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エピローグ
「はー、レナ綺麗……かわいい……!」
ルカはテレビに映る舞踏会の様子を見ながら感嘆のため息をつく。
「……幸せそうか?」
後ろから尋ねられたその問いに、ルカは振り向いてにっこり微笑んだ。
「はい、とても」
「そうか。……ならいい」
ルカはその言葉に、にやにやしながら尋ねる。
「寂しいんじゃないですか?」
「まさか。ようやく静かになると思ったら清々する」
ルカはオルフのその言葉に笑う。
「……借りは返した」
オルフは、ルカに言うわけでもなくぽつりと呟いた。そうして、ルカに尋ねる。
「王の様子はどうだ」
「デレデレですね」
ルカのその言葉にオルフは笑う。見えないが、姿が容易に想像できた。相手は十以上歳が離れた少女だ。また新たな噂が聞こえてきそうである。
これからの彼らの道のりもきっと険しい。しかし、彼らはそれでも幸せだと言うんだろう。
「どうか……幸せに」
オルフは、目の前にいない彼らに向けて告げる。
それは優しく、穏やかな願いで満ちていた。




