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手がかり
「光の門をくぐり抜けると、
うっすらと再び頭に、あの不気味な声が響いた。
『貴様に呪痕を授ける。
貴様の正の呪痕は…..』」
「……呪痕……」
思わず、その言葉を反芻する。
――そうだ。
ホームレスのけんさんが、
確かに言っていた。
呪痕って…..呪いのことだよな……。
胸の奥に、
冷たいものが静かに沈んでいった。
もしかしたら――
その呪痕というのが、
今の郁美の変化に関係しているのかもしれない。
そう考えた瞬間、
点と点が、かすかに線で結ばれた気がした。
だとすれば――
もう一度、
けんさんのところへ行くしかない。
あの時、
最後に意味深に呪痕の話をしていた。
きっと何かを知っているはずだ。
何か手がかりを掴める。
完全な答えじゃなくてもいい。
ほんの小さな糸口でも。
胸の奥を締めつけていた重さが、
ほんのわずかに軽くなる。




