第1章② 来客とメイドとお嬢様
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[前回までのあらすじ]
メイドであるフレーデグラフは、来客の時間になっても来ない主であるコルネリアを呼びに行く。
狭い書斎でだらけている天才であるご主人様を着替えさせ、客のもとに向かった。
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コルネリアの屋敷にあるいくつかの来賓室。
その中で一番簡素であり、身内の者と会議をする部屋がある。
「コルネリア様がお入りになります」
扉の前で声をかけてから数拍待ち、フレーデグラフがノブに手をかけた。
「おお、コルネリア様。
大変麗しく」
彼女の親よりも年上であろう男性二人が恭しく頭を下げた。
「ええ、ありがとう。
あなた達は初めましてよね?」
立っている二人に座ることを促して自身もソファーに腰を掛け、その右後ろにフレーデグラフが立つ。
「ええ、そうでございます。
私共は海運の荷積みを担当している部門の責任者です」
ハンデル=ブルーム家は国の海運を一手に引き受ける巨大会社である。
輸出入による経済だけではなく、大陸の食糧すらも管理する強い利権を持っているのだ。
所有する帆船の数は数百を超えており、ハンデル=ブルーム家に逆らえば国が干上がると、畏怖すらされている。
「報告があると聞いたのですが」
コルネリアは会社の後継者候補の一人であり、すでに一部事業を預かっていた。
15という年齢では異例中の異例であり、全ては彼女の優秀さ故だ。
「ええ、我々で判断できる範疇を超えた問題が」
二人いる内の上役であろう一人がそこで言葉を止め、後ろに立つフレーデグラフをちらりと見た。
メイドに聞かれるのはいかがなものか、ということだろう。
よくあることだと、コルネリアは胸中で笑う。
「メイドをしてもらっていますが、彼女はフレーデグラフ・エーウィッヘイト。
エーウィッヘイト家の娘でとても優秀だから気にしないでください」
「おお、そうでしたか。
エーウィッヘイト家の」
恐れすら混ざった声色にフレーデグラフが会釈をする。
彼女の家は炭鉱を所有する豪商だ。
ハンデル=ブルーム家と比べると見劣りはするものの、本来庶民が口を利ける者ではない。
家柄的にメイドの仕事をするような立場ではないのだが、両家の関係の強化、いわゆる人身御供として差し出されてここにいる。
「それでは本題に入りましょうか」
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