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どうして『悪役令嬢』が登場しないんだ⁉  作者: 藍銅 紅(らんどう こう)@『前向き令嬢』2巻 電子書籍2月配信


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第16話 公爵令嬢クラウディア ⑤


 車椅子に乗り、侍女に車椅子を押してもらい、更に護衛までをも引き連れて、貴族学院に向かい……。

 職員室で、担任となる先生にご挨拶をし……。

 そして、先生に案内されながら、教室に向かう、その途中の廊下で。


 待ち受けていたらしい王太子殿下から、いきなり怒鳴られた。


 さすがのわたしも驚いた。

 周囲の生徒も担任の先生も「は?」という感じに固まっている。


 えー、ええと……。


 一応、目の前にいる男子生徒がブランシャール王国の王太子であるオルランド殿下、本人であることは、見てわかる。

 アニメとかゲームとか、それらの広告とかで見たオルランド殿下と全く同じ造作。


 あの、だけど、この世界では……というか、現実では、わたしたちは初対面なんですが。


 わたしはデビュタントもしていないし、社交もお茶会にも参加していない。

 ずーっと実家のフェルナンデス侯爵家で引きこもり状態。


 家族と使用人以外に会ったことがある人なんて、お医者様とかその程度しかない。

 なのに、初対面の王太子から、いきなりの求婚で、しかもありがたく引き受けろ?


 何なのでしょうか、この人は。

 まともな神経をしているとは思えない。

 少なくとも『原作』のオルランド王太子殿下とは性格的には別人でしょう、多分、きっと。


「……初めまして、王太子殿下」


 王太子殿下が何を考えているのかなんて、わからないけど。

 とりあえず、車椅子から立ち上がりもしないで、初対面ですよ、と申し上げる。




 ……ま、ホントは車椅子になんて乗らなくても大丈夫なんだけど。

 ウチの、心配性の家族がね。

 もしも、またいきなり倒れでもしたら大変だからと、車椅子に乗って移動するようにと厳命された。

 階段とはどうするのって聞いたら、侍女と護衛をつけるから問題ないと。

 階段は、護衛がわたしを抱き上げて、その際、侍女が車椅子を運べばいい。

 過保護ー!

 でも、倒れた原因が分からないからということと、わたしと下の兄の事業は、わたしのアイデアが重要視されているから、もう、これ以上もない過保護が当たり前と家族全員に言われてしまった。


 それに、病弱を装っていたほうが万が一、変なところから変な婚約の申し入れがあった時「健康上の理由でお断り」がしやすいって。


 なるほど!


 まともなというか、普通の令息は、貴族学院卒業半年前なんて、もうとっくにどこかのご令嬢と婚約を結び、卒業後は、結婚までのカウントダウンだ。


 この時期に、婚約者のいない令息なんて、なんらかの瑕疵、もしくは条件的なマイナスがあるに決まっている。

 性格はいいけど、貧乏男爵家の四男とかで、騎士になる体力もないし、文官試験に合格する頭脳もないとか。

 借金があるとか。

 女癖が悪いとか。


 そんな令息の中に、病弱で、デビュタントも済ませていないけれど、侯爵家の令嬢というわたしという令嬢が現れたら。


 何が何でもゲットしたいほどの美味しい餌でしょうねえ。


 だから、侍女と護衛に囲まれて、しかも車椅子。


 万が一、どこの誰かから求婚されたとしても「病弱ですので無理」とお断りする。

 車椅子は、病弱設定を強化するためモノ。


 納得。


 一応、化粧も薄めに施し、目立つ赤い髪も、『原作』のように、ぐるんぐるんの巻き毛ではなく、二つ分けにしたみつあみで地味にする。


 ……ま、『原作』の流れとは全く違うから、別に悪役令嬢っぽい派手な外見のままでもよかったんだけど。

 一応ね。

 病弱さ、強調。

 求婚お断りーってね!


 なのに、いきなり、王太子殿下から、これ、ですかあ……。


 さて、困った。どうしましょうか……?


 考えているうちに、廊下の向こうから「兄上っ!」と叫ぶ声がした。


 走ってきたのは……王太子殿下によく似た顔立ちの令息。


「ちっ! ミゲル」


 王太子殿下が小さく舌打ちをした。


 ミゲルというのは……、ああ、第二王子殿下ね。

 そう言えば、王太子殿下には弟がいたっけ。


 まあ、もちろん初対面なんだけど、『原作』とかアニメなんかには登場していたサブキャラというか、『原作』のご都合主義を展開させるための存在。


 えーと、でも、悪役令嬢のざまぁモノみたいに、後から出てきて、悪役令嬢にプロポーズをして、兄である王太子を蹴倒して、王位に就く……とかではない。


『原作』では……、心優しく可憐なヒロインのソニアではあるけれど、平民上がりの男爵令嬢だから、当然思うように王太子妃教育が進まない。

 で、第二王子ミゲルの妻となったご令嬢が、優しくソニアをサポートし、ソニアは社交界でもなんとかやっていけるようになったとかなんとか、ああ優しい世界~的なエピローグ。


 だから、ミゲル第二王子殿下とその妻となった名もなきご夫人というのは、とっても都合のいいお役立ちキャラ的な感じで、わずか数行の登場だった……。


 そのミゲル第二王子が、わたしと王太子殿下の間で足を止めた。







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