リナ・グレイパス
「もう一回、言ってみてください」
「あう……だから、お兄さんは私の騎士さんです」
「なるほど、困りましたね…………わかりました、とりあえず、そこに直りなさい」
「ふえぇぇ!?」
「ちょとちょっと、何しているのイノリたん! てかネネたんも素直に跪かないで!」
ここはお食事処カモミールの店内——それ相応にお客さんもいるんだから、このままじゃ変な噂が流れちゃうじゃん!
「何ですか? リナはその女の味方ですか?」
「ちょっと待った! 味方も何も、一から説明してくれないと分からないよ」
それにその女って、どこで覚えたの? そんな言葉。
「あう……お味方感謝します」
「いやいやいや、ネネたんも空気読もう? これ以上リナを混乱させないで?」
「困りましたね。これは責任問題というやつですか?」
「誰の何の責任!?」
「もちろん、律に決まってます」
——ああ、なるほど、リッツの事ね。リッツなら仕方ないかぁ。
といった具合に現実逃避したくなる。
それぐらい疲れた。
ネネちゃんをうちで預かることになってから、毎日がほんと、お祭り騒ぎ。
別に仲が悪いってわけじゃなさそうなんだけど、二人とも、リッツの事だけは譲らない。ぜーったいに譲らない。
お姉さん、もう疲れてきちゃったよ。
リッツ、帰ってきたら許さないよ。
表通りのスイーツたっぷり奢ってもらうから。
スイーツだけじゃなく、もっともっとたかってやるんだから。
だから、早く帰ってきてよ。
「‥‥では、じんじょうに勝負をしましょう。負けたらおやつ抜きと律も抜きです」
「あうう……そんな……でも、負けたくありません」
いや本当、本当に早く帰ってきてよ。
リッツ抜きって……何それ?




