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勇者が街にやってきた  作者: 覧都
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第八十六話 それぞれの世界

「お、おれは、逃げているのではない」


口の中でつぶやきながら、軍の部隊長は大王のもとに急いでいた。

遠征に出るとき、大王から言われたこと、「角のある者がやぶれた場合、直ぐに知らせよ」それを思い出していた。


「おれは、その言葉を守っているだけだ」


部隊長は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。


「だが、あのガドという奴はすごい、あの雷は何だ。あれでは部隊は全滅だ」


地響きまでは分らないようだが、雷が鳴っていたのはわかっているようだった。






真の国の玉座では、大王が目を閉じ物思いにふけっていた。

玉座の後ろにある黒い霧を閉じ込めている金属の蓋が丸く膨らんでいる。

もとは平らの蓋を、頑丈に固定したものなのだが、どんどん膨らんでいる。

カン、カン、ピシッ、ピシッ、と蓋から音が漏れじきに、破裂することが想像出来る。


城にいる者はほぼ避難させた。

残っているのは必要最小限の人数だけだ。


「大王様、ツオ国を攻めていた部隊の隊長が、面会を求めています」


「連れてまいれ」


その言葉と同時に、部隊長が飛び込んできた。


「大王様、ツオ国の部隊はガドによって壊滅いたしました」


「何!!」


大王は驚くと共に一つの決心をした。


「ガドとはそれほどの者なのか。全軍に撤退命令を、そして全国民に王都に、集まるように命じよ。ここに異世界への入り口がもう一度開く、全員で異世界へ移住するのだ」


真の国に突如現れた原因不明の巨大な穴、そこから吹き出す黒い霧は、真の国を死の国へと変えた。

その被害を防ぐ為に蓋をしたら、こともあろうに爆発してしまった。

そして違う世界への裂け目が出来たのだ。


大王は亀裂の発生は自分の願望が形になったものだと考えている。

国民を死の国から助け出したい、そう願ったことが現実になったと考えているのだ。


だが死の国を捨て、移住しようとすると、その先にはガドというとんでもない化け物がいた。移住をあきらめ逃げ帰った。

だが、今度はその化け物がこっちの世界にいる。


それならば再度亀裂をつくり向こうの世界に行き、亀裂をふさいでガドを封印する。

大王はそう考えていたのだ。






十日ほどの時間が過ぎた。


真国軍も国民も王都に集まっている。

王城から少し離れた場所で、大王の手には巨大な斧が握られている。

それを振り下ろした。


王城から伸びる長いロープが切り落とされた。

ロープの先には巨大な岩に金属の杭がつけられた物が有り、それが破裂寸前の黒い霧の蓋に落ちて行く。

次の瞬間、王城が吹き飛び、黒い霧が大量に吹き出した。


国王の目の前に巨大な亀裂が発生し、真国の国民は全員亀裂の中に消えていった。


最後に真国の大王が亀裂の外に出て、亀裂に手をかざすと、すぐさま亀裂は消えていった。






「うむ、まずいのう、ガド、学校に全員集めよ」


マナの言葉でいつものメンバーは学校に集まった。

そしてまなは強力な結界を張った。


次の瞬間、強烈な衝撃波が回りの瓦礫を全て吹き飛ばした。


かつて地球には、巨大な隕石が落ち、恐竜が絶滅したという。

それと同じような、衝撃が地球全体を襲ったのだ。

その衝撃の原因は、空間に出来た巨大な亀裂だった。

巨大な亀裂の下には巨大なクレーターが出来ている。


空間に出来た亀裂は静かに閉じると、世界もまた静寂に包まれた。

最後までお読み頂きありがとうございます。


今回で最終回です。


よろしければ「北の魔女」も読んで頂けましたら嬉しいです。



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