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探偵は喋らない  作者: 犬犬太


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幸いにもトランクスではあるが、替えの下着を売店で見つけることが出来た狛はさっそく下着を履き替える。

「よし、飯行こう!」

結局、浴衣は落ち着かないという狛は、着てきた服に着替え宴会場へ行くようだ。曰く、なんか見えそうで不安、らしい。そして、早く連れて行けと、極度の方向音痴の狛が翔をせっつく。大浴場までよく一人で行けたな、こいつ。

翔はオレを左手に嵌め、貴重品を持って部屋を出る。会場は旧館の五階の宴会場らしい。今、オレたちがいるのは新館の五階。一旦エレベーターで新館の一階へ降りてから、旧館のエレベーターで五階まで向かう。新館は客室と大食堂で、旧館は客室と宴会場やカラオケ、バーなどの施設があるようだ。さっきここ見たよ、と狛がヘラっと笑うが、大浴場とは階が全然違うんだが、なんで来てるんだよ。

相変わらず落ち着きなくきょろきょろと辺りを見回しながら歩き回る狛。何にでも興味を持って、色々見て回っている。大浴場もこの調子で向かったのなら、迷うだろうな。ってか、さっき見たのに迷うのか?こいつは。まあ、こいつの場合、車の運転をしている時以外は気になった物をじっと見たり、追いかけてみたりと、子供か犬猫のような性質がある。かと言って、運転中はカーナビが無いと迷子になるけど。流石に、翔の下宿先までは狛の家からなら迷わず来れるらしい。出発点が変わると迷うらしいが…。

なので、狛は常に出先でスマホの地図を使って移動している。音楽も聞いたりするのでバッテリーの消費が激しいと、携帯バッテリーも常に持ち歩いている。この辺りは翔とは正反対だ。翔は一度行った場所や、地図を見れば大体の場所が把握できるし、こういう旅館やホテルのような建物も大体はすぐに空間を把握してしまう。しかし、狛はこういった建物も苦手なようだ。だから、大浴場からの帰りが遅くなったと言っていたのだろう。旅館の中は地図が無いので、迷うようだ。少し進んではちらりと翔を振り返る。翔が黙って頷いてやると、また前を向きちょろちょろと歩き始める。以前、翔が仕事で幼児の子守をしたが、その子も公園でこんな感じで歩き回ってたな。

まあ、こういう状態は小さい頃からなので慣れっこではあるようだ、ただ一つ困ったことがあるとすれば、翔も運動神経は割と良い方なのだが、狛はそれよりもかなり運動神経が良い。大抵のスポーツは人並み以上にこなし、更に本領が発揮されるのがアスレチックや、走ったり投げたりといったシンプルな運動だ。唯一翔が勝てるのは護身術などの格闘術だろう。とはいえ、純粋な力勝負になると狛の方が強いし、そして、走りだした狛は翔より脚が早いので、見失うと大変ってとこかな。

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