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両腕
この後の戦いっていうのはなんだ……?
まだ続くのか……?
俺たちが迷っている間にも、刻々と時間は過ぎていく。
「さ、桜ちゃん……ど、どうしよう……。
あ、あと十秒で……」
カウントダウンの気配に、思考が一気に加速する。
「――両腕だ!」
俺は考えるより先に叫んでいた。
「両腕が使えなくなっても、俺たちが支えれば動ける!
歩けさえすれば、絶対にここから出られる!」
一瞬の沈黙。
だが、桜は迷わなかった。
「そ、そうね……それがいいわ。
郁美! 両腕を選択して!」
郁美は二人の顔を見比べ、ぎゅっと唇を噛む。
そして覚悟を決めたように――
小さく、けれど確かに、コクリとうなずいた。
「代償は……両腕です……」
郁美が小さく呟いた後、
時間が止まったような、一瞬の間があいた。




