登校
「それでは本日の星座占いです!
まずは牡牛座のあなた。
ズバリ、幸運のカギは“気配り”。
ラッキーアイテムは――ハンカチ!
いつもより丁寧に身だしなみを整えると、
運気アップですよ〜!」
テンションの高い声が、
がらんとした部屋に、
妙に浮いて聞こえた。
親がいなくなって、
もう二回目の朝だ。
どうすればいいのかも、
もうわからない。
やはり警察に行くべきなのだろうか。
高校生の俺にとって、
警察を呼ぶという行為自体が、
心理的ハードルの高いことだった。
でもこのままだと、
食事にも困るし、
いつまでもこのままではいられないのも事実だ。
和政にも一度、
相談してからにしよう。
そういえば、
昨日は和政とホームレスのけんさんに話を聞いてたら、
桜たちに会って……?
桜たちがホームレスに襲われてたんだっけ……?
それを助けたんだっけ……。
そんでパンツ一丁になって……?
その輪に加わろうと……
いや、そんなわけない!
うーん。
なんでだろう。
記憶がぼやけるな。
親がいなくなったストレスのせいかもしれない。
確か聞いたことがある。
ストレスを感じると、
記憶を消そうとする機能が、
人間にはあるとか。
まあ今は、
考えてもしょうがないからいいや。
俺は学校の準備を終えると、
軽く伸びをして、
家を出た。
朝の空気は、
ほどよく冷たくて、
気持ちをしゃきっとさせてくれる。
学校に着くと、
関谷が話しかけてきた。




