ。
「...ただいま。」
「おかえりなさいませマスター。」
「おかえりー」
「...はぁ...いつも思ってるけど一緒にいたでしょ。」
「ははは!何となくね!」
「...。」
「ご飯にされますか?お風呂にされますか?」
「...お風呂。」
「かしこまりました。」
──────
───
「...ご馳走様。」
「お粗末さまでした。」
「しゅらぁ!」
「このっ!このっ!!」
「......何やってんだか...。」
私がご飯を食べ終わるとデカい蛇とヤミが物理的な意味で絡まっていた。
「ほら...。」
「しゅらしゅらあ!」
「ありがとねむ!」
「次はない。」
「...しゅら。」
「...はい。」
「そういえば気にしてなかったけど蛇の食事ってどうしてんの?」
「え?今更過ぎない?えっとね...ねむのマナを食べてるんだよ。」
「...へぇ。これ以上大きくなるの?」
「いや。元から身体を小さくしてるから戻せばマンション位の高さになると思うよ?」
「......。」
「しゅる?」
頭良かったんだな。この蛇。
「ってかさ、ねむはこの蛇ちゃんに名前付けないの?」
「...名前?」
「...なんで名前って何?みたいな顔してるのさ...。」
「じゃあニョ──」
「却下。」
「「.....。」」
「じゃあヤミ考えて。私は寝る。」
「えぇ...。」
うわっ...本当にベッドに入ったぞあの子...。
「しゅるっ!」
「...はいはい分かったよ...。」
「しゅらぁ♪︎」
「うーん...どうしよっか...。じゃあヨルムンガンド。略してヨルム。」
「しゅら?」
「え?...ヨルムンガンドは北欧神話の大蛇の名前なんだ。君も大蛇でしょ?だからピッタリかなって。」
「しゅら!しゅらら!」
「ふふ。どうも。じゃあお休み。」
「しゅら!」
そうして2人?はそれぞれマナと影になってその場から消え去った。
─────
───
「...おはよう。」
「おはようございますマスター。」
いつもの如く何故か私と一緒に寝ていて、毎朝私の隣でじっと見つめてくる黒奈に挨拶をする。最初は理由を聞いたが、「マスターをお守りする為です。」と言い張るため、もう言わなくなった。...諦めたとも言えるけどね。
「今日は何をするんですか?」
「今日は蛇の戦闘能力を見ようかなと。」
「ねむ!もう蛇じゃないからね!」
「...そうなの?」
「うん。ボクが昨日考えたんだ!ヨルムンガンドのヨルムって。」
「ヨルム...。分かった。次はそう呼ぶ。」
「ありがと!」
そうして蛇の名前が決まったところで早速出かける。
──────
───
「...じゃあ、頑張って。」
「しゅら!」
蛇...ヨルムは大きく頷き、文字通り大きくなった。
そして、大きく口を開けると...
「シュララララララ!!!」
「ボォォォオォォオォオオ!?!?」
──バグンッ!!
──バキッ...ゴキッ.......
「えげつないな...。」
「そうだね...。」
「あ、そうだった。おーいヨルム!」
「シュラ?」
「マナストーン残してね!」
「シュラララ!!」
ヨルムは自信満々に返事をすると、動きが変わった。
「あ、マナが...。」
「魔法かな?」
──プワワワワワンッ!
沢山の大きな水球がヨルムの周囲に浮かぶ。
──ビュッ!!
「グル...?──グガァァ!?」
「ゲゴォォ?──ギャァッ!?」
水球から出た水のビームがA級魔獣達を貫いていく。しかも、放ち終わった水球が未だにその場で佇んでいる。...もしかして撃ち放題なのでは...?
「......えげつないな.........。」
「......そうだね.........。」
「...私の時に使われなくて良かったよ...。」
「あの時もしかしたら侮られてたのかもね...。」
「今は頼もしい味方だけどね...。」
「「...ははは」」
2人は引き攣った顔をして笑っていたのだった。




