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平和への使者  作者: DAISAKU
311/318

第311話 イブとユウキ

情報収集ルームで監視をしているユウキにイブはめずらしく自分から声をかけた。


「ユウキ、ちょっと話がある」


ユウキは、はじめてイブから話がしたいと言われ、驚きながら、隣の部屋に移動した。この時代に来て、様々なことがあったが、このダイニングで、ご飯を食べながら、熱い論議を交わし、何とか、この国をマリの目指す平和な国とすることができたと、イブはほっとし思い出しながら、椅子に座った。大きな真っ白なテーブルには、ティーセットが用意されており、信じられないことにイブがユウキのために紅茶をカップに入れ、丁寧にユウキの前に差し出した。その信じられない状況にユウキは紅茶が入ったカップをじーっと見つめて、しばらく飲もうとしなかった。するとイブが


「毒は入ってないぞ」


ユウキは、基本的にイブはくだらないウソはつかないことを良く知っているため紅茶が入ったカップを口につけ、ほんの少しだけ紅茶を飲んだ。


「なんだい、めずらしく、僕と対面で話なんて」


イブはダイニングにある大きな窓から外を見て、暖かい日差しが入り、そして広大な森の木々の葉が反射して光って見え、この時代をいつくしむように見ながら


「サターン星に行ってくる」


ユウキはその一言で、マリとの従者の誓約があるから、現代であったなら、行くこともできなかったし、行く手段もなかっただろうが、おそらく月には恒星間飛行ができる宇宙船があるのだろう。しかも、マリが眠っている1800年ほどの時間を使い、サターンが滅びた原因を調査し、犯人を見つけ、同等の制裁をすることを考えているなと推測した。そして、同盟を遵守しなかった、2種族に対しても、何か、しかけるつもりなのかもしれないと思った。しかし、ムー人であるユウキはイブに話せないサターンについての情報があったが、いくらこんな時代に飛ばされたとはいえ、我が種族の法を破ることはできないため、なんの助言もせずにただ、イブの話を聞くことにした。


「お前たちが目覚める頃には戻ってくるつもりだが、ひとつ、いや、ふたつか、お前に頼みたいことがある」


イブはユウキをじっと見つめ、金色の長い髪を左手でさらっと触りながら


「まず、ひとつめは、スサノ村のイネを我らの仲間になるようにした。あとで、マリと一緒にイネがスムーズに村から出れるようにサポートしてあげてくれ、マリにも話はしてある」


ユウキは、自分でもイネの信じられない能力に魅力を感じていたが、この時代の人間を未来に送り込むのはまずいと考えていた、そうか、イブはそんな常識的な概念など、気にしないか。ユウキは確かに自分は、物事を見る視点が硬すぎると苦笑いをした。


「もう一つだが・・・これはマリからのお願いなのだが、14世紀初頭の時代に二人を目覚めさせる。どうやらマリが会いたい人物がいるからだ」


ユウキは、目をぱちぱちさせて驚き、


「この時代を我々で引っかきまわし、大きく歴史を変えているんだ。会えるはずがない!」


ユウキは大きな声を出した。


「何を言っている。お前も、うすうす感ずいているのではないか。我らの介入で歴史が変わったどころか、歴史通りに事は進んでおるではないか。邪馬台国の卑弥呼がなぜ倭国で女王になれたのか。出雲王国がなぜ神の国なのか。普通ではありえないことが起きている事実を」


ユウキも、この地球の歴史を有史以前より、細かく把握している、確かに歴史通りになっていると思っていた。


「イブ、どうやら、この宇宙では、歴史を変えることができない大きな修正力のような物が働いているのだろう。つまり、一度起きた事象は多少の時間の変異はあれども結局は大局を見れば、史実通りとなるということだ。我が星の科学者達が唱えていたタイムパラドックスは大きな時の流れには無抵抗であるとういこと、だから、マリが14世紀に行ったところで多少の変化が起きても結局は元通りの史実となるということだろう」


イブはユウキも自分と同じ考えにたどり着いたことをうれしく思い


「お前なら、私がいなくても、マリを任せられるな」


ユウキは始めからイブがいなくても問題ないと思っていたため、なにを当たり前のことを言っていると思ったが、どうやら、イブのサターン星での調査は、かなり危険で、地球に戻ることができない可能性もあることを感じ取った。


「気にせず、サターンに行ってこい、だが、現代の時間に戻る時は、お前がフランスで

目覚めてからワシントンで過去に飛ばされるまでの時間は、同じタイムラインに同一人物が存在できないから、仮死状態に入らないと、その存在が消えてしまうことを忘れるなよ」


「そんなことはわかっている。同じ時間軸に同一人物がいることで、この世界、この宇宙が消滅する原因にもなりかねないからな。私が心配しているのは歴史が変わらないならば、近い未来で起きる、異星人襲来の件だ」


ユウキは確かに過去起きてしまった史実は変えられないことはわかったが、自分達が存在している現在から未来に向かっての時間はまだ確定していないため、コンピューター分析による未来の地球滅亡はいくらでも回避できる可能性はあると信じていた。なぜならば、

かつてマリの祖母、飛島ヤエが未来予測を大きく変えたことがあるからだ。


「なにも心配しなくていい。また、未来を良い方向に変えるだけだ」


イブは、この地球内での事象なら、ユウキとマリの力があれば、どうとでもなるだろうが、異星人の襲来は、恐らく防ぐことはできないだろう。そのためにも、我がサターンの力が必ず必要になるはずだ。だが、今はまだ、サターンに戻って確認しなければ、地下シェルターが本当に無事なのかも定かではないため、ユウキにはあえて調査に行くということにしていた。

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