第10話 知られざる魔獣の島
「...で?教えてくれなかった理由は?」
開口一番、ヤミに問い詰める。彼女たちが魔法少女だった事だ。
「...別に教えても良かったんだけど、さ?」
「...。」
「面白くな──いたっ!!」
「私は面白くない。」
「...はぁ。でも実際バレたら嫌だったでしょ?」
「ん。」
「もし教えて彼女たちに対する態度を変えたらバレちゃうと思わない?」
「...ん。」
「だから敢えて教えなかったんだよ。敢・え・──いたっ!?なんで!?」
「...。」
「むぅ。お詫びに魔獣をプレゼントしようか?」
「なんでよ。」
「さっきも沙羅と瑞希にバレそうになったじゃん?」
「...う。」
「手っ取り早く強くなる方法...って言うより魔獣が大量にいる場所なら知ってるよ?」
「.........どこ?」
「ふふふ。分かった。まずはちょっとした説明から───」
──この世界に魔獣が現れる時、なんで雷がなると思う?
そう問われ、私はハッとした。今まで考えてこなかった事だ。それが当たり前だと思って過ごしてきた。
黒い雷が鳴る理由...。
「誰かが人為的に起こしてる?」
「そうなんだよ!ある人物が世界各国の海に結界が張られた島を創ったんだ。そこで魔獣を野放しにし、増えすぎた個体は雷となって近くの国に落ちるという訳だ。」
「...要するにその島は牧場みたいなもの?」
「そういう事になるね。で?どうする?」
「......行ってみる。」
「そう来なくちゃ!あ、ちなみにだけど結界があるせいで未だに誰一人として知らないから誰にも言っちゃダメだよ?」
「...本気で言ってる?」
「......ごめん。...それじゃあ行こうか。」
「明日ね。」
「あ、うん。」
今日はもう遅いのでフカフカのベッドで寝た。
─────
──
「ねむちゃん!昨日は急に帰ってごめんね!!」
「...ん。」
「また埋め合わせしたいけど何時なら都合がいいかな...?」
「...明日。」
「うん!分かった!テスト頑張ろうね!」
「ん。」
「じゃあね!!」
「ん。」
埋め合わせしたいとの事なので明日にする。今日は魔獣の島とやらに行く予定だから今日は無理。
そうして、テストが始まった。今日は生物基礎、英語表現、数Ⅰ。どれも簡単だったけど、英語は普段よりもちょっと難しいかなって思った。他の人がどう思うかは知らない。
「倉野〜。昨日はごめんよ〜?」
「昨日はごめんなさい...。」
「あ、あの、その...。うぅ...。」
「ほぉら!シャキッとしなさいよ皆!昨日は本当にごめんなさいね?ねむさん。」
「ん。」
「それでー。もし良かったらだけどこの後遊びに行かない?昨日の埋め合わせがしたいし。」
「今日は無理。明日。」
「...そう。分かった。じゃあまた明日。じゃあね!」
「ん。」
「じゃあな!」
「また明日。」
「さ、さようなら!」
そう言って皆帰っていった。
────
──
今、家でのんびりしていた。ヤミが行けるって言ってたからね。
「よし、行こうか!」
「...ん。それで?」
「ん?」
「結界があるんでしょ?どうやって入るの?」
「あー!その事ね!ちょっとだけ体を貸して貰えればすぐ終わるから。」
「.........は?」
「だから──」
「聞いてたよ。それよりも、体を貸す...?」
「そう。」
「......分かった。」
「ありがとう!楽にしてね。」
「...ん。あともう1つ。」
「なに?」
「...なんで体を貸さないといけないの?」
「その体の力を最大限に引き出すためだよ。」
「一応聞くけどどのくらいなの?」
「...それは実際に自分で体感してみてね!」
「...。」
「じゃあリラックス〜。」
「......ん。」
──トプンッ...。
私の胸から吸収されるように消えていったヤミ。僅かにだが胸にヤミを感じる。
『どう?』
「話せるんだ。」
『んー話せるっていうか念話っていうか...。』
「行かないの?」
『分かった。でも、向こうでは元の状態で戦ってもらうからね?』
「ん。」
『じゃあ行こう。』
そう言うと私の身体が変身した。変身後は特に体に異変は感じないけど、手に持っている物が凄い物なんだという事は分かる。
「これは何?」
『それは前に話した3つ目のスキル...ユニークスキルに関係するんだ。』
「ん?あぁ。言ってたね。」
『いつかねむも顕現させることが出来るようになるよ。』
「そう。」
『行くね?』
「ん。」
手に持っているのは魔力がたっぷりと込められている水晶。それはフワッと独りでに浮き出し、自律飛行を開始した。
「《夢を司る者》」
そして、勝手に口が動きユニークスキルと呼ばれるスキル名を口にする。水晶が光り、魔力が減るのを感じた。
何か変だなと思い、チラッと窓の外を見てみるとあちらこちらに紫色の煙が充満していた。
「な、何あれ...。」
『あれは全部夢だよ。人だったり猫などや犬などの動物だったり......魔獣だったり。』
「...。」
『3つ目のスキルは名前の通り、夢を司る者だ。他の夢に干渉する事が出来て、挙句の果てには自分こそが夢の存在になる事ができる。』
「...?」
『...その何言ってんだこいつ、みたいな顔しないで...?』
「...で?」
『《夢》スキルは夢を見させる為の空間を出すスキルだったじゃん?だから強い者には効かなかったり、範囲外からだと見えちゃうっていう弱点もある訳。』
「ん。」
『でも、《夢を司る者》は違う。だって自分が夢になるんだから。』
「それって何が違うの?」
『まずは範囲。範囲は自分限定。《夢》よりも狭まってるけど、移動型だと思えば凄いスキルだよね?だって《夢》は移動出来ないし、転移だって範囲内までしか出来ないからね。その点何処にでも転移出来るようになったこのスキルは強いよね!』
「...ん。」
『うん。で、効果というか、このスキルは夢を司る者。夢に関係するものに干渉が可能。他人の夢に入ることだって出来ちゃう。今回使うのはさっき言った転移能力。それを使って結界内に入る。おっけー?』
「ん。」
『じゃあ今度こそ行くよ?』
「ん。」
『あ、ちなみに《夢》も成長すると半径100km以上にまで広がるからね。』
「は?────」
そうして一瞬で日本ではないどこかに転移したのだった。




