12・アイドルに守られて
朝、学校に行くとクラスがざわめいていた。
「どうしたの?」
優愛が声を掛けると、友達は困ったように朝刊を渡す。
そこにはこう大きく載せられていた。
~多田愁熱愛 お相手は16歳女子高生~
何も言えずにただ目を見張るだけだった。
「なに…コレ」
その文とともに掲げられていたのは、あの電車の中、キスの写真だった。
「どうしたの紀藤さん?」
「しゅ…う君」
その記事を見た途端、愁様の顔が強張った表情になる。
「ごめ…私、超軽率で…愁君がアイドルだってわかってんのに…」
自然と涙がこぼれる。怖くて、怖くて。
愁様はそんな優愛の手を引っ張り、教室の外…人に見つからないところに連れて行った。
そして、抱きしめる。優しいけれど、強く、強引に。
「俺が何とかするから。絶対、守ってみせるから」
そう言った、愁様の腕も震えていた。
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帰り道、愁様は開き直ったように優愛の手を引っ張りながら歩きつづける。
周りの人の好奇の目に、愁様は関心がないように振る舞う。
「愁君…」
そう言いかけたその時、優愛の方にトラックが突っ込んでくる。
轢かれそうになるギリギリで愁様が手を引っ張ってくれて、間一髪助かった。
その時の運転手の顔は憎悪に満ちた目で、優愛を睨んでいた。
「大丈夫?優愛…」
優愛は安堵感からか、目からは涙が溢れてくる。
そんな優愛の頭をなでながら、愁様は慰めてくれる。
その時の彼の手はとても優しくて、大きかった。




