#2 目が覚めたら赤子になってました
んぁ…温かい何かが体を包み込む。ふわふわとした柔らかい感触に思わず声が出そうになるが……その声は出てこない。
目を開けて様子を確認しようとするが、真っ暗で見えない。顔を動かし暗い場所から出ていこうとしていると、光が目に当たる。どうやら、タオルで顔を覆われていたらしい。
しかし、顔に掛かったタオルを自分で取る程度のことはできたはずなのだが、それすらも出来ないとは一体どういうことなのだろうか。周りの様子を確認しようと首を動かすが、あるのは寝っ転がる子供ばかり。
――――――もしかして…子供に若返ってる!?
そんなありえないことを考えながら、体を起こそうとする。…が、起こすことができない。それどころか言葉を出すことすらも出来ない。
え?もしかして本当に子供まで若返ったりしてるのか。そういえば昔、柚月にありえないなんてことはありえなんだよって言われたことがあった。柚月の言葉を信じれば、俺は死んでしまってよくある異世界に転生でもしてしまったのだろうか。
「そういえば、この子って誰の子供なのかしら?少なくとも私の子供ではないんだけど…」
「確か、ここの前に捨てられてたらしいわよ」
「捨て子…?珍しいわね。でも、黒目黒髪なら仕方がないかもしれないわね。…気持ち悪いし」
この世界では黒目黒髪の存在は忌み嫌われているようだ。…もし、柚月がこの世界にいたら、俺と同じように嫌われているのだろうか。いや、そもそもこの場所にいるかもわからない以上いらない心配をする必要はないことだろう。
そんなことを考えていると、俺の小さな手を握る存在がいることに気付く。そちらの方を見ると、頭に小さな猫耳のついた銀髪の赤子がこちらをじぃーっと見つめているようだった。その手を放そうとするが、しようとする瞬間泣きそうになる。
――――――いや、そんな目で見られても困るんだけど…。なんでこんなことになってるのさ。はぁ…。
内心そんなことを呟きながら、握られた手を離させようとするのを諦め、その猫耳の赤子に近づく。不思議そうにキョトンとした目でこちらを見つめるその子の頭?を撫でてみる。初めは驚くように目を見開いているようだったが、徐々に落ち着いてきたのかそれとも気持ちいいのかすやすやと眠り始めていた。
眠ったことを確認すると、手が放すことができるかやってみる…が、先ほどよりも強い力で掴まれていた。
痛いとも言えないこの体がすごく憎く感じるのはきっと今だけだろう。子供の体は大人の時よりも覚えやすい。やりたいことがあまりできなかったあの頃には戻れない。代わりに得たこの新しい体で、柚月を忘れられるくらい作業に熱中できるようになりたいな。
とりあえず…五歳くらいまでに成長しないとできるものも出来ないな。あぁ、速く成長しないかな。




