第18話 懲りずに...
日曜日。
私は朝早くから魔獣の島にいた。懲りずにまた行ってんのかよ?と思うだろう。ヤミに5年後には滅びると言われている日本に住んでいる以上自分の強化は大事だ。
──スパパパパパパパンッ!!!
「...グギャァァァァア!!!!」
数瞬遅れて魔獣の断末魔が響く。やっぱり傷を現実化させるのに結構マナを使うし、少しだけタイムラグもある。まぁ尤も、彼らは私の事を視認出来ないから気にしなければどうってことはないんだけどね。
「シュルルルルルルル......。」
「ねむ!」
「ん!」
「《夢を司る者》」
──シュンッ......。
─────
──
「...ふぅ。」
とまぁこんな感じであのデカい蛇龍にバレたら逃げる事にしている。それを今日1日、何度も何度も繰り返しているという訳だ。...勿論相手も馬鹿じゃないから対策などもしてくるが、なんか攻防戦みたいで楽しいんだよね...。こんな気持ち感じたらダメなんだろうけど...。
でも、その甲斐あって《夢》の効果がだいぶ上がった。有効範囲が50mから約80mになったし、現実化させるのに使うマナの量も減った。
そして何より、B級魔獣を夢に落とせるようになったのは大きいだろう。
この島には底辺のF級魔獣を始め、唯一この島の管理をしているS級魔獣までいる。だから当然B級もいる。実際、上位になるに連れてその数は少なくなるが、それでもB級は私が視認した限り、200体はいる。...何度か見つかったけど直ぐにどっかにワープした為、事なきを得ていた。
──スパパパパパパパパパッ!!
「...ゴァァァァァァァア!!!!!」
B級魔獣の牙が発達しているカエルを斬り刻む。そしてふと、そういえば実験してないなと思い、黒のナイフを創り出した。
「え?ほんとにやるの??」
「ん。これって誰かやってんの?」
「んー...。政府の職員が来る前に黒いモヤが出てくるから解体は出来てないねぇ...。」
「...?」
「...だって体に悪そうじゃん?」
「...そう。」
「で?それでもやるの?」
「...なにかあるかもでしょ。」
「うーん...そうなんだけどさぁ...。」
──ザシュッ!
「おっとついにボクを無視しだしたよ?」
「.....。」
「あ、すいません。」
グチグチ言うヤミを一瞥し、解体していく。別に食べる訳でもないから気楽にやってこう。
──グサッ!!ザクザクザク...ブチッ!ブチブチブチ!!!
「...え、絵面大丈夫?」
「......大丈夫だと思う?」
「思いません。」
「...なら黙ってて。」
「はい。」
──ザクザクザ...
「ん?」
「どうしたの?」
「今頭解体してたんだけど...」
「字面だけでもうヤバい。...で、なに?」
「これ。」
カエルの頭にあったのは何かの宝石みたいな物。マナを含んでいるように思える。
「あ!それマナストーン!」
「マナストーン?」
「マナを多く含んでいるのは...まぁ見れば分かるよね。」
「ん。」
「マナストーンは着けてもよし食べてもよしの万能石なんだよ。」
「そうな...ん?食べてもいいの?」
「うん。結構美味しいんだよ?カリカリしてて。あ!勿論人間も食べられるから安心してね。」
「......。食べてみる。」
「今!?」
「後でに決まってる。汚い。」
「だ、だよねぇ...。食べたら幻滅してたよ...。」
「...。」
流石にそれはない。こんな血に濡れた石を食べようとはしない。まぁ後で食べては見るけど。ヤミが食べれるって言うんだから私は食べるよ。
「で、食べたらどうなるの?」
「単純にマナの最大値が増えるよ。」
「へぇ。便利じゃん。」
「うん。そのままでも消費する事で使えるから万能石って言われてるんだよね。」
「...。」
頷きながら解体を再開する。
──ザシュッ!スパパンッ!!...ドゴォォォン!!
「シュルルルルルルル!!!!」
「うわぁぁ!!??」
「...!?」
「逃げるよねむ!!」
「ん!」
──────
──
「「あ、危なかった...。」」
危なかったけど収穫はあった。早速洗って食べてみよう。
「ちゃんと噛み砕いて食べないと意味ないからねぇ...?」
「ん。」
──バリッボリッバキッ!バリバリ...!!
「ん。美味しい。」
「でしょお??妖精界でも1番美味しい物として有名なんだよぉ。」
「......く。」
「ん?」
「また行く。」
「...懲りないねぇ...。は、はは...。」
そうして毎週土日は魔獣の島に行く事にしたのだった。




